写真:Sige panda
地図を見る舞台は明治後期の大阪、若い画家たちが画壇の改革を目指し、次々と新しい作品を生み出していました。北野恒富もそんな一人。東京や京都が画壇の中心とされる中、大阪で旺盛な活動を展開していました。
写真は心中という画題が問題で文展で落選したと言われる「道行」。近松門左衛門の心中天の網島の遊女小春と紙屋治兵衛の道行きを描いた作品です。高い完成度を誇るこの作品。退廃美と鬼気迫る小春の表情。細やかな着物の表現など、原画ならではの迫力を感じて下さい。
写真:Sige panda
地図を見る恒富は東京の鏑木清方、京都の上村松園などと並んで大阪の「美人画家」と呼ばれています。しかし、恒富自身「美人画」という言葉に抵抗があったようです。こちらは大阪城落城寸前、煙のくすぶる城内に浮かび上がった淀君の姿を描いた作品「淀君」。
写真:Sige panda
地図を見る絶望的な状況の中に静かに佇む淀君の姿。恒富は型に囚われたいわゆる「美人画」よりも生命のにじみ出た「女の画」を目指していました。闇に浮かぶ淀君の表情が印象的な、情念の表現においての恒富の代表作です。
写真:Sige panda
地図を見る打って変わって、はんなりとした美しい女性達もたくさん描いています。はんなりとは上品な華やかさを表す言葉。船場の旧家の風情を描いた代表作のひとつ「いとさんこいさん」や今回の展示会のポスターに使用されている「星<夕空>」など。大阪モダニズムともいえる美しい作品もたくさん紹介されています。
写真:Sige panda
地図を見るこちらの緑が鮮やかな作品「戯れ」ではカメラに手を添えてファインダーを覗き込む舞妓の姿を描きました。鮮やかな緑に黒いカメラと舞妓髪。舞妓の白い顔と手がよく映えて、思わず引きつけられてしまいますね。
写真:Sige panda
地図を見る恒富は明治期にグラフィックデザイナーとしても活躍。新聞小説の挿絵やポスターの制作をしていました。写真のポスターは酒造会社の老舗で、今なお親しまれている菊正宗のもの。戦前に国内で制作されたポスターの中でも最大といわれる作品です。取り外しが難しく門外不出といわれるこの作品にも会場で出会えます。原画とポスターが並べて展示してあり、画面向かって右が原画、左が印刷物。それぞれの違いを見比べるのも面白いですよ。
写真:Sige panda
地図を見るこの他にも月桂冠用のポスターの校正刷り(印刷の具合を確かめるための試し刷り)や高島屋のポスター原画など、グラフィックデザイナーとしての多くの作品が展示されています。
写真:Sige panda
地図を見る確かなデッサン力を持つ恒富はたくさんのスケッチブックを残しています。そうした貴重な資料も多く展示。何気ないスケッチからも画家ならではの視点を感じる事ができます。
写真:Sige panda
地図を見る会場には、恒富が設立した画塾「白耀社」出身の画家達の作品も。恒富の大阪モダニズムをさらに進化させた次世代の画家達の作品です。中には恒富の長男、以悦の作品「春」も。中国服を着て物思いに耽る少女とカナリアを描いたエキゾチックな作品です。
写真:Sige panda
地図を見る売店では「星<夕空>」のうちわやクリアファイルなど、展示会のグッズを数多く販売。ミュージアムショップは展覧会のチケットがなくても入場出来ます。感動の余韻をお土産に。お目当てのなにわ美人を連れて帰ってくださいね。
この展示会は、恒富が活動の本拠地とした大阪での初めての本格的回顧展です。代表作である「いとさんこいさん」をはじめ、初期の貴重な作品や商業ポスターの原画、素描などの膨大な資料など、回顧展にふさわしい作品がたくさん集まりました。展示会の少ないと言われる恒富の作品を、恒富が愛し描いた大阪で見る。レトロで情緒豊かな「いにしえの大阪」に触れられる貴重な機会を是非堪能して下さい。
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(2024/3/29更新)
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