西浦温泉パームビーチの海辺のすぐ横に、万葉の小径への入り口があります。三河湾や伊良湖などを詠んだ万葉の歌碑が散策路の脇に建てられている風情ある散策路です。白砂のビーチから万葉の小径へ入って行くとまるで万葉の時代へタイムスリップするようです。
入り口は最初の20段ほどがかなり急です。一周して戻る600m程度の林間散策路です。702年に持統天皇(じとうてんのう)が伊勢神宮の後、三河国の当地周辺行幸の際に同行した高市黒人(たけちの黒人)が詠んだ歌など含め、当地ゆかりの万葉の歌碑が建てられています。
途中、常緑樹の林間からの木漏れ日を浴びながら歩きます。マイナスイオンいっぱいの気持ちよい小径です。稲村神社がある頂上がコース真ん中ですが、標高約100mまで比較的短距離で登ります。歌碑には歌の説明もついています。
最初の展望台は、海岸から10m程の高さ。西浦温泉パームビーチが輝き、その向こうに貨物船などが航行する様子が眺められます。
歌碑と共に緑に囲まれた展望台からの青い空と海の眺めは格別です。対岸の左から右へ連なる陸地は渥美半島。右手を見ると三河湾が伊勢湾につながる海域に浮かぶ篠島、日間賀島、佐久島の3島が重なりつつ見えます。空気が澄んでいれば、3島の後方に知多半島の山の端がグラデーションのようにうっすらと見えます。伊勢神宮はそのはるか後方、持統天皇と高市黒人はこちらからやって来ました。
万葉の小径の散策路は一度、自動車1台が通れる幅の道路を横切り、再度林間散策路に入ります。登りきった頂上は標高100m程。海岸から一気に林間を登る少し健脚向きのコースです。お社の左手奥(写真)に出ると、稲村神社が東を向いて建っています。こじんまりと凛としたお社です。見回りや整備の氏子の方がいれば、挨拶すると花が咲いている場所などを教えてくれますよ。
稲村神社の「稲村神社由緒略記」によれば、ご祭神は豊宇気毘売命(とようけびめ:伊勢神宮外宮の祭神で食物・穀物を司る女神)と伝えられていますが、手力男命(たぢからおのみこと:力の神、スポーツの神)、建此良鳥命(たけひらとりのみこと:出雲国造などの祖神)なども祀られているとの伝承があり、伊勢神宮、出雲大社との深い結び付きが感じられます。雨乞い祈願や航行の安全祈願も書かれています。
稲村神社の右手にあるのが蒲郡名木50選の巨木シイ。ここから正面の階段を降りる左側にも同名木50選のシャシャンポがあります。
シイの巨木と手水舎の間にあるのが遥拝所。ここは伊勢神宮を望む場所ではなく、富士山の遥拝所です。東に富士山、西に伊勢神宮を望む場所に稲村神社は建っています。空気の澄んだ日には富士山を眺めてみてはいかがでしょう。
正面の階段はかなり急です。気をつけておりましょう。階段の一番下から見上げると稲村神社正面の破風部が少し見える配置です。
階段をおりると、稲村神社を反時計回りにのぼる少し幅が広い道路にでます。海に向かって大パノラマが広がります!林間散策路の他に、この道路に沿って稲村神社に登っていく事も可能です。距離的には少し長くなりますが、稲村神社までなだらかな坂を上ることが出来ます。
安礼の埼の案内板からゆるやかな坂を50mほど進むと、三河湾を見渡す絶景展望台「希望の鐘」に到着。このあたりの標高は60mほど。商売繁盛や、健康祈願などに効果があるといわれています。朝日がのぼるのと同時に鐘を鳴らすと一層の効果があるとか。早起きしてトライしてみてはいかがでしょう。ベンチもあるので、絶景を見ながらの一休みができます。
愛知ケンミンがあれッ?と驚くのが「希望の鐘」展望台に掲示されている地図。三河湾北側の西浦温泉から南側に渥美半島を眺める地図は、見慣れた愛知県の地図の上下が逆になっているのです。「なるほどひっくり返すとこうなるか」の不思議感があります。
鳴らすと希望が叶うといわれる「希望の鐘」ですが、この鐘とペアになった「真実の鐘」が近くの「西浦園地」内にあります。こちらは、夕日の絶景地、恋人やご夫婦で一緒に鐘を鳴らすと、真実の愛を確かめ合うことができるとのことです。「希望の鐘」と「真実の鐘」の両方鳴らすとより一層の効果があるかどうか・・・は、やってみてご確認を。稲村神社のご祭神に祈願し、希望の鐘を鳴らせば、更に一層の効果が期待できるかもしれません。
正面に見えている頂きは、渥美半島の蔵王山。標高250mの蔵王山山頂(写真中央)は、希望の鐘展望台からくっきりと見ることができます。
万葉の小径の散策はいかがでしたか。詩情の散策、絶景展望台、大願成就の3つが揃う木漏れ日の小径です。歩いてみてはいかがでしょう。西浦温泉パームビーチ前とやや東よりの海岸沿いに駐車場もあるので、車の方にも便利です。
尚、万葉の小径から5kmほど北にある形原温泉「あじさいの里」には「チャレンジの鐘」があります。その昔、ヨットのアメリカズカップの基地が蒲郡市にあり、当時基地にあった安全祈願の鐘を移設したものです。「希望の鐘」を鳴らしたついでに、「真実の鐘」、「チャレンジの鐘」も併せて鳴らしてみてはいかがでしょう。「希望」、「真実」、「チャレンジ」の3つが叶う旅になるのでは。
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