写真:手塚 大貴
地図を見るあっと驚くような自動販売機があるのは、島根県大田市の石見銀山にある大森地区。鉱山町として国の重要伝統的建造物群保存地区に、そして「石見銀山遺跡とその文化的景観」の一部として世界遺産に登録されている町です。
江戸時代には幕府直轄領となり、大量の銀が採掘された石見銀山ですが、この大森地区は代官所や武家屋敷、商家が建ち並んでいたエリア。現在でも当時の町並みがよく残されていて、赤い石州瓦の屋根が美しく映えています。
写真:手塚 大貴
地図を見るその自動販売機があるのは、大森地区でも南側、かつての武家屋敷や町家が建ち並ぶエリア。銀山川に並行して延びる道を南へと進んでいきましょう。
江戸時代にタイムスリップしたかのような町並みの中を進むと、やがて左側にその自動販売機が姿を現します!
写真:手塚 大貴
地図を見る古い町並みに溶け込むように置かれた一台の自動販売機。美しい木製枠に覆われたその姿に、本当に自動販売機なの!?と思う人も多いはず。もちろんホンモノの自動販売機です!
このコカ・コーラ社の自動販売機、町の景観を守るために木製枠を取り付けて設置されたもの。実は世界遺産登録前からあり、町の人々には長く親しまれている自動販売機です。
木製枠の中にはお馴染みのお茶やジュース、コーヒー。自動販売機を包む木の温もりに魅了され、通りかかった観光客の誰もが思わずドリンクを買いたくなってしまうような不思議な魅力があります。
写真:手塚 大貴
地図を見るこの自動販売機があるのは、羅漢町橋の横にある「玉留屋」の前。石見銀山を訪れた観光客であれば誰もが通る場所なので、見逃さないようにしましょう。
ちなみに「玉留屋」は、2007年にTBS系で放送されたドラマ『砂時計』のロケ地でもあります。
写真:手塚 大貴
地図を見る自動販売機を近くで見てみると、実に精巧に造られた木製枠で覆われていることがわかります。美しく施された飾り彫り、購入ボタンを縁取る装飾、硬貨の投入口を囲むくり抜き・・・。
日本情緒に溢れたその姿は、まさに“SNS映え”する光景。思わず誰かに教えたくなるような、独創性に満ちた自動販売機です。
自動販売機大国の日本ですが、観光地にある自動販売機というのは町の美しい景観を壊してしまうことも多々あるはず。しかしこの石見銀山の自動販売機は、町の景観を損なうことなくその景観を守り、逆に景観をより魅力的なものへと変えることに成功しているのです。
町並みをより一層風情あるものに変えた一台の自動販売機・・・、そこには人々の豊かな発想力が込められています。
写真:手塚 大貴
地図を見る町の景観に見事に溶け込んだ自動販売機がこの石見銀山にあるのは、この地が古くから町並み保存に力を入れてきたため。石見銀山には景観保全条例があり、たとえば保存地区内の家の修繕や増改築、新築には市の許可が必要なのです。また伝統的な建物の外観復元に対する補助金制度など、住民と行政が一体となって町並みを守る仕組みが確立されています。
写真は、石見銀山大森郵便局。現役の郵便局でありながら古い町並みに調和した建物となっています。
写真:手塚 大貴
地図を見るさらに大森地区を歩くと、電柱が一本も無いことに気付くはず。電線を地中に埋設することで、江戸時代の雰囲気そのままの美しい町並みを作り出しているのです。
むやみな開発を進めるのではなく、町の景観を保護し、住民の暮らしを大切に守る石見銀山の町。こうした取り組みは、日本各地の他の観光地にとっても、ひとつの理想的なモデルとなるのかもしれませんね。
石見銀山・大森地区へのアクセスは、JR大田市駅から石見交通バス・世界遺産センター方面行きに乗り約30分。最寄りの「大森」バス停で下車すれば、「玉留屋」の前に置かれた美しき自動販売機まで徒歩3分ほどで辿り着きます。
ちなみに木製枠で覆われた同様の構造の自動販売機は、石見銀山公園の観光案内所裏手と龍源寺間歩の近くにもあるので(ともにダイドードリンコ社製)、足を延ばしてみるのもいいでしょう。
「和」の美しさに溢れた石見銀山の自動販売機。世界遺産観光の合間にその自動販売機で購入して飲むドリンクは、たとえそれが飲み慣れたドリンクだったとしても、いつもと違う特別な味わいに感じられるのではないでしょうか。
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(2024/4/26更新)
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