岡山には吉備津神社と吉備津彦神社があります。距離にして約2kmという近さ。近い上に似たような名前で分かりにくいのですが、なぜこうなっているのかは記録が残る物として、西暦645年の大化の改新まで遡ります。
この時の区画整備により、吉備の国は三分割。備前・備中・備後と分かれ、備中:吉備津神社(岡山市北区吉備津)、備前:吉備津彦神社(岡山市北区一宮)、備後:吉備津神社(広島県福山市)となりました。
しかしながら創建は古いもの。区画上分けられたのが大化の改新であるというだけで、その昔、吉備津神社と吉備津彦神社はどちらも一宮とされていたのです。
吉備津神社創建の正式な記録は無いのですが、複数ある説の中から一つ。祭神である大吉備津彦大神(おおきびつひこのみこと)から五代目の孫とされる加夜臣奈留美命(かやおみなるみ)が大吉備津彦大神をお祀りしたというものがあり、霊廟として知られています。
大吉備津彦大神は記紀の四道将軍の一人であり、その勇士から桃太郎伝説が生まれるのです。
国宝に指定されているのは「本殿」と「拝殿」です。創建は室町時代中期の応永32年(1425年)となっています。石段を上った先に見える拝殿は、迫力を感じることでしょう。また、本殿の大きさはかなりのもので、島根の出雲大社本殿、京都の八坂神社本殿に匹敵すると言われます。
左側に進むと、拝殿と本殿の様子を横長に見ることが出来ます。その圧倒的な存在感に言葉を失うかも知れません。
拝殿の右手には美しい回廊があります。その長さは398m!両下造り本瓦葺きであり、完成は天正年間(1573年から約20年間)と古いもの。また、一間毎に氏子が寄進して建てられたことも特長的なことです。
回廊はぜひとも最後まで歩いてみて下さい。その長さ同様に、長い歴史が感じられるかも知れません。
その途中にあるのが御釜殿。釜の鳴り方で吉凶を占う「釜鳴りの神事」が行われる場所で、創建は慶長17年(1612年)。御釜殿は特に指定が無い限り、自由に中に入ることが出来ます。ここは桃太郎に退治された鬼「温羅」を祀る場所とも言われ、ぜひとも見ておきたい場所の一つです。
美しい回廊を歩くと左手の斜面に見えるのがあじさい。例年6月中旬から7月上旬頃に咲き誇ります。吉備津神社のあじさいはあまり知られておらず、隠れた名所と言えます。この神社を訪れて、初めてあじさいの存在を知ったという人も多くいるのです。
斜面であることから、その実しさが際立っていると言えるのではないでしょうか。
左右に遊歩道があり、そちらを歩くことでさらにあじさいを楽しめるようになっています。桃太郎伝説の神社で、この季節は外せない風物詩。
吉備津神社では時期により様々なイベントが行われます。地域対抗や学校対抗で行われる弓道、剣道の試合など、子供たちの元気な声が聞こえてくることも。
観光の際に見かけたら、足を止めてみてはいかがでしょうか。元気な子供たちの声から、パワーをもらえるかも知れません。
国宝を含めた桃太郎の鬼退治伝説の吉備津神社は見どころがとても多いため、出来るだけ多くの時間を確保しましょう。そして斜面の見事なあじさいを楽しめる季節に観光することを、特にお勧めします。
もちろん、神社ですからパワースポットであり、手水舎できちんと身を清めて、祈願してみてはいかがでしょうか。商売繁盛、長寿延命、勝利祈願。末社では縁結び、金運アップ、安産と多くの神々がおられ、願いを受け入れてもらえるのでは。
なお、約2kmの距離で同じく桃太郎に関連する「吉備津彦神社」があり、近くには秀吉と官兵衛の水攻めで有名な「備中高松城」も。詳細は関連MEMOをご覧ください。
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(2024/4/20更新)
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