世界文化遺産・国宝姫路城から西にわずか8キロメートル。15分ほど車を走らせると自然に囲まれた桜山公園がある。春は山桜、秋は紅葉、夏は涼しく自然観察イベントなどが開かれる公園だ。
園内には「姫路市自然観察の森」や「姫路科学館」、「兵庫県立こどもの館」と県や市の施設が集中している。それだけ自然が豊かで環境が整っているということ。その中にたたずむ施設が姫路市宿泊型児童館「星の子館(ほしのこやかた)」だ。1992年に開館し、天文台と児童館、レストラン、公共の宿がひとつになっている。2017年12月から一時閉館して館内を改装。2018年11月にリニューアルオープンした。
提供元:姫路市
http://www.city.himeji.lg.jp「星の子館」を設計したのは、日本を代表する建築家・安藤忠雄。姫路の建築物といえば、世界文化遺産・国宝「姫路城」以外に思い浮かばないかも知れないが、姫路城付近には有名建築家が設計した建物が数多くある。
安藤忠雄の設計は「星の子館」と同じ桜山公園内の「兵庫県立こどもの館」、姫路城の西に建つ「姫路文学館」と3棟。姫路城の北、シロトピア公園内には、黒川紀章が設計したトイレ付き休憩所「扇観亭」。丹下健三設計の「兵庫県立歴史博物館(姫路城北東)」や「姫路市保健所中央保健センター(姫路市坂田町)」などなど。
近代建築以外にも江戸や明治・大正の建築物もあることから“建物めぐり”を目的に海外からも訪れ、ここ「星の子館」に宿泊する人もいるほどなのだ。
写真:塚本 隆司
地図を見るおそらく、安藤建築の宿泊施設としては最安値。建築に興味がある人にとっては、安藤建築に泊まれるというだけでも好奇心を刺激される。さらに館内には、黒田征太郎の壁画や絵画が飾られ、贅沢すぎるアーティスティックな空間といえるだろう。
写真:塚本 隆司
地図を見る館内に一歩踏み入れば、安藤建築らしい空間が広がる。フロントでは一般的な業務の他に、子どもたちの話し相手になってくれる。児童館らしいサービスだ。
フロントの脇にはちょっとした物販コーナーがあり、星好きの子どもたちに欠かせない品がならぶ。さすが「天文台のある宿」といった感じでワクワクさせてくれる。
写真:塚本 隆司
地図を見る安藤建築で天文台付きの宿泊施設なのに大人1泊4600円からとは信じられない価格。その内容が心配になるところだ。
2018年11月のリニューアルにより客室トイレの設置や個別空調化、授乳室、親子トイレを新設。ベビーカーやベビーラックなどのベビー用具の貸出を充実し、これまで以上に赤ちゃん連れでも安心して利用できるようになった。
客室数は、定員6名の和室(10畳)が11部屋と車イスでも利用できる洋室(定員4名)が1部屋の他に、最大定員15名の和室(22畳)が2部屋ある。仕切りを外せば定員30名の部屋になり、合宿や研修などでも利用可能だ。
風呂は地下に浴室があり、小さな子ども連れを意識した設備が整っている。とても4600円で泊まれる宿とは思えないほどの充実ぶりだ。
写真:塚本 隆司
地図を見る子どもたちを飽きさせない工夫が各所に見られるのも特徴だ。屋外には遊具が設置されている。
写真:塚本 隆司
地図を見るリニューアルに際して、プレイルームも一新。乳幼児を安心して遊ばせる環境が整っている。トレーニングルームには卓球台があり、大人にも人気だ。
写真:塚本 隆司
地図を見るほかにも、図書室には星にまつわる本がズラリと並んでいるなど、子どもたちを飽きさせない工夫が随所に見られる。そして、一番の魅力の設備といえば天文台だ。
写真:塚本 隆司
地図を見る姫路の中心部に近いのに、自然に囲まれた静かな公園内には飲食店はおろかコンビニすらない。辺りは暗く天文台としては、もってこいの環境なのだ。
星の子館では、昼と夜に「天体観望会」が無料で開かれる。「天体観測会」というより、ゆっくり楽しみながら惑星や星を眺めるということで「天体観望会」だ。観望会に参加すれば、希望者には星の子館「天文台カード」がもらえる。
昼の観望会は、学校が休みの土日祝、夏休み期間中に開催。予約は不要だが、時間など事前に公式ページで確認しておこう。
夜の観望会は予約制で宿泊者が優先される。内容は、まず天体観測室でその日に見える星の話しなどを専門員が解説。その後、最上階の天文台に設置された口径90センチの反射望遠鏡で実際に観測したり、屋上に出て星座の話しを聞いたりと、子どもたちだけではなく大人もワクワクする楽しいひとときを体験できる。時間は1時間程度。
ただ、相手は自然。天気が悪ければ天体観測はできない。たとえ雨が降っていなくても、厚い雲に邪魔されることも。そんな時は、向かいの「姫路科学館 アトムの館」へ。世界的にも屈指の大きさを誇るドームスクリーンを備えたプラネタリウムがあるので大丈夫だ。さすがに夜は閉館しているので利用できないが、星の子館では星にまつわるクイズ大会などで、十分に楽しませてくれる。
気になる宿泊費だが児童館らしい価格設定になっている。18歳未満が一緒の宿泊と大人だけの宿泊では価格が変わるのだ。18歳未満と一緒の場合、食事なしなら1泊大人4600円。中学生〜高校生なら3300円、3歳〜小学生なら2500円、3歳未満は無料という驚きの価格だ。大人のみでも4人以上なら1人4600円で宿泊できる。
上記の価格は、食事無しの場合だ。食事や楽しいイベントが一緒になったプランもあるので、詳しくは公式ページを見て欲しい。
食事は「星の子館」内のレストラン「キラキラ・レストラン」でいただく。昼もレストランとして営業しており、児童館らしい思いやりのある雰囲気。少しくらい子どもが騒いでも気兼ねせず食事ができる。
メニューは姫路らしい食材を使ったものがほとんど。夜のオススメメニュー「まんてん会席」(写真)はボリュームも申し分ない。1泊2食付きのセットプランで、大人8800円〜9700円。宿泊なしの場合は3600円だ。他にも姫路和牛プレートや当日予約できる定食プランが用意されている。
3歳から小学生向けには、キッズプレートが人気だ。キッズプレートプラン:1泊2食付で大4100円(写真)、小3700円。
ランチタイムは、一般客も利用でき平日でもにぎやか。ママ友が子どもを連れて集まっている感じだ。テーブルもほどよい間隔が空いており、子ども向けの食器やイスも充実。それでいて、大人も満足できるメニューがそろっている。
人気は子どもと分け合って食べられるパパママプレート(880円)やプレートランチ、オムライスなどがある。写真はロコモコ風プレート(650円)。
姫路市宿泊型児童館「星の子館」は、安藤建築の宿泊施設の中でもおそらく世界最安値の公共の宿だ。
星の子館へのアクセスは、姫路城から車で約15分。駐車場代も無料。バスならJR姫路駅から神姫バス【37番 太市】行きに乗り【星の子館前】下車。約20分で着く好立地にある。
星や建築に興味のある人、乳幼児と一緒に気兼ねなく旅行をしたい人など、他では満たされない目的がかなう宿泊施設だ。魅力あふれる宿だけに、特に週末は人気。電話予約は6カ月前でネット予約は4カ月前、大人のみの宿泊は1カ月前から受け付けている。
星の子館に泊まりたいなら、はやめの予約がオススメだ。
2018年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/5/2更新)
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