栃尾又温泉はラジウム泉の長湯が伝統!新潟・湯治の宿「神風館」

栃尾又温泉はラジウム泉の長湯が伝統!新潟・湯治の宿「神風館」

更新日:2017/06/06 09:52

新潟県魚沼市から奥只見湖へ続く国道352号(樹海ライン)沿いにある「湯之谷温泉郷」は、薬師温泉や、葎沢(むぐらさわ)温泉など7ヶ所の温泉地が連なる温泉郷。その1つ栃尾又温泉は全国でも数少ないラジウム泉で昔からの湯治場でした。

変質が早い源泉の質を守るため、各宿に配湯せず3軒の宿が協同利用しています。栃尾又の湯治を今に伝える湯治の宿「神風館(じんぷうかん)」は湯治の逗留に適した居心地の良い宿です。

尾又温泉は湯の沢川の清流に沿った小さな温泉地

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栃尾又温泉の開湯は奈良時代。奈良の大仏建立の責任者となった行基(ぎょうき)大僧正が発見したと伝えられています。山深い温泉は地元の人達だけが利用していましたが、効能が人伝えに広まり、遠方からの湯治客が増えたため小屋を作ったのが始まりとされています。

栃尾又温泉の泉質は「単純放射能温泉(低張性アルカリ性温泉)」、相称「ラジウム温泉」で、泉温は34〜37度とほぼ体温と同じ温度。加温すると効能が薄れると昔から伝わっているため、約70段の階段を下り、湯の沢川の川岸にある「下の湯」と、足や腰の負担をなくすため源泉を上まで引いた「上の湯」と「奥の湯」の3つのお風呂を、自在館、神風館、宝厳堂の3軒の宿で共有利用しています。

尾又温泉は湯の沢川の清流に沿った小さな温泉地
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山深い栃尾又温泉は至る所で湧水が見られます。写真は温泉地入り口の湧水。この道の奥に「上の湯」と「奥の湯」があり、その建屋の対面には小さな滝が流れています。

尾又温泉は湯の沢川の清流に沿った小さな温泉地
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栃尾又温泉3軒の宿。右手に「自在館」、中央に「神風館」、左手に「宝厳堂」があります。3館協同利用の「上の湯」と「奥の湯」はこの道の突き当り、真下から源泉が湧出る「下の湯」は、下の湯入り口から階段を70段ほど下った湯の沢川沿いにあります。

微量のラドンで免疫力の向上!神風館は湯治逗留に特化した湯治宿

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温泉が地上に湧出る途中に放射能性の岩石帯(ウランやトリウム)を通過する過程でラジウムやラドンを含んだ温泉が放射能泉。温泉から放出されるラドンを、肌や呼吸から体に取り込むことで細胞が刺激され、免疫力の向上、血流改善の効果があることが解明されてきました。

栃尾又温泉は1〜2時間温泉に浸かる「長湯」が伝統の入浴法。ぬるめのお湯は、活動によって疲れた体を修復させる副交感神経が刺激されリラックスします。また、湯治とは1〜3週間程度温泉地に逗留し、病の温泉治療をすることです。湯治の宿「神風館」は、素朴で居心地の良い宿です。

微量のラドンで免疫力の向上!神風館は湯治逗留に特化した湯治宿
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神風館は部屋数10部屋。3階建ての建屋の2階と3階が客室です。トイレと洗面所、冷蔵庫は各階の共有で設置されています。「長湯」が伝統の栃尾又温泉は、朝食前、朝食後、昼食をはさんで夕食前、夕食後と各1〜2時間の入浴です。

微量のラドンで免疫力の向上!神風館は湯治逗留に特化した湯治宿
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廊下や階段には地元の植物を生けた生け花が心を和ませます。フロントロビーには、居心地の良い囲炉裏があり、本や雑誌が置かれた小さなロビーフロアーではドリップコーヒーが自由に飲めます。さりげないサービスが神風館の特徴です。

ラジウム温泉が直下に湧出する「下の湯」は栃尾又温泉の神髄

ラジウム温泉が直下に湧出する「下の湯」は栃尾又温泉の神髄
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栃尾又温泉の泉質は単純放射能温泉(低調性アルカリ性温泉)、泉温は35.4度、温泉1リットル当たりのラドン含有量は50.9マッヘ。代表的なラジウム温泉と比較すると、秋田県の玉川温泉の0.76マッヘ、鳥取県の三朝温泉の683.3マッヘ、新潟の村杉温泉の52.6マッヘ。桁の違う三朝温泉を別とすると日本有数のラジウム温泉です。(温泉に含まれている、その他の成分の違いで単純な比較はできません)

温泉法による放射能温泉の適応症は、高尿酸血症(通風)、関節リウマチ、強直性生脊椎炎など。栃尾又に古くから伝わる適応症は、不眠症、アトピー、卵巣、睾丸機能の向上とあります。温泉地にある栃尾又薬師堂には「子持ち杉」や「夫婦欅」があり、入浴後に人目にふれず御神木をまたぐと子宝に恵まれると言われています。科学的に実証されていませんが薬師堂の御神木は樹齢400年、子宝祈願とお礼参りの絵馬が奉納されています。

ラジウム温泉が直下に湧出する「下の湯」は栃尾又温泉の神髄
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ラジウム温泉は、入浴による皮膚や、呼吸による呼吸器、飲泉による消化器から取り込みます。ガス成分の放射能温泉は「温泉の老化」が早いので、直下から源泉が湧出する「下の湯」は源泉の適応症を最大限に引き出しています。

ラジウム温泉が直下に湧出する「下の湯」は栃尾又温泉の神髄
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栃尾又温泉の源泉は、階段を70段ほど下った湯の沢川沿いにあります。温泉の利用者の足、腰の負担を軽減するため「神風館」の奥に「奥の湯」と「上の湯」に源泉を引き入れました。「下の湯」「上の湯」と「奥の湯」は日替わりで男女が入れ替わります。

泉質を守るため源泉を最短距離で引いた「上の湯」と「奥の湯」!寝湯は長湯に最適

泉質を守るため源泉を最短距離で引いた「上の湯」と「奥の湯」!寝湯は長湯に最適
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温泉は、地上に湧出し空気に触れた時から変質が始まります。これを「温泉の老化」と言います。特に、放射能温泉や炭酸泉は老化が早いことが解明されています。また、栃尾又温泉の「低張性」は温泉の成分ゆっくりと浸透します。栃尾又に伝わる「長湯」は現在の温泉成分にも叶った入浴法です。

ラジウム温泉を、鼻や口からの呼吸器から取り込む「ラドン温泉吸入法」は、経験的、伝統的な民間療法ですが、適度な広さの浴槽で源泉のまま入浴し呼吸によって体に取り込むのが理想的です。「下の湯」「上の湯」「奥の湯」を3軒の宿で共有し、内湯で利用する栃尾又温泉は古くから伝えられている温泉の適応性を大切にしています。

泉質を守るため源泉を最短距離で引いた「上の湯」と「奥の湯」!寝湯は長湯に最適
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「上の湯」は源泉の湯船と、加温した湯船と、その間に寝湯があります。栃尾又温泉の伝統的な入浴法は「長湯」。源泉に入り、身体が冷えたと感じたら、加温した湯船や寝湯で体温を調整します。

泉質を守るため源泉を最短距離で引いた「上の湯」と「奥の湯」!寝湯は長湯に最適
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「奥の湯」も「上の湯」と同様に、源泉の湯船と加温の湯船とその間に寝湯があります。奥の湯も源泉かけ流しなので、吹き出し口の源泉を飲用できます。アルカリ性の温泉は無味無臭で柔らかい味です。

艶々のごはんと具沢山のお味噌汁!バランスのとれた神風館の食事

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神風館の食事は部屋食。夕食は午後6時ごろ、朝食は午前8時ごろ部屋にお膳を運んでくれ、食後はお膳を廊下に出しておきます。飲み物は、1階の階段脇にある冷蔵庫に缶ビールやワンカップの日本酒などがあり、メモ帳に名前と部屋番号を書いておくと宿泊費に加算されるシステム。また、持ち込み自由なので各階にある冷蔵庫を利用することもできます。

新潟県は日本一の米どころ。特に南魚沼産コシヒカリはブランド米、艶々のごはんを口に入れると甘さが口に広がり、香りが鼻に抜けます。湯治の宿の食事は地元の山菜が食材の家庭料理。どれも体に優しい味付けです。

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夕食は、ゼンマイの酢の物、フキとニンジンの煮物、ゼンマイとニシン、車麩の煮物、舞茸のフライに、シメジと玉ねぎ、油揚げのお味噌汁に艶々ごはんと野沢菜の漬物。(食事の内容は日により変わります。)

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朝食は、ニシンの甘露煮、海老入りのポテトサラダと水菜、トマトの生野菜、塩コブ、ウルイのお浸しに、お豆腐と春菊のお味噌汁と香の物。早朝入浴後の朝食も大切な湯治、体の真から温かくなります。

栃尾又温泉はラジウム温泉を大切に有効に使う伝統を守っています

栃尾又温泉へは、上越新幹線の浦佐駅経由、上越線の小出駅からタクシーで約15分、栃尾又温泉行の路線バスで約35分、車では、関越自動車道の小出インターより、国道352号を約20分。神風館は温泉を大切にする栃尾又温泉で湯治文化を今に伝える宿です。

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/05/22−2017/05/23 訪問

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