写真:権丈 俊宏
地図を見る横向温泉「滝川屋旅館」は磐梯朝日国立公園の一角に位置する高原地帯の温泉です。写真は滝川屋旅館の外観。風雪に耐え、歴史を感じる佇まいが印象的です。東日本大震災で被害を受けましたが、少しずつコツコツと修繕・改修を重ね、貴重な木造建築を保存しています。
部屋数は多いですが宿泊は一日二組、それとは別に自炊部は一組、と最大で三組までしか受け付けていません。何故ならば主人と女将の二人で切り盛りしており、それ以上宿泊客が増えると十分なおもてなしが出来ない、というこだわりを持った宿だからです。
写真:権丈 俊宏
地図を見る玄関をくぐると、いきなり大きな岩石が!これは極力自然に手を加えず建物が造られている為。建物の至る所にピョコッと岩が露出していて驚かされます。なお内装も保全の為に少しずつ改装され、全体的には木の温もりを感じる明るい空間で、歴史の重みを感じる外観とは好対照をなしています。
写真:権丈 俊宏
地図を見る浴室は二ヶ所あります。写真は混浴内湯。湯船の底から時折プクリと音を立てながら気泡が湧き出ています。実は浴室そのものが温泉の湧出地なのです。31〜32度程の温い温泉で、湯口からは別の加温した源泉を投入。奥の湯口付近は体温とほぼ同じ位の不感温度(熱くも冷たくも感じない温度)ですので、のぼせることなくいつまでも良質の温泉を堪能出来ます。
おすすめは真夜中の入浴。お湯が注がれる音と足元から時折プクッとお湯が湧き出る音以外は全くの無音。一日最大三組の宿ですので他の入浴客と会うことも極めて少なく、まるで瞑想をしているかの如く心が浄化され、崇高な入浴体験が出来ます。
写真:権丈 俊宏
地図を見る写真は女性専用浴室。お湯に浮いている黄土色の浮遊物は決して汚れではなく、温泉から生成された湯の華。しばらく誰も入らず湯が乱されないと起きる現象です。また湯の花以外にもうっすらと湯の表面に膜が張り、温泉成分に含まれる炭酸成分が気化出来ずに、湯の表面が小さく泡立ちます。メロンクリームソーダの溶けたアイスとジュースの炭酸が混ざり合う様にも似ており、まさに自然が生み出す神秘の光景と言えるでしょう。
この様な濃厚な温泉ですが、泉質は単純温泉。温泉マニアが“アブラ臭”と呼ぶ石油っぽい香りがしますが、不思議と温泉情緒がグッと高まる香しき芳香です。 また女性浴室は源泉を一切加温していないので、30度程の更にぬるい温泉。暑い時期には最高に気持ち良い湯浴みとなるでしょう。
写真:権丈 俊宏
地図を見る旅館部の客室は広々とした部屋。綺麗に改装され、真新しさと木の温もりを感じさせます。浴衣・羽織・タオル・バスタオル・歯ブラシ・液晶テレビ・ポットなどの備品は一通り揃っており、不便さはありません。何よりもアットホームで安心して寛げる雰囲気に心癒されます。
写真:権丈 俊宏
地図を見る一方こちらは湯治部の客室。日差しで焼けた柱や木製の建具に、年輪を重ねたものにしかない歴史と風格を感じずにはいられません。また周囲は縁側に囲われ、歴史と共に明るさや開放感さえも醸し出しています。また自炊用の台所は別にありますが、滝川屋旅館の周辺は全く商店が無いので、事前に食材を購入する必要が有ります。
写真:権丈 俊宏
地図を見る宿泊してぐっすりと睡眠を取ったら、早朝は宿の周囲を散歩するのがおすすめです。特別にフォトジェニックな絶景やSNS向けのスポットがあるわけではありません。そこにあるのは、手付かずの自然、鳴り響く小鳥のさえずり、澄み切った空気・・・何も考えずにそれらに身を任せましょう!きっと日々のストレスから解放され、癒しの一時となるに違いありません。
写真:権丈 俊宏
地図を見る写真は客室から臨む外の風景。特別に目新しいものがあるわけでもない山の風景ですが、何故か心和む情景です。景色をぼんやりと眺めながら、自分を見つめ直すのも良いかもしれません。
横向温泉「滝川屋旅館」は如何だったでしょうか? 何もない山奥ですが、そこには現代人が忘れた何かを感じずにはいられません。ここには写真や文章だけでは表現し尽せない奥深き世界が有り、訪れた人に心の安らぎを与えてくれます。
旅に求めるものは人それぞれ異なります。もしご興味がある方は「滝川屋旅館」に宿泊して、形に表れない“心の癒し”を探してみて下さい。
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(2024/3/29更新)
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