伊勢神宮の古材に万度石も!静岡・浜松「濱名惣社神明宮」

伊勢神宮の古材に万度石も!静岡・浜松「濱名惣社神明宮」

更新日:2017/06/09 15:35

創建から1000年以上、伝説を辿ると2000年近くの歴史を持つ「濱名惣社神明宮」。三重県・伊勢神宮とのゆかりもあり、その古材が鳥居や玉垣に使われています。全国的にも珍しい“万度石”や“井籠造”の本殿など見所が豊富な静岡県浜松市の「濱名惣社神明宮」を、その歴史やゆかりにも触れながら、ご紹介します。

「濱名惣社神明宮」へのアクセスと創建

「濱名惣社神明宮」へのアクセスと創建
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天竜浜名湖線の三ヶ日駅から徒歩で約12分、コミュニティーバス“三ヶ日オレンジふれあいバス”の摩訶耶寺入口(まかやじいりぐち)のバス停から直ぐの場所にあるのが、天照皇大御神(あまてらすすめおおみかみ)を御祭神とする「濱名惣社神明宮(はまなそうしゃしんめいぐう)」です。

「濱名惣社神明宮」へのアクセスと創建
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垂仁天皇(すいにんてんのう、紀元前29年〜紀元後70年)の娘である倭姫命(やまとひめのみこと)が天照皇大御神の御霊(ごりょう)を鎮め留める場所を探し求めて旅をしていた際に、こちらに滞在したと伝わっています。

その当時が創立と考えられ、927年(延長5年)の“延喜式神名帳”には太田田根子命(おおたたねこのみこと)を御祭神とする“英多神社(あがたじんじゃ)”の名称で記載されています。

参道を進んでいくと、樹齢数百年の巨大な御神木が訪れた人々を迎えてくれます。隣にある手水舎と比べると、その大きさがより分かると思います。歴史と共に生命の息吹も感じられる御神木です。

約1800坪の境内には、百度石ではなく万度石も!

約1800坪の境内には、百度石ではなく万度石も!
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940年(天慶3年)に、三ヶ日の周辺地域は、三重県・伊勢神宮の治める場所となり、“浜名神戸(はまなかんべ)”と呼ばれるようになります。これまで祀(まつ)っていた太田田根子命は従属的な位置付けに代わり、天照皇大御神を御祭神とする“神明宮”となったのです。因みに、“惣社(そうしゃ、そうじゃ)”とは、地域内の神社の御祭神を併せてお祀りしている神社のことです。

「濱名惣社神明宮」の境内は、約1800坪(約5500平方メートル)。中央に見える拝殿の後方には大輪山。その中腹には本殿があります。その他に、神池(しんち)と呼ばれる池もあり、自然に満ち溢れた境内となっています。

約1800坪の境内には、百度石ではなく万度石も!
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拝殿に向かって境内を進んでいくと右手側には、国歌の“君が代”にも歌われる“さざれ石”があり、その反対側には、“百度石”ではなく全国的にも非常に珍しい“万度石”が置かれています。1839年(天保10年)に奉納されたもので、古くから信仰されていたことが分かります。

「濱名惣社神明宮」と伊勢神宮の関係

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こちらは、この地域の統治者であった浜名縣主(はまなあがたぬし)の祖神・太田田根子命を祀る太田命社(おおたのみことしゃ)です。先述した通り、英多神社であった当時の主祭神です。

「濱名惣社神明宮」と伊勢神宮の関係
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「濱名惣社神明宮」のある地域が伊勢神宮の治めていた場所であった歴史を示すものもあります。それがこちらの、伊勢神宮の古材です。この柱は1993年(平成5年)から20年間、伊勢神宮の玉垣に使われていたもの。

第62回式年遷宮の撤去古材は、「濱名惣社神明宮」の本殿の鳥居と玉垣に再製。その内の1本が、このように奉納してあります。

「濱名惣社神明宮」と伊勢神宮の関係
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こちらが「濱名惣社神明宮」の拝殿です。毎年8月の第1日曜日には、“夜半の御饌(よわのみけ)”という神事が行われます。御饌とは神様に捧げる食事のこと。

真夜中の午前0時、闇の中で一言も発せず、調理したお供え物を神に捧げます。式の後に、参列者に分けられ、このお供え物を頂くと伝染病やその他の流行の病気にかからないと言われています。

「濱名惣社神明宮」と初生衣神社の関係

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拝殿の右手側の奥に位置するのが機織(はたおり)の祖神として崇敬されている天棚機姫命(あめのたなばたひめのみこと)をお祀りする天棚機姫命社です。

神の衣を“神御衣(かんみそ)”または“御衣(おんぞ)”と言います。こちらから徒歩で約3分、岡本にある「初生衣神社(うぶぎぬじんじゃ)」では、伊勢神宮へと神の衣を奉納する“御衣祭り”が残っています。

毎年4月に、神御衣を一時的にこちらへ納め、5月に伊勢神宮へと奉献する形式が残っています。

「濱名惣社神明宮」と初生衣神社の関係
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拝殿の左手側の奥にあるのが、天羽槌雄命(あめのはづちおのみこと)を御祭神とした天羽槌雄命社です。天羽槌雄命は天照皇大御神が天岩戸(あまのいわと)に、こもった際に、麻を織って捧げた神様です。

服飾関係の方には、特にオススメの「濱名惣社神明宮」ですね。

「濱名惣社神明宮」と初生衣神社の関係
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天羽槌雄命社の直ぐ近くには、菅原道真(すがわらのみちざね、845年〜903年)を御祭神とした浜名天満宮も。京都・北野天満宮より分霊を迎えて創建。詳しい創建の年月は不明ですが、1740年(元文5年)に再建したとの記録も残っています。

本殿と古式の建築方法

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拝殿の後方、石段の上部にあるのが「濱名惣社神明宮」の本殿です。古くは伊勢神宮へ奉献する品の収納庫として使われていたと伝わっています。

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漢字の“井”の字のように、木を組み上げる“井籠造(せいろうづくり)”という古式の建築様式の本殿。“井籠造”は、“板倉造(いたくらづくり)”とも呼ばれます。柱が無く、全国的に見ても類のない建造物と言われています。

また先に述べた通り、こちらの鳥居や玉垣は、伊勢神宮の古材が使われています。伊勢神宮との歴史やゆかりにも思いを馳せながら、お参りしてみてはいかがでしょうか。

静岡県浜松市北区三ヶ日町三ヶ日「濱名惣社神明宮」のまとめ

「濱名惣社神明宮」の周辺には、ゆかりがあり、“遠州織物の発祥の地”とも呼ばれる「初生衣神社」や「璽田稲荷神社(たまだいなりじんじゃ)」、その他にも「摩訶耶寺」などもあります。そちらも併せてお参りするのがオススメです。コミュニティーバス“三ヶ日オレンジふれあいバス”が運行しているので、ぜひ活用してみて下さいね。

以上、長い歴史を持ち、伊勢神宮とのゆかりもある静岡県浜松市北区三ヶ日町の「濱名惣社神明宮」のご紹介でした。

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/05/02 訪問

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