写真:Hiroko Oji
地図を見るドウロ川沿いに広がるポルトガル第二の都市「ポルト(Porto)」は、「7つの丘の街」と言われる首都のリスボンにも引けをとらないほど、起伏の多い町です。
ドウロ川はスペインから流れ出し、全長900キロメートルの大河で、ポルトはその河口部分に位置しています。現在、ドウロ川の南側に広がるヴィラ・ノヴァ・ディ・ガイア(Vila Nova de Gaia)は、川沿いにワイナリーが軒を並べる地区で、かつては一つの州を形成していました。ローマ帝国時代の呼び名はカーレ(Cale)。当時は、この地区が川の河口の町として港(Portus)の役割を担っていたため、ポルトゥス・カーレと呼ばれるようになり、「ポルトガル」の語源になったと言われています。
また、ローマ帝国衰退後は支配者が次々に代わり、8世紀にイスラム教徒から支配権を得たフランス貴族の時代には、南へと国土を広げ、ほぼ現在の大きさとなったことから、ポルトガル発祥の地としても知られています。ちなみに、この時代にフランスから葡萄の苗を持ち込まれた結果、ワイナリーがたくさん並ぶようにもなったのです。
写真:Hiroko Oji
地図を見るポルトの中心部である歴史的地区と、ワイナリーが建ち並ぶヴィラ・ノヴァ・ディ・ガイア地区を結んでいるのは、ドウロ川に架かるドン・ルイス1世橋。ポルトの顔ともいえる立派な橋で、完成は1886年。幅8メートルの2階建て構造で、アーチの上層は歩行者とメトロ用で長さ395メートル、下層は歩行者と自動車用で174メートルとなっています。
この橋から眺める川沿いの風景がまた素晴らしい!上流側にはインファンテ橋、下流側にはアラビタ橋があり、北側の急勾配の丘斜面にしがみつくような家々の眺めがあり、南側のワイナリー群を見渡せます。
写真:Hiroko Oji
地図を見るドウロ川の北側、ドン・ルイス1世橋の足元にはカイス・ダ・リベイラと言われる大衆向きのレストラン街が続きます。川向うのヴィラ・ノヴァ・ディ・ガイアには、サンデマン(Sandeman)やカレム(Calem)をはじめ、多くのポートワインのワイナリーが軒を並べています。これらのワイナリー群や丘の上のノッサ・セニョーラ・ド・ピラール修道院を眺めながら、テラス席を陣取って食事を楽しむのにちょうど良いロケーションです。
写真:Hiroko Oji
地図を見るポルトガルで必ず目にするのは、アズレージョ!アズレージョとは、上薬をかけて焼かれた装飾タイルのことで、ポルトガルの典型的文化となっています。ポルトの町中でも、あちこちで見られます。
鉄道でやってきたら、ポルト・サンベント駅から入ると中心地に近く便利です。この駅は修道院の跡地に建てられたもので、壁一面に施されたアズレージョに目を奪われてしまいます。ポルトガル史上の名場面が2万枚ものアズレージョによって描かれており、ある旅行雑誌で、世界で最も美しい駅のひとつに選ばれたこともあるほど。「最も」と言いながら、その美しい駅はいくつかあるようですが、黄色の縁取りがある壁一面を覆う、青いタイルで表現された歴史絵巻は壮大そのもの!駅として通り過ぎるのはもったいなく、しばし鑑賞タイムとなってしまいます。
写真:Hiroko Oji
地図を見る写真の右半分は、セウタ攻略を描いたアズレージョで、下段中央にいるのはエンリケ航海王子です。また、ジョアン1世のポルト入りの場面や戴冠式の様子を描いたもの、ミーニョ地方とドウロ地方の農村の様子などもあり、なかなか興味を惹かれる駅構内です。
写真:Hiroko Oji
地図を見る駅から町へ繰り出すと、最初に出会う教会もアズレージョで飾られています。他に、建物の側面一面をアズレージョが覆う教会や礼拝堂もあり、バターリャ広場に面した教会も美しいアズレージョで飾られています。
写真:Hiroko Oji
地図を見るポルトの観光で中心となるのが、市庁舎からドウロ川にかけての、世界遺産に登録されている歴史地区。その中でも、丘の上に聳えるカテドラルは、ポルトの町並みを一望できるスポットの一つ。
カテドラルは、市内で最も古い建造物で、12世紀に要塞として建てられた厳つい感じの外観です。もとはロマネスク様式で建てられたものが、その後17〜18世紀にかけてゴシック、バロックと増改築が繰り返されています。
内部は、ヴォールトという蒲鉾型アーチの天井を持つ狭いロマネスク様式の身廊に、両側に背の低い側廊が並びます。正面には、17世紀に造られた銀細工のバロック式祭壇が置かれ、その右側から回廊に出ることができます。
写真:Hiroko Oji
地図を見るこのカテドラルで見逃せないのがゴシック様式の回廊で、壁面には18世紀のアズレージョがズラリ!
回廊の何か所かにあるドアを入ると、上層階への階段があったり、絵画装飾やアズレージョ、天井装飾の美しい小部屋、司祭の豪華な法衣や銀細工の宝物を飾った宝物展示室なども見ることができます。ところどころには、素晴らしいレリーフが施された石棺が置かれています。階段でテラスに上ると、壁一面を覆うアズレージョが見事で、回廊が囲む、中央に十字架の石柱がたつ中庭を見下ろすこともできます。
写真:Hiroko Oji
地図を見る回廊のアズレージョは、聖母マリアの一生と、オウィディウスによる大変化を描いており、こちらはそのうちの一つです。一枚一枚見ていくとかなりの時間がかかってしまいます。
写真:Hiroko Oji
地図を見るカテドラル麓の歴史地区にあるボルサ宮は、1834年、火災で焼失したサン・フランシスコ修道院跡地に建てられ、経済の中心となったポルト商業組合の建物だったものです。ごく最近まで証券取引所として使われていました。
内部へは30分毎のガイドツアーで。かつては実際に裁判所として使用されていた「法廷の間」やアルハンブラ宮殿を模して造られた「アラブの間」、今でも利用されている「黄金の間」、会議室などが見られます。
ボルサ宮の前には、大航海時代の立役者エンリケ航海王子の像がたつ広場が広がっています。
写真:Hiroko Oji
地図を見る歴史地区の市内を一望できるスポットの一つがクレリゴスの塔。重厚な大理石造りのファサードを持つ、18世紀に建てられたバロック式の教会クレリゴス教会と隣接して建っています。
この塔はポルトのシンボルで、高さ76メートル。ポルトガルで最も高い塔となっています。狭い階段を上って行くと、頭上に鐘がいくつも並んでぶら下がっている様子も見られ、最上階に出ると、市内が一望できます。どちらを向いても遮るものがないので、位置関係を把握するにはもってこいです。
写真:Hiroko Oji
地図を見るボルサ宮の背後に位置するのが、サン・フランシスコ教会。修道院付属の教会で、14世紀初めに建てられた時はゴシック様式でしたが、17世紀にバロック式に改装されています。
外観は、石造りの厳ついものですが、一旦中に足を踏み入れれば、そこは金色に輝く豪華なバロック装飾に圧倒されんばかりの世界。3身廊に区切る柱や壁面、天井、すべてに繊細な彫刻が施されて金箔で覆われており、目が眩みそうになります。中でも「ジェッセの樹」と呼ばれるキリストの系図が左側2番目の礼拝堂にあり、素晴らしい輝きを見せています。こちらもお見逃しなきように!内部は撮影禁止ですので、しっかり目に焼き付けてくださいね。
写真:Hiroko Oji
地図を見るポルト市内では、旧市街周辺だけなら徒歩で周れるのですが、起伏の多い町ですので、交通機関を上手く利用すると大変楽になりますし、また違った眺めにも出会えます。
メトロは、市の中心部では地下を走っていますが、実際には路面電車のように路上を走行しています。またドン・ルイス1世橋の上層をも走っていますので、ここからの眺めを楽しむためにも、一度は乗車してもよいかもしれません。
写真:Hiroko Oji
地図を見る写真はメトロも走るドン・ルイス1世橋から楽しめる、カイス・ダ・リベイラ周辺の風景です。
写真:Hiroko Oji
地図を見るまた、ドン・ルイス1世橋の袂とバターリャ広場の南側とを結んでいるのがケーブルカー。歩いてでも登れますが、かなりの急勾配ですので、疲れているときなどはとってもありがたい存在です。
ここでご紹介したスポットはほんの一部で、他にも見所が盛りだくさんのポルトです。サン・ベント駅から北に行くとあるボリャオン市場は、市民の台所的存在。様々な食糧だけでなく、花や雑貨なども売られていて、市民の暮らしぶりに触れることができます。歴史地区には、エンリケ航海王子の家もあり、一部が公開されていて興味深いです。また、対岸にあるヴィラ・ノヴァ・ディ・ガイアでは、ワイナリー見学&試飲が楽しめます。
前にも言いましたが、ポルトはアップダウンの多い町並みです。この町並みを堪能するには、徒歩だけでは大変という方もいらっしゃるかもしれません。その場合、メトロやケーブルカーだけでなく、市バスや市電も走っていますので、観光の時間を短縮するためにも利用するとよいでしょう。これらの交通機関に加えて国鉄近郊線や空港との往復にも有効な乗り放題パス「アンダンテ・カード」や「アンダンテ・ツアー(1日券・3日券)」というものがありますので、必要な方はどうぞご利用ください。STCPの案内所やインフォ、国鉄切符売り場などで購入可能です。
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(2024/3/28更新)
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