次回は5年後!ドイツ・カッセル「ドクメンタ14」は5年に1度の現代芸術の祭典

次回は5年後!ドイツ・カッセル「ドクメンタ14」は5年に1度の現代芸術の祭典

更新日:2017/06/03 15:29

car minのプロフィール写真 car min ドイツ在住旅行ブロガー
ドイツの中央部に位置するカッセルは、グリム兄弟が住んでいたこともあり、メルヘン街道の町として有名です。そのカッセルで2017年で14回目となる、世界最大規模の現代芸術の祭典「ドクメンタ14」が、2017年6月10日より開催されます。

美術館の中だけでなく、屋外でも見ることができる芸術作品は、町のあちらこちらでその存在を主張しています。芸術ファン以外でも楽しめる、魅力ある作品をご紹介します。

今回のテーマは「アテネから学ぶ」

今回のテーマは「アテネから学ぶ」

写真:car min

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「documenta/ドクメンタ」は1955年にカッセルの芸術家で教師でもあったアーノルド・ボーテが創設しました。最初の開催より4年ごと、近年では5年ごとに開催される、世界最大規模の現代芸術の祭典です。芸術品の数々は芸術ファンだけでなく、多くの人々の心をつかみ、14回目となる「ドクメンタ14」は、初めての2都市開催(ギリシャのアテネとカッセル)ということでも話題になっています。

「ドクメンタ14」のテーマは「Von Athen lernen/Learning from Athens」(アテネから学ぶ)で、世界中から200名以上のアーティストが集結して、アテネとカッセルで芸術作品を作りあげます。カッセルのメイン会場となるFriedrichsplatz(フリードリヒスプラッツ)には、今回のテーマを象徴するような、アテネのパルテノン神殿が建っています。金属の骨組みに、色彩豊かな点描画をまとったような柱や壁はとても目を引き、人々は立ち止まってその作品を見上げています。

今回のテーマは「アテネから学ぶ」

写真:car min

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このパルテノン神殿、「Der Parthenon der Buecher/The Partenon of Books」(本のパルテノン神殿)は、アルゼンチンのアーティスト・Marta Minujinによるもので、最初のドクメンタの理想とした、芸術の美しさと政治的な意図を盛り込んでいます。現在世界で7万冊もの本が禁書となっているものを、10万冊まで世界中から集め、この組み立てられた枠組みに掲示していっています。

「ドクメンタ」は、ナチス時代に退廃芸術とされ、しいたげられた20世紀前衛芸術の回顧展として始まりました。ナチス時代には当時の思想・信条に合わない書籍が禁止され、多くの本が焼かれ、著者の迫害も行われました。この「本のパルテノン神殿」が建っているフリードリヒスプラッツは、1933年に禁書とされたおよそ2000冊の本が燃やされた場所で、ここほどこの作品の意図を反映できる所は無いのかもしれません。

高さ16mのオベリスク

高さ16mのオベリスク

写真:car min

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町の中心地、レストランやショップが集まるKoenigsplatz(ケーニヒ広場)に姿を現した、高さ16mのオベリスクは、胴体はコンクリート、先端部のピラミッド状の四角錐はステンレスで作られています。この作品はナイジェリア系アメリカ人アーティスト・Olu Oguibeの作品です。ケーニヒ広場から同時に見える、マルティン教会の2つの塔とオべリスクの調和も見逃さないでくださいね。

麻袋で覆われるグリム兄弟が住んだ家

麻袋で覆われるグリム兄弟が住んだ家

写真:car min

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Schloss Wilhelmshoehe(ヴィルヘルムスヘーエ城)から町へ続く4kmの長い1本の道、Wilhelmshoeher Alle(ヴィルヘルムスヘーエア アレー)の横、市街近くに道路を挟んで2軒の建物があります。グリム兄弟広場に近い建物には、1814年から1822年までグリム兄弟が住んでいました。建設が始められた当初は、2つの建物を繋げて道路をまたぐ大きな門になる予定でしたが、完成には至りませんでした。

その2つの建物は現在、ガーナのアーティスト・Ibrahim Mahamaの作品展示の場所となり、2000枚以上の麻袋を縫い合わせた幕で覆われています。使い古された麻袋は世界貿易の歴史を物語っています。

その他にも続々と興味深い作品が

その他にも続々と興味深い作品が

写真:car min

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Orangerie(オランジェリー)の前の広々としたStattspark Karlsaue(カールスアウエ公園)の一角には、高い台に乗ったいくつか木製の歯車を見ることができます。これは、メキシコのアーティスト・Antonio Vega Macotelaによって設置された、ボリビアの鉱山で銀貨を生産するために使われた奴隷の力を表現した、「Muehle des Blutes/Mill ob Blood」です。

その他にも続々と興味深い作品が

写真:car min

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documenta-Hall(ドクメンタ ホール)の前には、イラク出身でベルリンのアーティスト・Hiwa Kにより、60本の素焼きの下水管が、5mの高さに積み上げられています。この光景は、ギリシャの町パトラ港に到着した難民が、このように積み上げられた下水管で数週間住むことになった、難民キャンプの再現をしています。

実物は、是非カッセルで!

カッセルの市街では、過去の「ドクメンタ」作品で、展示が継続されている物もあり、地図を片手に宝探し感覚で芸術鑑賞も可能です。またカッセルの町は緑も多く、オランジェリー前に広がるカールスアウエ公園や、世界遺産に登録された美しいヴィルヘルムスへーエ公園もあり、散策するにもお勧めできる町です。

「ドクメンタ14」は、カッセルでは、6月10日から9月17日の100日間開催されます。2017年の夏は、現代芸術の祭典が開催されるカッセルを訪れてみてはどうでしょう。次の「ドクメンタ」は5年後ですから!

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/05/21−2017/05/25 訪問

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