写真:泉 グルン
地図を見る「客家」とは、客家語を話す漢民族の人々のことで、古代には中国東北部に住んでいたといわれます。その後、戦乱を逃れるように南下し、台湾には18世紀頃に渡来してきました。
すでに定住していた他民族との摩擦を避けるため山間部に住み、厳しい環境の中で努力を積み重ねて生きてきました。現在でこそ、国家元首をはじめ政治や経済の分野で客家人が大活躍していますが、それも先祖たちの不屈の精神が受け継がれているためといわれます。
そんな客家人たちが暮らした町のひとつが桃園市にある三坑老街です。山あいを流れる谷川を水路として利用し、20世紀初頭には商業の町として繁栄しました。
写真:泉 グルン
地図を見る三坑老街の入り口には「黒白洗」と名付けられた水場があります。かつてはここで女性たちが洗濯や洗いものをしていました。水場の先には、石畳の道と赤レンガ造りの古い家並みが続いています。
およそ10分ほどで歩き回れるほど小さな町ですが、週末には、食堂や八百屋、アイスクリームやかき氷を売る店などが店を開き、ちょっとしたにぎわい。なかには日本統治時代のカタカナの看板も目にでき、まるで時間が止まったかのよう。
平日はほとんどのお店が閉まっていますが、かわりに軒先のベンチで日向ぼっこをする老人やあくびをする猫たちと出会え、のどかな旅情を満喫できます。
写真:泉 グルン
地図を見るこの町でぜひ食べてもらいたいのが、「菜包」という客家の野菜まんじゅう。米粉でつくったまんじゅうの中に、千切り大根とひき肉の炒め煮を入れた、やさしい味わいの小吃で、もっちりとした米粉の皮との相性がたまりません。三坑老街の菜包の名店「阿香菜包」は平日でも営業してますよ。
●三坑老街へのアクセス/桃園市の台鉄中壢駅から台湾好行バスの慈湖線に乗り、三坑老街で下車
写真:泉 グルン
地図を見るちょうど浪漫台3線のなかほど、苗栗県にある南庄老街は客家人と原住民のサイシャット族やタイヤル族が暮らす町です。自然豊かな山あいにあり、山のなかに突然「街」があらわれたといった印象さえ受けます。
ここはかつて林業と炭鉱で栄えましたが、炭鉱業の衰退とともにさびれていったのです。現在では、日本統治時代の建物や赤レンガのレトロな街並みなどが脚光を浴び、休日には多くの観光客が訪れるようになりました。
写真:泉 グルン
地図を見る南庄老街は都会の若者たちからも注目されています。古民家を利用したおしゃれなバーやカフェレストラン、約70年前に創業した元映画館を使ったテーマレストランなど、話題性のある個性的なお店が点在しているからです。
とくに「十三間老街」と呼ばれるエリアではレトロな家並みのあいまに、緑豊かな美しい山々と渓流美を眺められ、スローライフな雰囲気に癒されます。
写真:泉 グルン
地図を見る目抜き通りには、花布の製品を扱う店もあります。日本人にも人気の高い台湾花布は別名「客家花布」とも呼ばれ、昔から客家の人々が好んで用いた図柄です。かつては南庄にも多くの花布の店があったそうですが、今では2〜3軒ほどになってしまいました。ぶらりとのぞいてみると、掘り出し物が見つかるかもしれません。
●南庄老街へのアクセス/台鉄竹南駅から台湾好行きバスの南庄線に乗り、南庄老街下車
写真:泉 グルン
地図を見る苗栗県南部に位置する三義郷もまた、客家の里のひとつ。ここは台湾きっての木彫り彫刻の町としても有名です。客家の人々は地域にクスノキを多く植樹し、防虫剤や薬の原料となる樟脳油を生産していました。そのため木材を使った家具の生産や仏像彫刻などが発達したのです。
現在は木彫りだけでなく、さまざまなジャンルの芸術家たちが移り住むアートの町として注目を集めています。とくに芸術村と呼ばれる区画には、著名な彫刻家を含む10人の芸術家と約100人の職人さんたちが暮らしています。彼らの工房やギャラリーは誰でも見学できますので、ぜひ訪れてみてくださいね。
写真:泉 グルン
地図を見るもし、三義を訪れるのが4月下旬から5月上旬であれば「四月雪」(または「五月雪」)を見られるでしょう。それは油桐の白い花のことで、その種から油をとるために客家の里にはよく油桐の木が植えられました。
芸術村の入り口にあたる木彫博物館のわきには、「四月雪小径」という山道があります。油桐の木々が茂る小道に、真っ白な花がまるで雪のようにひらひらと舞い降りてくるさまは、とてもロマンチック!
油桐の花は今では台湾客家のシンボルフラワーのような存在です。季節になると、三義以外でも浪漫台3線沿道の町や村なら、たいがい見ることができます。
●三義芸術村へのアクセス/台北方面から行く場合、台鉄三義駅に止まる電車の本数が少ないため、台鉄苗栗駅から新竹客運または仁友客運のバスで三義駅へ行く方が便利。三義駅からはタクシーまたは徒歩約25分
写真:泉 グルン
地図を見る三義郷でぜひ訪れていただきたいのが、かつての鉄道橋の遺構である龍謄断橋です。
赤レンガ製の龍謄断橋は、日本統治時代の1905年に造られましたが、1935年の大地震で崩壊してしまいました。その後、長いあいだ放置されていましたが、草やツタにおおわれた独特の景観から、数年前より観光スポットとして人気をよんでいます。
●龍謄断橋へのアクセス/台鉄三義駅からタクシーで約20分
写真:泉 グルン
地図を見る伝統的な客家の建築や文化を体験したいと思ったら、新竹県関西鎮にある羅屋書院に行ってみましょう。ここは今から100年以上前の伝統的な三合院の建物です。18世紀に中国から渡ってきた羅一族がこの地を開墾し、建てた私塾です。
現在は地域の文化遺産に指定されていますが、実は宿泊もできるのです。建物自体には手の込んだ装飾が施され、まるで寺廟のようですが、宿泊の客室はすっきりとシンプルです。
宿泊のほかに団体向けオプションとして、地域の見どころを巡る半日〜1日のツアーや、客家の菜包を作るDIY教室なども行っています。
写真:泉 グルン
地図を見る羅屋書院の目の前には、広々とした水田が広がっています。ここを訪れたら、ぜひ田んぼのあぜ道を歩いてみましょう。
羅屋書院の向かいには、人の全身がすっぽりと入るような四角いフレーム枠が立てかけられています。それを持ってあぜ道に入ればユニークな写真を撮ることができますよ。もしあぜ道で農家の人と行きあったら、ぜひ一緒に写ってもらいましょう。フレームもあぜ道ウォークも宿泊客でなくとも楽しめます。
写真:泉 グルン
地図を見る浪漫台3線でぜひ賞味してほしいのは、やはり客家料理。客家料理は醤油ベースの味付けが多く、どこか日本の家庭料理と似ているため日本人の口によく合うといわれます。
代表的なメニューは、豚の角煮や鶏の蒸し煮、タケノコの炒め物、イカと干し豆腐の炒め物など。デザートは仙草ゼリーのシロップに浸したゴマ団子がオススメです。さっぱりとした仙草ゼリーが満腹のお腹にもスルッと入っていきます。
●羅屋書院へのアクセス/(台北方面方から行く場合)桃園市の台鉄中壢駅から新竹客運バスの新竹行き又は関西行きに乗り、関西駅下車。そこからタクシーまたは徒歩約20分
(台中方面から行く場合)台鉄新竹駅から新竹客運バスの中壢行き又は関西行きに乗り、関西駅下車。そこからタクシーまたは徒歩約20分
今回は客家の里が集まる浪漫台3線のなかの人気の町をピックアップしてご紹介しました。まだまだ書ききれなかったスポットや魅力がたくさんありますが、それはまた別の記事にしてご紹介しましょう。
またアクセスは公共交通機関を中心に記載しましたが、浪漫台3線は幹線道路のためレンタカーやサイクリングで訪れることもできます。
いずれにしろ浪漫台3線の客家の里では、都会では味わえないゆったりとした時間とノスタルジックな町の風情が旅ゴコロを十分に満足させてくれるでしょう。
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(2024/4/19更新)
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