写真:阿部 吾郎
地図を見るこの奥に400mの長い洞窟があるとは思えない、ちょっとした祠のような入口に、かえってワクワク感をそそられます。
この洞窟観音は、呉服商を営んでいた山田徳蔵氏が「多くの人々に楽しんでもらえる、安らぎの霊場を作ろう」と一念発起し、昭和2年に着工、徳蔵氏が没した昭和39年まで工事が続きました。実は現在の2倍の長さまで掘り続ける予定だったそうですが、徳蔵氏が没し工事も終了、作業員の出入り口がそのまま現在の出口になっています。工事はツルハシを使ってすべて人力で行われました。雪が続き作業員が一人も来ない日は、山田徳蔵氏と夫人の2人でツルハシを取って掘り進めたこともあるそうです。
写真:阿部 吾郎
地図を見る入口を入ると、しばらくはコンクリートで固められた坑道が延々と続きます。ところどころ坑道の左右に岩を彫りぬいた小さなスペースが設けられ、楊柳観音、竜頭観音、滝見観音など様々な観音様が1体ずつ祀られています。これらの観音像は新潟県魚沼市出身の仏師、高橋楽石・楽山の2人によるもの。
このコンクリートの坑道、おそらく200mぐらいは続きます。観音様は36体あります。
写真:阿部 吾郎
地図を見る長いコンクリートの坑道は、少々単調でやや趣に欠けるところもありますので、だんだん「ちょっと期待外れかな?」という思いも湧いてきます。
しかし、長い直線が終わり、洞窟が左にカーブするところから様子が一変します。自然の石を積み上げたような壁面に変わり、提灯の光に照らされた、探検気分を盛り上げてくれる雰囲気です。
コンクリートの坑道が終わる洞窟の最奥部にあるのが、20mの落差を持つ滝を模した滝観音です。7体の観音像が安置されています。
この洞窟のクライマックス的な場所ですが、ここ以外にもこういった大掛かりな造形を見られる場所が3か所ほどあります。
写真:阿部 吾郎
地図を見る400m地下の旅も終わりに近づいてきました。地上の400mとは違い、地下ですとかなり長く感じられます。
出口付近を見守っているのは、「仏を信じない人でも私は決して軽んじることはない。なぜなら、菩薩の道を通じて誰でも仏になれる可能性があるのだから。」と言われたという常不軽菩薩です。
ここから先は、再びコンクリートの坑道になり出口へと続きます。
「お化け屋敷的なおもしろさ」と言ったら、ここに祀られている観音様に怒られそうですが、自然にできた鍾乳洞や風穴などとは違った、人が作ったものならではのおもしろさがある洞窟です。
また、様々な観音様や岩を配して作られた浄土の風景を見ていると、どこか心が落ち着いてきます。これが山田徳蔵氏が造った「多くの人々に楽しんでもらえる、安らぎの霊場」なのかと!と出口から出てきた後に思わず感動してしまいました。
山徳記念公園内には、洞窟観音のほかに北関東一の名園と言われる回遊式日本庭園の徳明園と近代漫画に関するコレクションを展示する山徳記念館があり、1枚のチケットですべて見て回ることができます。
カップルで行っても、家族連れで行ってもかなり楽しめる場所です。東京から日帰りも可能な場所ですので、是非一度訪れてみてください。
開園時間
12/1-3/31 10:00〜16:00
4/1-11/30 平日10:00〜16:00 土日祝日 10:00〜17:00
休園日
12月26日〜30日
入館料(洞窟観音・山徳記念館・徳明円共通)
12/1-3/31 大人600円(小中学生300円)
4/1-11/30 大人800円(小中学生400円)
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(2024/4/25更新)
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