太宰治のおもかげを探して。東京・三鷹の街を歩こう!

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太宰治のおもかげを探して。東京・三鷹の街を歩こう!

太宰治のおもかげを探して。東京・三鷹の街を歩こう!

更新日:2017/05/26 11:40

ぐれい サクミのプロフィール写真 ぐれい サクミ 通訳案内士

太宰治は文学好きの中でも熱心なコアファンがいることで有名な稀有の作家。活字離れと言われるこのご時勢で、没後長い歳月がたった今もなお、老若男女、幅広い年代から根強い支持を受けています。39歳で生涯を終えるまでの最期約7年半を暮らした東京・三鷹。太宰の生きた時代と今とではすっかり様変わりしてしまいましたが、そこここに太宰が愛した三鷹の街を見ることが出来ます。その魅力に触れる旅に出かけてみませんか。

太宰が好きだった場所、当時のままの姿を残す「陸橋(跨線橋)」

写真:ぐれい サクミ

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JR東日本、中央本線にある三鷹駅。東京駅からは快速に乗って西へ約30分ほどのところにあります。太宰治は1939年9月、新妻と暮らしていた甲府からこの三鷹駅から徒歩13分くらいのところの新築の借家に引っ越してきました。今では家が建ち並ぶ閑静な住宅地ですが、当時はまだ畑が広がっていました。

太宰は東京に転居先を探していた時、荻窪、吉祥寺、国分寺方面を何度か訪れ、歩き回って新居を探しています。なかなか手ごろな物件が見当たらず6里(約24キロ)以上も歩いてようやく見つけたという家、それが三鷹村の家でした。太宰だけではなく、山本有三や三木露風など、多くの文豪が好んで住んだエリアです。今でも住みたい街ランキングに常連で上位の吉祥寺の近くでもあり、昔からこの辺りは住環境に優れていたのでしょうか。

今はタワーマンションも建ち、畑や緑はすっかり無くなってしまった三鷹駅周辺ですが、奇跡的に当時のままの姿を残している太宰の愛した所があります。この写真の陸橋「跨線橋」(こせんきょう)です。場所は三鷹の駅から線路沿いを西へ徒歩約5分のところ。太宰はこの陸橋に友人や来客を案内したり、天気のいい日は橋の上から甲府の富士山を眺めたり、よく来た場所でした。

太宰が実際に歩いた橋がそのまま現存するのはとても貴重なもの。鉄道ファンや絶好の夕焼けスポットとしても人気の橋ですが、太宰ファンならまず訪れてもらいたい、マストな場所です!

「禅林寺」太宰治のお墓参りに行こう

写真:ぐれい サクミ

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旅のルートとして、陸橋を見たあとは三鷹通りという大きな道路を南下し太宰治のお墓のある禅林寺に向かわれることをおすすめします。徒歩で約20分くらい。途中、生花などを買ってお参りされる方は駅前に花屋があるので寄って行かれると良いでしょう。

境内にはお墓の場所の案内図が出ていますので、それを見れば迷わずにお参りすることができます。太宰の誕生日であり命日(遺体があがった日)である6月19日には桜桃忌が営まれ、毎年全国から数百人の人が訪れます。

写真:ぐれい サクミ

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生前、太宰治は「花吹雪」の中で『私の汚い骨も、こんな小綺麗な墓地の片隅に埋められたら、死後の救いがあるかもしれない』と書いた禅林寺。墓地は清潔で、太宰が尊敬した森鴎外の墓もありました。現在も庭の植木も寺の門も、隅から隅までとても綺麗で心が浄化されるようなお寺です。

「こんな墓地に埋められたい」と書いた太宰の遺志が叶って良かったですが、しかしここに至るまでには一筋縄では行かず、死後太宰は故郷に葬ることを許されなかったこと、東京各所の寺から納骨を断られたこと、禅林寺の住職が周囲の激しい反対を押し切り太宰の受け入れを決断したことなど、そんな最後まで太宰らしい波乱万丈のエピソードが残されています。

写真:ぐれい サクミ

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こちらの写真は森鴎外のお墓です。尊敬するこの立派な森鴎外のお墓の斜め向かいの桜の木の下に太宰は埋葬されました。太宰の遺志が汲まれ本当に良かった、墓石を前にするとそんな安堵の気持ちになるのではないでしょうか。

「伊勢元酒店」跡地に出来た「太宰治文学サロン」

写真:ぐれい サクミ

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次にお勧めの場所は、太宰がよく酒を買った伊勢元酒店の跡地に出来た文学サロン。三鷹市内には太宰ゆかりの跡地が点在し、案内が立ててありますが、そのほとんどが看板だけで跡形もありません。しかしここは店が取り壊された後、グランジャルダン三鷹というマンションが建ち、その1階に三鷹市スポーツと文化財団が運営する小さな博物館「太宰治文学サロン」が2008年に開設されました。

正面の引き戸を開け中に入ると、ワンルームの空間があり展示物が所狭しと並べられています。入場は無料。散策に便利な「三鷹 太宰治マップ」は100円で、その他クリアファイルやTシャツ、一筆箋など太宰グッズも販売されています。

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ワンルームの文学サロン内の正面には、太宰ファンなら見てすぐ分かる、太宰が行きつけだった銀座のバー「ルパン」の店内を模したカウンターが設置されています。実際に座って資料など閲覧することが出来ます。

博物館というには小さい施設ですが、写真や展示物など興味深いものが多くあり、また太宰談義に花が咲くボランティアガイドさんとの会話も楽しい場所です。外国語にも多く翻訳されている太宰治の作品は、海外に住むファンも多く、台湾や香港、アメリカ、イギリス、フランスやロシアなどからも訪れます。

太宰治旧居跡。住宅地ですでのお静かに散策しよう!

写真:ぐれい サクミ

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当時は同じ造りの借家が3軒並んでいたという太宰治の旧宅。その3軒のうち奥が一番住心地がよかろうという理由で、通りから少し入ったことろに住んでいました。12坪ほどの小さな家でしたが、新築のすがすがしさと日当たりの良さは、太宰に新しい作家生活を与えたと言われています。

それをそっと見守っていたのが庭先に植わっていたこの百日紅(さるすべり)の木です。太宰が他界し、その後借家が全て取り壊される時にすぐ近くの「みたか井心亭」の庭に移植されました。「みたか井心亭」は直接、太宰治との接点はありませんが、純和風の数寄屋造りの施設で、申請をすれば茶室などを利用できる施設です。

写真:ぐれい サクミ

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東京府北多摩群三鷹村下連雀13番地。これが実際に太宰治が住んでいたと言われる住所です。みたか観光案内所によると現在の住所では「東京都三鷹市下連雀2-14」にあたるといわれていますが今は一般の方の居住区です。私道ですので中に入れませんし、写真も断りなく撮ったりされませんように。

当時はまだ上下水も整わず、近くに商店もなく不便であったろうこの付近。道々で何を思っていただろう、と思いを馳せつつ歩いて時空の旅を楽しめるところです。

太宰治おわりの場所、玉川上水

写真:ぐれい サクミ

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何度も自殺未遂を繰り返した太宰治でしたが、本当に逝ってしまった場所は玉川上水でした。山崎富栄と入水したとされる場所に、太宰を偲んでふるさと青森県特産の「玉鹿石」が石碑として設置されています。三鷹駅から東の方向、玉川上水沿いを5分ほど歩いたところにあります。正直、見落としやすいので注意しながら歩いてください。この写真は手前にあるのが玉鹿石、道を挟んで向こう側の緑の下に玉川上水が流れています。

妻子がありながら愛人と心中だなんて、もしこれが今の時代だったらSNSは大炎上してしまうのでしょうか。当時すっかり人気作家の仲間入りをしていた太宰治とあって、遺書を残し行方不明になった翌日から、事件は連日にわたり新聞に大きく“情死”と書きたてられたそうです。軽薄な記事も出回ったようですが、のちの回想録などを読むと、その報道は全く太宰を叩いたり炎上するようなものでなく、むしろ太宰を奪ってしまった愛人、富栄を憎む方に傾いていたようです。

現在の玉川上水はとても人が死ねるような水かさも流れもない、ただただ穏やかな小川ですが、昭和初期は人食い川と呼ばれるほど事故死や自殺者の多い川だったそうです。
どんな思いでこの川に身を投じたのやら……今でも川を眺める太宰ファンの姿は後を絶ちません。中にはもうここには来たくないと、心を重くされるファンの方もおられるようです。

写真:ぐれい サクミ

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太宰治が6月13日深夜に行方不明になり、19日の早朝に通行人に見つれられた場所がこの新橋の付近でした。ここは全く観光案内も出ていません。身を投じたとされる玉鹿石のところから約1.3キロ流されたようです。徒歩では約15分ですので、健脚の方は行ってみられるといいでしょう。

太宰治の愛した三鷹の街に実際に足を運んでみてわかる作品の世界

太宰が生きた三鷹の街はもうすっかり様変わりし、現存する当時のものは陸橋(跨線跡)と太宰治旧宅にあった百日紅(さるすべり)の木、それと作品に多く登場する井の頭公園、この3つ程になってしまいました。もし橋や木が話せるなら太宰のことを何か教えてくれるないかな、なんて実際に目の前に立つと人それぞれに何かを感じることが出来ます。

作品を知って三鷹を歩く、歩いてみてまた作品を読む-―相乗効果でより深く太宰治の作品を楽しむことができます。ぜひ一度文学散策に出かけててみてください!

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/05/18−2017/05/21 訪問

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