ベルリンの中心となるミッテ(mitte)から、地下鉄U5を乗って北東方向に約15分。地下鉄の駅から地上に出ると直ぐにティアーパーク(Tierpark)があります。そこは、総面積160haの広大な敷地に動物園や宮お城、そしてレストランを含む一大アミューズメントパーク。日本の有名動物園の敷地は約40haですので、街中にある動物園としてはとても大きいことがわかります。
この辺りは、リヒテンベルグ(Lichtenberg)というベルリンの一つのの行政区で、東はポーランド、北はハンブルグへ通じる要所となる地域。だから、戦後の東ドイツ時代には労働者が沢山住む住宅地域で、その頃からの団地もまだ多く残っています。同じベルリンにある旧西ドイツの動物園ツォーロギシャーガルテン(Zoologischergarden)は、繁華街の近くにありますが、この動物園は全く異なった雰囲気の場所にあると言えます。
この動物園は、休日には駐車場で渋滞ができるくらい人気があります。その理由には、動物の展示に色々な試みをしている事。
例えば、広い平地の同一の敷地に、違う種類の動物がいます。これは、見学者が広い敷地で、一度に数種類の動物を見るので、まるでアフリカのサバンナにいる光景を体験できます。写真愛好家にも絶好の環境なので、沢山のカメラマンにも人気の動物園です。
更にこの動物園は、世界的にも絶滅危惧種の保護に力を入れている事でも有名です。特に、アフリカ象の繁殖。現在のアフリカ象の危機的状況をちゃんと子供達にも理解できるように、週末には子供達を集めて、動物を見ながらセミナーを行う等の取組みも行っています。
象やキリン、或いはダチョウ等の大きな動物も、広大な敷地を有効に活用して、見学者は動物と同じ高さの地面から見学できるようになっており、大人しい動物の場合は、動物の敷地と見学者を隔てる柵の高さが低くされています。別種類動物同志も、実際にサバンナで生活しているようなエリアが作られています。まさに、サファリパーク。この動物園の工夫が見えてきます。
広い敷地には、約9000種の動物が飼育されています。その中には、ドイツに関わりの深い動物が。例えば、エンペラータマリン(Kaiserschnurrbarttamarin)と呼ばれる小さな猿は、ドイツの皇帝ヴィルヘルム二世の髭とそっくりなところから、そう呼ばれています。この動物も絶滅危惧種で大変大事に飼育されています。
社会主義国時代から、歴史や国を大事にするこの動物園は、ドイツに関わり深い動物をクローズアップして、敢えて、来園者が見やすいような場所に展示しています。
このティアパークは、ベルリンのもう一つの動物園ツォークシャーガルテンとは異なり、敷地内にベルリンの文化財の城があります。ありのままの動物を見せるだけでなく、この土地の歴史も大事にして、ありのまま見せてくれます。
フリードリヒスフェルデ城(Schloß Friedrichfeld)と呼ばれるその建物は、プロイセン国の王族ルイ・フェルディナント・フォン・プロイセン(Louis Ferdinand von Preußen)の住居でした。彼は、軍人としても音楽家としても有名で、作曲した作品も多く残されています。
このバロック形式の建物と庭は、18世紀に作られた貴重な歴史的建造物。イベント時にはこの城が開放されて、見学することができます。
このティアパークは、第二次世界大戦後の東西ドイツ分裂時以降の動物園。というのも、ベルリンに古くからあった動物園ツォークシャーガルテンは、ベルリンの壁の西側で西ドイツのものとなってしまったので、東ドイツには新しく動物園や公園が作られたという背景があります。
戦後、社会主義国家となった東ドイツは、経済的に逼迫した状況にあり、男女を問わず貴重な労働者が必要でした。国家はその問題を高いする、女性の労働力を確保するために、子供の教育を向上させる教育プランや施設を整備したのです。国民は、国家から画一化された教育や娯楽を与えられていたという事になりますが、このティアパークでは、国民の誰もが憩いの場所となる美しい公園が整備されています。
特に、当時の東ドイツは、国家の次世代を担う子供を健全育成するた為に、教育上優れた動物園をつくることにも力を入れていました。その思想は今でも受け継がれ、子供のために、動物と触れ合う教育プログラムをたくさん実施しています。ペリカンのような温和な動物であればすぐ近くでお出迎えしてくれるような工夫も。
このような国民の為の取り組みは、当時のドイツ共和国で権威あったカールマルクス勲章を受章するぐらい、価値がありました。
動物園で子供達やお年寄りに人気があるのが、電気自動車で走る電車。パンダ電車っていう可愛い名前が付いています。乗車は無料で、約20人乗りの客車が2両あって、ベビーカーごと入れる構造。家族連れには嬉しい乗り物です。
このパンダ電車は、40分のコースを回ってくれます。主に、サバンナの平原に生息する蔵、キリン、ダチョウなどの見学コースを通るので、正にアフリカンサファリパークの気分が味わえます。
また、この動物園には大きなレストランが2箇所あります。子供も大人も食べる量が調節できるように、ビュフェ方式になっています。軽食から、しっかりした食事メニューがあります。
特に、工夫されているのが、子供も大人も楽しめる熱帯魚の水槽や、子供が飽きないように、ちょっとした動物園の積み木コーナー等が設けられています。家族連れもゆっくり食事ができ、お年寄りもゆったりと座ってお茶をくつろぐことができます。
ティアパークのお土産物の中でも特におススメするのが、キュウリの酢漬け。ベルリンより南部の湖水、河川地域ではキュウリが栽培されており、このキュウリを使って色々な風味の酢漬けが名物となっています。ビネガーに、マスタードやハチミツ、ニンニク風味など。
このお店は、ベルリン南部の森林地域シュプレーバルト(Spreewald)にしかありません。ベルリンの街で買えるのはここだけ。だから、周辺の住民も買いにやって来て、すぐ行列ができます。持ち帰りもよし、持ってきたワインと食べるのもいいですよ。
国家を上げて造られたこの動物園は、当時の労働者だけでなく、現代の人々にも十分に知識と娯楽を与えてくれる工夫された動物園です。環境保護を重要視するヨーロッパの人々にとって、この動物園が取組むアフリカの状況は大変興味深く、子供の時から知っておきたい事。敢えて、アフリカのサファリパークのような風景を作って、来園者の興味をそそります。
社会主義国家作った画一的な娯楽施設と言えども、現に今も沢山の訪問者が来る人気の動物園。それは、動物園の工夫、特にサファリパークが見れるという事が人気の理由です。このティアパークで東ドイツ時代から工夫されたレジャースポットを見てみられては如何でしょうか。
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(2024/4/26更新)
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