公式ホームページを持たない「紫野源水」。配送販売はしているものの、注文も電話で受け付けています。ネットで手軽にその全貌を発信し営業集客できる昨今、決してデジタルで済ませないこのスタイルを貫かれると、余計に足を向けたくなるものです。
江戸時代創業の老舗和菓子店「源水」の三男であるご主人が、修行の後に創業したのがこの「紫野源水」。駅からさほど遠くなく、容易にたどり着く道のりにある店舗は、小振りながら謙虚な自信と威厳を感じる店構えです。
やはり店を訪ねてよかったと感じさせる、店内のこの設え。玉砂利に苔むした蹲(つくばい)と南天…押しつけがましくない小さく静かなこの一角に、デジタルのどんな手法にも敵わない日本の「出迎える心」を感じます。
五人も入れば手狭な店内には、写真の一角と定番商品と季節の商品を並べたショーケース。暖簾の向こうすぐには、注文品を丁寧に箱詰めする様を見られるガラス張りの作業場があります。「やはりそこにあの品も詰め合わせてください」などと声を掛けるのに丁度いい…この距離感、今は貴重で味わい深いものですね。
こちらは春の季節限定“桜の有平糖”。店舗への事前予約とお取り寄せ通販サイトからの注文が中心で、この時期店頭に並ぶのは見本、ということで断られることが多い人気商品。有平糖は、桜時期だけでなく年間を通して、その時期に因んだ様々なモチーフで四季を愛でる飴細工なのです。
お茶席用の事前注文分による完売の日もあるので、事前に電話(記事最下段に記載)で問い合わせてから訪問するのがおススメ。
購入すると繊細な飴細工が壊れたり互いにくっつき合わないよう、個別包装して和紙の小箱に丁寧に詰め合わされます。薄く透き通るガラスのようで、これは全て職人の卓越した手業一つで表現されるもの。舌触りはツルツルとクリスタルの如く、甘みもどこか儚く繊細な逸品です。
これは何度と通っていても、そして既に知る者でも、その度に感嘆の声が出る…これがカリスマバイヤーも注目する所以。“桜”も含め雅な春から夏にかけてのの情景を表現した飴細工の全貌は、後段でたっぷりとご紹介致します。
ショーケースの中の季節の“有平糖”ラインナップ(写真)。ツクシ、ゼンマイ、蝶々、菖蒲、松葉…。お薄やお煎茶、お茶席を想像するだけで、話題も弾み胸が高まるような日本が誇る四季のおもてなしができそう!
食後のデザートやアフタヌーンティーで、エディブルフラワーのようにプレートサイドに飾るなどもいい。これもアイデア次第、雅モダンな使い方も無限大です。
「桜がご入用ならすこぉし残っていましたから詰め合わせておきますね」暖簾向こうからの柔らかで静かな京都弁のやりとり。作り手の想いは味に、売り手の想いは言葉に、という有難さをリアルに感じられるのも店頭販売ならではの温かみです。
その想いの詰まった“名残り桜”と“蝶々”、そして爽やかな薄水色の落雁の水面。丁寧に包まれたそれは、芸術品を取り扱うようでこちらも最後まで少々の緊張感を感じます。
※詰め合わせ価格等は、種類によるので店舗へ直接お問い合わせを。
「箱庭」のように詰め合わされた有平糖をガラス器に配置すれば、日本人の感性の深みを表現する季節の「風景」に。こちらは何もテクニックなど必要が無い、この品そのものが発するアーティスティックな雰囲気だけで充分です。
飴細工は様々な国にありながら、日本の飴細工の四季感、感性は、外国人観光客をも魅了しています。外国人へのプレゼントやおもてなしにもいい、お茶席やティータイムの季節の“華”になるお土産にいかがでしょう。
大手デパートや厳選品専門通販などがこぞって取り扱い、現地情報誌にも掲載されている「紫野源水」“有平糖(ありへいとう)”
京土産は多く、その「旬」の入れ替わりのペースも早いことながら、京都に行くと決まってこれを求めに北大路へ行く、という自分の「定番」を作るのも粋ではないでしょうか。
京都府京都市北区小山西大野町78-1
TEL:075-451-8857
京都市営地下鉄 烏丸線 北大路駅 徒歩7分程度
日曜・祝日定休
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