「王妃の村」ポルトガルのオビドスを完全制覇

「王妃の村」ポルトガルのオビドスを完全制覇

更新日:2017/06/04 19:13

菊池 模糊のプロフィール写真 菊池 模糊 旅ライター、旅ブロガー、写真家
オビドスは、ポルトガルの七不思議のひとつで「谷間の真珠」あるいは「中世の箱庭」とも称される、古い街並みを残す、城壁に囲まれた美しい村です。人口800人ほどしかないのですが、ポルトガル旅行の白眉とされ、昼間は観光客で一杯。小さな空間に凝縮された絵本のような村を散策して、中世の雰囲気を満喫してください。

オビドス(オービドス)の門とメインストリート

オビドス(オービドス)の門とメインストリート

写真:菊池 模糊

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1288年にポルトガル王ディニス1世と王妃イサベル(聖エリザベト皇后)は、新婚旅行でオビドスを訪れました。その際、王妃が大変気にいったことから、王はこの地を王妃にプレゼントしたのです。以来、オビドスは代々の皇后の直轄地となり「王妃の村」とされました。今は、中世の面影を残す小さな観光地として、ポルトガル旅行随一の人気スポットです。

オビドスに到着し、まずポルタ・ダ・ヴィラという門に入ると、アーチ上部に18世紀のアズレージョ(タイル装飾)が見られます。この城門は1380年に建造されたもので、中で折れ曲がるクランク型の構造で、敵に直接攻め込まれるのを防いでいます。

オビドス(オービドス)の門とメインストリート

写真:菊池 模糊

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門を抜けるとメインストリートが現れ、青と白の配色が印象的です。写真は城門横の城壁に登る階段から撮ったもの。ここに限らず、オビドスはどこを撮っても絵になりますので、思い切り写真撮影を楽しんでください。

オビドス(オービドス)の門とメインストリート

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このメインストリートは、ディレイタ通りといい、両側の白壁の家に挟まれた石畳の細い道で、一番奥のオビドス城まで少し上り勾配で続いています。ここには、土産物屋などが立ち並び、昼間は観光客の流れが途絶えることがありません。

オビドス名物を楽しむ

オビドス名物を楽しむ

写真:菊池 模糊

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城門からオビドス城まで10分ほどで行けるのですが、急がずに、ディレイタ通りを見物したり買い物したりして、ゆっくりと歩きながら楽しみましょう。

ここでは、さくらんぼの果実酒であるジンジャ・デ・オビドス(Ginja d’Obidos)通称ジンジャが一番の名物です。 瓶の大きさやデザインは各種あり、お土産にも最適。通りのあちこちで販売されており、ほとんどの方が買って行かれます。

オビドス名物を楽しむ

写真:菊池 模糊

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お土産は不要という方でも、せっかくオビドスに来たのですからジンジャを一口飲んでみましょう。それにはチョコレート製小カップ(お猪口)に注いでくれるジンジャが最適で、通りのあちこちで売られています。1ユーロくらいで飲めますので、ジンジャとチョコをぜひ味わってください。ジンジャは、とても甘いリキュールで口当たりは良いのですが、アルコール度数は20度くらいあり、結構強いお酒です。

オビドス名物を楽しむ

写真:菊池 模糊

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オビドスでは、ジンジャだけでなく、各種の小物雑貨類がお土産として売られています。中でも可愛い陶器類(写真参照)が人気。その他にも、タイル、コルク製品、人形、バッグ、衣類など多種多様で、お好みに応じて買い求めてください。

サンタマリア教会

サンタマリア教会

写真:菊池 模糊

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ディレイタ通りをオビドス城へ上っていく途中、右側に大きな広場(サンタマリア広場)があります。その中央正面の美しい白い教会がサンタマリア教会です。ここは村の中心の教会という感じで、外観はシンプルで清楚。内部も必見です。

この教会は12世紀にロマネスク様式で創建され、何度か立て直されました。ポルトガル国王(アフォンソ5世)が1448年に結婚式をあげた教会としても有名です。王や王妃も若かったそうですから、この可愛い教会に似合っていたことでしょう。

サンタマリア教会

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中に入ると歴史を感じさせる雰囲気で、祭壇を取り囲むアズレージョが見事。主に聖母マリアをテーマにした絵画や彫刻があり、天井にはフレスコ画が描かれています。ここで、長椅子に腰かけて、ひととき敬虔な気持ちで、祈りをささげてはいかがでしょうか。

サンタマリア教会

写真:菊池 模糊

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サンタマリア教会の壁面は見事なアズレージョで覆われています。青いタイルは暗い教会内を明るくしてくれます。まさに、いかにもポルトガルらしい教会といえるでしょう。

アズレージョは、かつてイベリア半島を統治したイスラム教徒(ムーア人)が用いていた建物装飾の伝統を受け継いだもので、その源流はペルシアのタイル芸術にあります。アズレージョという言葉は、アラビア語で「ホーローで覆われた素焼き」を意味します。まさにシルクロードの文化がユーラシア大陸の西の果てのポルトガルで花開いたのです。

なお、サンタマリア教会の前には、ペロウリーニョという石の柱がありますので、忘れずに見学してください。これは、かつて罪人を晒した柱で、村の自治のシンボル的役割があったそうです。

オビドスのポザーダは人気随一のホテル

オビドスのポザーダは人気随一のホテル

写真:菊池 模糊

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メインストリートの突き当りには石壁がひときわ大きくそびえ、強固な城塞のように見えます。これがポルトガルの七不思議のひとつとされるオビドス城です。

現在は、歴史的建造物を利用した国営のホテルである「ポサーダ カステロ デ オビドス(Pousada Castelo de Obidos)」として格式を誇り非常に人気があります。古城ホテルの一種というべきものですが、内部は綺麗に改装されており、快適に宿泊できます。

オビドスのポザーダは人気随一のホテル

写真:菊池 模糊

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写真をご覧ください。ポサーダの中庭です。周囲を城壁に取り囲まれていますが、中庭は石畳が敷き詰められ、白いホテル建屋が落ち着いて上品な雰囲気を醸し出しています。

オビドスのポザーダは人気随一のホテル

写真:菊池 模糊

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このホテルに宿泊すると、オビドスを囲む城壁へ上るプライベートなアプローチを利用できます。とても美しい景色を独り占めできるのです。このホテルは部屋数が少ないのが難点ですが、機会があればぜひ宿泊されて、ホテルからの城壁ルートや夕刻から夜にかけての街歩きなど、一味違うオビドスを体験してください。

オビドスの城壁に上る

オビドスの城壁に上る

写真:菊池 模糊

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オビドス旧市街を囲む城壁へは、何箇所か上り口があり、素敵な景色を楽しむことができます。おすすめは、オビドス城手前から西側城壁に上り、南へ歩き、最初に紹介した城門(ポルタ・ダ・ヴィラ)に至る、半周コース。オビドス城壁は西側が高いので、このコースは見晴らしが良いのです。

オビドスの城壁に上る

写真:菊池 模糊

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写真にありますように、城壁の上を歩けば、スリル満点で素敵な景観も満喫できます。城壁上ルートは一応の道幅はあり、外側には石壁があるのですが、内側は手すりもなく切れ落ちており危険です。かつて観光客の落下事故もあったそうですから、城壁の上をめぐる際は、細心の注意をはらい、用心深く歩いてください。

オビドスの城壁に上る

写真:菊池 模糊

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城壁を歩き城門に戻ってきて、まだ時間がある場合は、再度旧市街を歩いてみましょう。今度は、ディレイタ通りではなく、一本下側(東南側)のジョゼファ通りを歩きます。この通りは観光客が少なく、ひっそりとしており、田舎の村の穏やかな風情を楽しめます。

ジョゼファ通りにはオビドス第二の教会であるサン・ペドロ教会(写真参照)があります。この教会は12世紀に創建されたものですが、リスボン地震で崩壊し再建されました。最近外装の改修を終えたことから綺麗になっています。サンタマリア教会とまた違った雰囲気で、金泥細工の祭壇がありますので、ぜひ入場してみてください。

最後に

ポルトガルの首都リスボンからオビドスまでは、バスで約1時間ほどですので、日帰り観光に最適です。また、リスボンから北のコインブラやポルトに向かう途中に寄って観光するのも良いでしょう。しかし、ここは素晴らしい田舎の村ですので、余裕がある場合は宿泊して、夜の街並みを楽しんでみるのも一興です。

オビドスには三大祭りというものがあります。春のチョコレート祭り、夏の中世祭り、12月のクリスマスです。混みますが祭りの時期に訪れるというのも面白い体験ですので、日程を決める際には参考にしてください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/02/28 訪問

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