イギリスに本格的な夏が訪れる前、6月下旬から7月初旬の週末に世界中のクルマファン、バイクファンを魅了するイベントが毎年開催されています。それはクラシックレーシングカーの祭典「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」です。
モータースポーツマニアにはよく知られるイベントですが、足を運んだ事がある人は少ないのではないでしょうか。マニア向けのイベントのように感じますが、実はイギリスでは年々盛り上がりを見せ、今では多くの国民によく知られる存在になっています。
F1マシンをはじめ歴代の名車が一堂に会して走行を披露し、現役当時にタイムスリップできるイベント。その魅力をご紹介していきましょう。
「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」には毎年あらゆる時代の名車が集められ、当時と変わらないエンジン音を響かせながら走行します。通常、レースが開催されるサーキットには安全のために金網の柵が設けられていますが、このイベントの会場にはそんなものはありません。なぜなら同時にスタートして順位を争う競技ではないからです。
コースと観客席の間を仕切るのは1950年代のレースを思わせるストローバリアと呼ばれる藁の束だけ。コースのすぐ横で駆け抜けるマシンを眺めたり、写真を撮ったりすることができますよ。
イベントに参加する200台を超えるレーシングカーは広場のテントの下に並べられ、走行に向けて整備が行われます。通常、サーキットでは特別な許可をもらわない限りピットに入ることはできませんが、グッドウッド・フェスティバルではチケットを持つ全員がテント下のマシンに近づくことができ、自由にレーシングカーの撮影が可能。整備中にはエンジンや車体のフレームなどを見ることだってできるんです。この近さはたまりませんね!
「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」では毎年いくつかのテーマが設けられ、そのテーマ別にマシンが整列。並んでいるマシンを眺めているだけでも至福の時間になることでしょう。
実は集めらるマシンの多くは個人所有のもの。ヨーロッパでは使わなくなったレーシングカーを売却するのが当たり前で、熱狂的な個人オーナーによって大切に動態保存され、クラシックカーレースに出場したりするマシンも数多くあります。マシンのすぐ近くにはオーナーの方がチェアを置いて座っていることもあり、気さくにファンとオーナーが談笑する温かい雰囲気が会場に流れています。
「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」の会場となっているのはイギリス、ウエストサセックスにある貴族出身者の私有地。熱狂的なレースファンである主催者のマーチ卿が自身の広大な庭をこのイベントのために開放しているのです。
元々モータースポーツは貴族の自動車自慢から始まったものであり、会場にはその時代を思わせるジェントルな空気が流れています。
会場に集うマシンはそのほとんどが動態保存された、今も実際に走れるマシン。なぜならこのイベントのメインは「ヒルクライム」と言われるタイム計測の競技で、多くのマシンがこの競技に出場するからなんです。ただクルマやバイクを集めて見せるのではなく、ゆるーくタイムアタック競技にも参加する。まさにモータースポーツ発祥の時代を思い起こさせるイズムがこのイベントの特徴です。
マシンを操るのは各マシンのオーナーだけではありません。現役のF1ドライバーや当時の名選手が来場し、マシンをドライブすることも。かつての有名選手も普通に会場を歩いていますから、まさにタイムスリップした気分になってしまいますよ!
名選手や憧れのレーシングカーを見るとついつい興奮してしまいますが、ここは貴族文化が生んだパーティー会場のような雰囲気ですから、ゆったりと心に余裕を持って過ごすのがベスト。会場にはシャンパンのヴーヴクリコのブースも出ていたりしますから、お酒を飲んで心ゆくまで至福の空間に浸ってみてはいかがでしょうか。
「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」はレーシングカーの走行、展示だけでなく、近年は自動車メーカーが巨大なブースを出展したり、年々その規模を拡大しています。英国の高級車ベントレーのシートに試乗したり、なかなか日本のモーターショーではできない体験もできます。
マニアックな空気かと思いきや、緑豊かな敷地で開催されるイベント会場は子供や孫を連れたファミリーも多く、温かい雰囲気に包まれています。ぜひ一度は体験して欲しい、気高い自動車文化とモータースポーツへの愛が詰まったイベントです。
会場へはレンタカーの利用が最も便利ですが、ロンドン・ヴィクトリア駅から最寄のチチェスター(Chichester)駅まで鉄道で約40分。会期中は駅から有料のシャトルバスも走るのでロンドンから日帰りすることもできます。2017年は6月29日〜7月2日の開催。特に土日のチケットは売り切れになることもあるほど人気が高まっているので、事前に入手しておくのがベターです。
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(2024/4/25更新)
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