写真:やた 香歩里
地図を見るここは平安の昔、鬼と恐れられた海賊・多娥丸(たがまる)がこの地を根城にしていたことから「鬼の岩屋」と呼ばれていましたが、室町時代に有馬忠親が山頂に城を築いて以降、鬼ヶ城と呼ばれるようになりました。
鬼ヶ城の遊歩道は、ぐるっと一回りできる道ではなく、東口、西口の2つの入り口があります。世界遺産の花の窟神社や獅子岩に近いのが西口、大泊海水浴場に近いのが東口です。今回は、東口から西口へ向かって、この鬼ヶ城周回線歩道をご案内していきます。
写真:やた 香歩里
地図を見る東口にあるのが、2013年にオープンした鬼ヶ城センター。売店や観光情報発信コーナーのほか、レストランやカフェなど、食事や休憩の施設も充実しています。売店では熊野のお土産物が多種多様にそろっているほか、熊野特産の柑橘・新姫のソフトクリームや、熊野地鶏の手羽先唐揚げなどを味わえるテイクアウトのコーナーもあります。
写真:やた 香歩里
地図を見る鬼ヶ城センターを過ぎ、岸壁に沿った階段を下りて鬼ヶ城へと進んでいきます。写真の左端に見える小さな島は魔見ヶ島(まみるがしま)。地元の人が「マブリカ」と呼ぶこの島には、平安時代、桓武天皇の命により坂上田村麻呂が鬼ヶ城の鬼討伐に向かった折、童子が現れて舞い唄ったのだとか。それに気を取られた鬼が岩戸を押し開けたその一瞬に、坂上田村麻呂が神通の矢を射て鬼を仕留めたという伝説があります。現在ではダイバーや釣り人に人気のスポットです。
写真:やた 香歩里
地図を見る最初の見どころは「千畳敷」。広い岩の平地に、巨大な岩の天蓋があります。見た人が思わず「おお…!」と驚きの声をあげてしまうこの天蓋、高さはなんと約15メートルあります。
写真:やた 香歩里
地図を見る千畳敷の広さは約1500平方メートル。かつては「鬼」が集ったであろうこの広場で、現在はイベントが行われることもあります。
千畳敷の先に進みましょう。長年の波による浸食と、大地震による変動が生み出した驚愕の風景はまだまだ続きます。
写真:やた 香歩里
地図を見る天然の岩の上にめぐらされた歩道を歩きます。柵や鎖が設置されてはいますが、足元が良くないところもあるので、ヒールの靴は厳禁です。アップダウンはそれほどでもありませんが、水が出て滑りやすいところもあるので、底の薄いサンダルや、滑りやすい靴も避けてください。周回線歩道を端から端まで歩くなら、底がしっかりして滑りにくい靴を履いていくのがお薦めです。
写真:やた 香歩里
地図を見る千畳敷を越えて少し歩くと、この断崖絶壁が見えてきます。猿でさえ、この高さ数十メートルの断崖に恐れをなして後戻りすると言われることから「猿戻り」と呼ばれています。
写真:やた 香歩里
地図を見る断崖絶壁の先には、上から下まで、深い亀裂が走っています。奥に見える小さな橋がなければ、人が渡ることはまず不可能です。
またこの100メートルほど先にはやはり断崖絶壁があり、そちらは「犬戻り」と名付けられています。東口側からやってきた犬が、これ以上渡れずに戻っていく…人よりはるかに身軽な猿や犬でも渡ることができない厳しい地形。歩道があり、柵があっても、足がすくむような迫力です。
写真:やた 香歩里
地図を見る猿戻りを越えてほどなく見えてくる、「鬼の風呂桶」。岩の割れ目に常に海水が溜まっており、風呂桶のように見えることからこの名がつきました。
写真:やた 香歩里
地図を見る岩の上に棒状のものが突出している岩は「神楽岩」。海に向かって咆哮する神楽(獅子舞のこと)の後ろ姿に似ていることから、この名がつきました。
写真:やた 香歩里
地図を見る次に見えてくるのが、この全長50メートル以上もあるという巨大な「鰐(わに)岩」。鬼ヶ城は、見どころ付近に名称のプレートが設置されていますが、一見してどれだか判別ができないところもあります。しかしこの鰐岩は、見た瞬間に「これが鰐岩か」とわかります。巨大な岩に波しぶきがかかり、その下から岩肌が姿を現す瞬間は、まさに海から巨大なサメが浮き上がってきたようです。
このあたりがちょうど鬼ヶ城周回線歩道の中間あたりになります。
写真:やた 香歩里
地図を見る岩の割れ目の両側から波が打ち寄せると、咆哮のような音を立て、鯨が潮を吹くようなしぶきを立てることから、「潮吹」と呼ばれています。このあたりは岩が多く、波が複雑にぶつかりあって、大きなしぶきが上がることがあります。
写真:やた 香歩里
地図を見る「鬼の見張場」。最初の千畳敷に比べると狭いですが、大岩の屋根の下、広い平地のスペースになっており、東は七里ヶ浜、西は魔見ヶ島や磯崎町の猪ノ鼻まで、広く東西を見渡すことができます。かつて鬼がここから海を睨んでいたのでしょう。
写真:やた 香歩里
地図を見る「水谷」は、山頂から絶えず水が流れ落ちてくる場所で、かつて鬼がここで水を汲んだと言われています。撮影日は前夜に大雨が降ったため、通路にも大量に水が流れてきていました。常時このように通路に水が流れているわけではありませんが、当日や前日の天候により足元が濡れていることもあるので注意してください。
写真:やた 香歩里
地図を見る西口近くにある「波切不動」は、周囲の岩とは明らかに岩質が違います。その形が不動尊を思わせることと、高波が来た際に波を噛むように見えることから、「波切不動」と呼ばれるようになりました。また、西口近くにはたくさんの洞窟があり、その天井には波切不動の上にあるような、「蜂の巣」と呼ばれる無数の大小の窪みがみられます。
波切不動を越えると、100mほどで西口に到着します。東口から西口まで、約40分の道のりですが、じっくり景色を眺めたり、写真撮影をするならば、もう少し時間に余裕をみておいた方がよいでしょう。
鬼ヶ城の自然の造形は圧倒的ですが、ごつごつした岩の感触や打ち寄せる波音、吹き付ける風が加わって、まさに全身で絶景を感じることができます。
鬼ヶ城を観光する場合、東口から入り、千畳敷や猿戻りあたりで戻る方が多いようですが、中盤の「神楽岩」や「鰐岩」「水谷」、またここには全てを載せることができませんでしたが、「犬戻り」や「飛渡り」「鬼の洗濯場」など、見逃してはもったいないポイントがたくさんあります。なお、東口側からは頂上の城跡に向かうこともできます。西口から入って東口の鬼ヶ城センターまで歩き、さらに頂上を目指して城跡へ、そして頂上の「鬼の見晴台」から海を眺めれば、海岸と山頂の両方から熊野灘の眺望を楽しむことができます。
アクセスとしては、車であれば鬼ヶ城センターに駐車場があります。公共交通機関を利用する場合は、熊野市駅前から熊野市バスと三重交通バスの路線バスがありますが、本数が少ないので注意が必要です。土日祝日には市街地周遊バスも運行されます。
ご覧のように海に剥き出しの地形なので、気象状況等により通行止めになることもありますが、天候等に恵まれればぜひ、この自然の織りなす絶景を、端から端まで体感してみて下さい!
この記事の関連MEMO
- PR -
トラベルjpで250社の旅行をまとめて比較!
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2024/3/19更新)
- 広告 -