写真:宮坂 大智
地図を見る澎湖の北「白沙(バイサー)」の「後寮」には、白いサンゴ礁でできた美しいビーチが広がっています。海水浴の季節になると多くの観光客が押し寄せるビーチから離れ、荒れ果てた狭い道を進むと、そこにはかつての後寮の港「後寮村東港舊碼頭」が静かにたたずんでいます。
この場所は、澎湖でキレイな海を見たいという方にも、絶景を楽しみたいという方にもオススメですが、特にオススメしたいのは、普通の観光客が知らないような場所に行きたいという方です。というのも、後寮村東港舊碼頭は観光スポットというわけではないため、目印になる看板などは一切なく、狭い道がひしめく小さな集落を通り抜け、さらに車一台がギリギリ通れる細い道を通り抜けた先にあるからです。最初は不安になるかもしれませんが、その分、目的の後寮村東港舊碼頭が目に入った時の感動は言葉では言い表せません。
写真:宮坂 大智
地図を見るこの港の最大の特徴は、クネクネと曲がりながら海に突き出ているユニークな形です。海のなかに向かって長く伸びた姿はとても神秘的で、「天国への道」と呼ばれることもあるほどです。潮が満ちている時は港の大部分が海のなかに浮かぶ姿になり、潮が引いている時は
玄武岩で形作られた美しい浅瀬が姿を現します。時間帯によっても、潮の満ち引きによっても風景が変わるのは、まさに離島ならではの魅力です。
港は思ったより細長いので、海に向かって港の上を歩いていると、まるで海の上を散歩しているかのよう。ただし、港が濡れていると足元が滑りやすいので気をつけてくださいね。また、冬場の風が強い日は危険なのでご注意ください。写真は、海に向かって撮影しても良いですが、港の先から陸に向かって撮影してもキレイに写ります。周りには遮るものもないので、夕日も美しく撮影できますよ。
写真:宮坂 大智
地図を見る現在は使われている様子がまったくありませんが、港に大きな損傷がなく綺麗な姿を保っているのはなぜでしょうか? その理由は、地元のお寺に祀られている道教の神様「保生大帝」のお告げによって2006年に修繕が行われたからです。お告げの内容は、地元の人や地元から出て行ってしまった後寮出身者の安全や繁栄を祈るために、後寮村の命脈(大切な場所)である後寮村東港舊碼頭を修繕をするように、というものでした。
神様からのお告げというと信じられないかもしれませんが、澎湖では今でも神様が人間に伝えたいことがあると、人間の体を借りてお告げをすることがあります。神様が乗り移った人のことは乩童(ジートン)と呼ばれ、お寺の密度が台湾随一の澎湖では日常的に目にすることができます。
写真:宮坂 大智
地図を見る後寮村東港舊碼頭の方から陸を見ると、五營(ウーイン)の1つがあります。五營とは東西南北中の5カ所に守り神を配置する道教の習慣で、澎湖では全ての村とお寺にあります。五營の形は、村や場所によってまったく違うので比べて見ると面白いのですが、ここ後寮村東港舊碼頭のものは丸い石の横に竹が置かれているというちょっと珍しい形です。
なお、五營は先ほどご紹介した乩童によって力を強めることができ、一年に一度、「鎮符(ジェンフー)」という伝統行事が執り行われています。村はずれにあり、ほとんど誰も来ないように思えるこんな場所でも、村の守り神が置かれているのを見ると、いかに後寮村東港舊碼頭が大切にされているのかが分かるかと思います。
後寮村東港舊碼頭はまだ観光客にはあまり知られていない場所で「天国の道」なんて呼ばれることも。潮が引いた時と満ちた時でも違う表情を見せてくれるので、何度で行きたくなる場所です。ただし、分かりにくく舗装されていない道の先にあるので要注意。幹線道路から後寮村のお寺に続く北側の「澎8」道路に入り「勇伯電気行」と書かれた建物の右側にある脇道を進み、集落を通り抜けた後のY字路を右に進んだ先にあります。
この記事の関連MEMO
- PR -
トラベルjpで250社の旅行をまとめて比較!
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2024/4/19更新)
- 広告 -