写真:永澤 康太
地図を見る厚木市西部に位置するかぶと湯温泉の周囲は、東丹沢の長閑な里山が続くが、この風景は宿手前まで。宿に至る分かれ道辺りで突如雰囲気が変わり、木々に覆われた林道には深山幽谷の気配すら帯び始める。本厚木駅方面から来た人は、商業施設で賑わう市中心部との落差に驚くことだろう。
写真:永澤 康太
地図を見る宿の看板に従い分かれ道を左へ。途中、駐車場を通り更に降りて行くと、道の終わりに「山水楼」の玄関が現れる。緑が建物を包み込み、横に小川が流れる光景は、秘湯に来たというよりも、昔話に出てくる隠れ里へ迷い込んだかのよう。日常の直ぐ近くにこんな場所があったなんて、と感嘆を覚えさせてくれる。
写真:永澤 康太
地図を見るかぶと湯温泉の始まりは大正12年。関東大震災が起きた際、地元でかぶと岩(現存せず)と呼ばれていた田んぼの大岩が崩れ、そこから温泉が湧出。戦後、田んぼだった場所に「山水楼」が建ち、アルカリ性の高さで人気を博してきた。事実、立ち寄り客が多く、じっくり湯浴みしたい方は、宿泊することをお勧めする。
写真:永澤 康太
地図を見る客室は前述した小川を望む部屋もあって情緒満点。窓に広がる自然の濃さが日常を彼方へと追いやり、そして忘れさせてくれる。また、共同トイレとなるものの、ウォシュレットを設置(脱衣所のトイレは除く)しており、フリーWi-Fiも飛んでいるので、隠れ宿・秘湯のジャンルでありながら手軽に滞在可能だ。
写真:永澤 康太
地図を見る露天付き男女別風呂を紹介するに当たり、まず外せないのが、地下5mより自然湧出した温泉を湯船に注いでいること。動力で温泉を汲み上げるところが多い中、掘削もせず自噴するかぶと湯温泉は大変貴重だ。次に毎分5ℓと限られた湧出量で、源泉掛け流し(源泉温度が低い為加温)を実現していること。湯船が小さめなのは加水・循環をしない為に計算されたものであり、温泉を大事にしている表れなのだ。
温泉はph値が9.7で、一般的に「美肌の湯」と言われるタイプ。「ヌル」と「ツル」と「トロ」が合わさった『トゥルン』とする独特な肌触りで、中々に面白い。非加熱源泉に触りたい方は、カラン・シャワーに使用されているのも温泉なので、そちらをどうぞ。
写真:永澤 康太
地図を見る露天は男女で見える景色がそれぞれ違い、男湯「木立」からは竹林を、女湯「清流」からは小川を眺められる。どちらも風情豊かで、世間の忙しなさとは無縁の、非常にゆっくりとした時間がここでは紡がれている。心が安らいでゆき、露天に関しては精神面での効果も期待できそう。
写真:永澤 康太
地図を見る宿の膳で主役となるのは里山の味覚。東丹沢の山菜やタケノコが、御主人によって上品な料理へと仕上げられ、味付けも実に繊細。加えて酒とも良く合い、丹沢の水で仕込まれた日本酒の「盛升」か「相模大山」を注文して一緒に頂くと、より食事の深みが増す。
写真:永澤 康太
地図を見るもう一つ、丹沢の名物なのが猪で、「山水楼」でもご多分に漏れず猪鍋が味わえる。猪の独特な臭みが苦手な方もいると思うが、この鍋は不思議とそういうものは感じず箸が進むので、是非とも皿にとってほしい。なお、お食事軽めのプランだと鍋は付かない点に注意。それと、時期が過ぎていても注文可(事前に要相談)。
宿まではいずれの交通手段でもアクセスが容易。特に電車を使う人は、小田急電鉄が発売する「丹沢・大山フリーパス」が便利。往復乗車券付きで、本厚木駅〜渋沢駅間と神奈川中央交通バスの指定区間が2日間乗り降り自由になる。(Aキップは大山ケーブルも含む、詳細は下記リンクを参照)。これを駆使して、例えば大山詣の後「山水楼」に宿泊、翌日は周辺の温泉を巡るといったことも。最近疲れていると思う方、かぶと湯温泉へ充電に出掛けてみては?
*一口メモ
・メタケイ酸、メタホウ酸の項目で温泉法上の温泉に該当
立ち寄り湯:大人1100円/子供550〜770円(要事前確認)
※平日火曜、水曜は休館(祝日は営業)
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(2024/4/25更新)
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