飯田線の秘境駅めぐりのスタートはここ天竜峡駅。天竜奥三河国定公園の名称「天竜峡」の最寄り駅です。天竜峡駅から徒歩10分ほどにある「天竜峡」は天竜川が切り開いた断崖絶壁が続く渓谷で、秋の紅葉の時期には多くの観光客が訪れます。また天竜峡温泉もあり、観光客も日帰り温泉や足湯で温泉を楽しむことができます。天竜峡温泉港から出航される天竜ライン下りという舟下りも人気。飯田線沿線での一番の観光スポットです。
天竜峡駅から豊橋方面に向かう電車に乗ると、すぐ次の駅がこの「千代駅」です。まわりには民家が点在しているので、あまり秘境のムードはありませんが、1日の乗降客が大変少ないということから秘境駅の扱いをされています。
「千代駅」を訪れる方の多くは、こちらの駅の看板を触ります。看板に触れると長生きができると言われているようで、ツアーで訪れた方もほとんどみなさんが看板をなでなで・・・。
多くの人々が駅の看板に群がり、その看板を撫でている様子はちょっと不思議な光景です。
「千代駅」の次の駅がこの「金野駅」。この駅は飯田線の駅の中でもいちばん乗降客が少ない駅です。なにしろまわりに民家が全くありません。この駅で降りた人はいったいどこに行けばいいのかもわからないほどの山の中。「金野」の集落には歩いても1時間ほどかかり、集落の最寄り駅としての利用もできないほど。歩いて1時間もかかるなら天竜峡駅まで車で送迎してもらったほうが確実に早いでしょう。
「千代駅」は駅の看板に触ると長生きができるということでしたが、「金野駅」の看板にはそういう言い伝えはないのでしょうか。
駅名に「金」がついているだけに金運にあやかれる・・・なんてこともあるかもしれませんので、何となく触っておきたくなります。
「金野駅」から南下すること3つ目の駅が「田本駅」。こちらの駅の細長いホームの上には断崖絶壁が、そして駅から下にも崖が広がるというとてもおそろしい場所に存在する駅です。近くの集落までは坂道を20分ほど上ってようやくたどり着きます。
乗降客の少なさでも「金野駅」と1位2位を争うほどの「田本駅」ですが、秘境駅マニアには大変人気の高い駅でもあります。
難読駅名としても有名な「為栗(してぐり)駅」も、まわりにほとんど民家がない地域に存在する駅。朝と夕方の一部の普通電車はこの駅を通過してしまうほど、乗降客が少ない駅です。一日の乗降客は5人にも満たない秘境駅です。
「為栗駅」を利用するには、天竜川の吊り橋を渡る必要があります。この吊り橋は「為栗駅」を利用する人のために架けられている橋ですが、自動車は通ることができません。歩行者と二輪車だけしか渡れない橋なのに、なぜか県道に指定されています。
飯田線の長野県区間の最南端にあるのが「中井侍駅」。ここは長野県で最も南に位置している駅であると同時に、長野県でいちばん標高が低い位置にある駅です。
秘境駅と呼ばれる割にはまわりに民家がいくつか点在していて集落が形成されています。この集落では急傾斜地でお茶を栽培しており、地元天龍村の名産品になっています。
長野県最後の駅「中井侍駅」から南下すると静岡県の浜松市に入ります。浜松市といっても市の中心からはかなり離れている、旧水窪町という地区にあります。
飯田線静岡県区間の最初の駅「小和田駅」は、飯田線の秘境駅の中でもダントツの人気を誇る駅です。
天竜川の対岸は愛知県にも近いので「小和田駅」ホームには、愛知県と静岡県と長野県の三県境界駅という表示もあります。
「小和田駅」の駅舎は秘境駅を紹介する写真でもよく登場しますが、なんとも味わいのある木造の駅舎で、秘境駅の名にふさわしい外観です。
駅周辺は佐久間ダム完成前までは集落が存在していましたが、ダムの完成とともに集落は水没したため、住民の多くは移転を余儀なくされました。駅からいちばん近い民家でも歩いて15分程、集落になると1時間弱も山道を歩いていかなければなりません。
さらに駅までは道路も通じていないので、この駅を訪れるには飯田線の電車を使うしかありません。ちなみに「小和田駅」の乗降客のほとんどが秘境駅を訪れる観光客ですが、近くの民家への郵便もこの飯田線の電車を使って配達しています。
ひとつとなりの「中井侍駅」周辺と同様、お茶の栽培をしていたのか、駅周辺には製茶工場の跡地が廃墟として残っています。また、天竜川の近くには捨てられたミゼットが放置され、長年の風雨にさらされ朽ち果てた姿となっています。こういった風景は廃墟マニアにも人気で、秘境駅マニアだけでなく、廃墟マニアも集まるという人気の高い駅です。
飯田線は運行本数が大変少ないので、上下線のダイヤを事前に確認してから訪れる必要があります。豊橋駅と飯田駅の間は特急電車も1日に2往復運行されていますが、今回ご紹介したすべての秘境駅は通過してしまいます。車で訪れる際も、離合不可の狭い道も多く、落石や崩落の危険がある林道も少なくありません。また、駐車スペースもないので、天竜峡駅周辺のパーキングに駐車し、飯田線を使って秘境駅めぐりをするのがベストです。実際に人が住んでいらっしゃる民家も点在していますので、マナーを守った見学をする必要があります。
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