サンドロ・ボッティチェッリは、1445年3月1日に、ヌオーヴァ通り(現在のデル・ポルチェッラーナ通り)で四兄弟の末っ子として生まれます。父はサントスピリト地区に工房を構える皮なめし職人。現在も、ボッティチェッリが生まれた通りが残っていて、小さなトラットリアが数軒ある静かな界隈です。
そして、その近くにはサンタマリアノヴェッラ教会や、彼が眠るオンニサンティ教会などがあり、幼少時代に親しんだ場所であったのでしょう。
ボッティチェッリが生まれた通りから程近い、カッライア橋を渡った対岸側には、カルミネ教会があります。
この教会内のブランカッチ礼拝堂には、マゾリーノやマサッチョなど、ボッティチェッリの前世代の巨匠の一連のフレスコ画があり、彼のその後のスタイルに大きな影響を与えた作品として、必見です。
提供元:wikimedia commons
https://it.wikipedia.org/wiki/Cappella_Brancacci#/…さらに、ボッティチェッリの師匠フィリッポ・リッピの息子であり、ボッティチェッリに師事した画家、フィリッピーノ・リッピが描いた「天使に解放されるペテロ」、「ペテロとパオロの審問」、「ペテロの殉教」も、この礼拝堂にあります。
「ペテロの殉教」の中央部で、鑑賞者の方に顔を向けているアーチ下の人物は、ボッティチェッリの肖像。
◆ブランカッチ礼拝堂
Piazza del Carmine 14, Firenze
月曜、水曜〜土曜 10:00-17:00
日曜、祭日 13:00-17:00
火曜閉館
電話予約(英語可)+39 055 2768224 または +39 055 2768558
入場料 6ユーロ
教会に向かって右側が入り口です。入場は基本、予約制ですが、空きがあれば当日予約をその場で入れることも可能です。
鑑賞には時間制限30分あり。
ボッティチェッリの最も初期の作品は、フィレンツェの意外な場所に保存されています。それが、こちら、捨て子養育院美術館。アカデミア美術館のすぐそばにあり、2016年の6月にリニューアルオープンしました。
ボッティチェッリの作品が保存されている絵画の展示室は3階にあります。ここには、ドメニコ・ギルランダイオの「東方三博士の礼拝」(1485-1488年制作)や、ルカ・デッラ・ロッビアの「聖母像」(1446-1449年制作)など、ボッティチェッリと同時代の芸術家の作品が展示されています。
改装したてなので、照明も新しく、とても鑑賞し易い展示室です。
絵画室の一番最初に目に入って来るのが、サンドロ・ボッティチェッリのテンペラ画「聖母子と天使」(1465-1467年制作)。ボッティチェッリが20歳の頃の作品です。
当時、画家フィリッポ・リッピの工房で修行中だったボッティチェッリは、鑑賞者に目を向ける天使、中央の幼子と聖母の対峙など、師匠の同名の傑作「天使と聖母子」(1465年頃 ウフィッツィ美術館蔵)とほぼ同じ構図でこの作品を描きます。
◆捨て子養育院 Museo degli Innocenti
Piazza Santissima Annunziata 13, Firenze
10:00-19:00 無休(但し、祭日は休みの場合もあり)
入場料 7ユーロ 写真撮影はフラッシュなしであれば可
世界中に残っているボッティチェッリの作品のうち、18点が収蔵されているウフィッツィ美術館。
提供元:wikimedia commons
https://it.wikipedia.org/wiki/Lippina#/media/File:…第8室に展示されているボッティチェッリの師匠フィリッポ・リッピの「聖母子と天使」(1457年頃制作)をお見逃しなく。この10年後、ボッティチェッリは、ほぼ同じ構図、同じ題材で、前出の「聖母子と天使」を描きます。
提供元:wikimedia commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Botticelli…ボッティチェッリの作品は主に、3階展示室の第10-14室に集中しています。展示室の中央にあるのが、ボッティチェッリの「プリマヴェーラ(春)」と、「ヴィーナスの誕生」。ウフィッツィ美術館というと殆どの人が、これら2点を思い浮かべる程、有名です。メディチ家を中心にして活動した知的グループ、プラトン・アカデミーの影響を強く受け、ギリシャ神話とキリスト教の2つの世界を融合した謎の多い作品。
ここは、この美術館の中で一番混む展示室です。ゆっくり見たい方は、訪れる日を水曜日から金曜日に当てて、朝一番早い時間、8時15分に予約を入れて入場されるとゆったり鑑賞することが出来ます。
◆ウフィッツィ美術館
Piazzle degli Uffizi 6, Firenze
火曜〜日曜 8:15-18:50
月曜閉館
入場料8ユーロ(特別展開催期13ユーロ)
写真撮影はフラッシュなしであれば可
ところが、後期のボッティチェッリにはドメニコ派修道僧ジローラモ・サヴォナローラの影がさしかかります。ドメニコ派修道士として、サンマルコ修道院長になったサヴォナローラは、虚飾を排除する厳格な政治改革を押し進め、フィレンツェ共和国政府の顧問役に就任します。
多くの美術品や装飾品が焼き捨てられる中、ボッティチェッリはサヴォナローラの精神世界に傾倒します。彼の画風は、それまでの優雅な装飾性から、より精神世界を追求するスタイルへと、大きく変化します。
提供元:wikimedia commons
https://it.wikipedia.org/wiki/Girolamo_Savonarola#…サヴォナローラはその後、ローマ教皇と対立した為に、最期は、シニョリーア広場で火刑にかけられます。
実は、シニョリーア広場の石畳には、サヴォナローラが火刑にかけられた場所が記念碑として残っています。ヴェッキオ宮殿を正面に見て左側にある噴水の前あたりに丸い大理石のパネルが埋まっているのが目印。
これもまた歴史の足跡の1つ。シニョリーア広場に行ったら是非探してみて下さい。
◆ヴェッキオ宮殿 Palazzo Vecchio
Piazza della Signoria, Firenze
ボッティチェッリは、フィレンツェ中央駅に程近いのオンニサンティ教会に眠っています。
ここには、ボッティチェッリにより描かれた肖像が残る、美女シモネッタ・ヴェスプッチも埋葬されています。23歳という若さで亡くなった彼女は、ルネサンス一の美貌を誇り、ボッティチェッリの「ヴィーナスの誕生」のモデルであったとも言われています。
中央の祭壇の手前右手の右側にある礼拝堂が、ボッティチェッリが眠る場所。後世にこれだけ名を残した画家にしては、意外とこじんまりとした礼拝堂ですが、教会の信者達に大切に愛されて来た雰囲気が漂います。
誰が置いたのか、質素なボッティチェッリの円形の墓碑の前には、訪れた人々が彼に宛てたメッセージを入れられる様に、籠が置かれています。
◆オンニサンティ教会 Chiesa degli Ognissanti
Borgo Ognissanti 42, Firenze
月曜〜日曜 9:30-12:30 16:00-19:30
水曜は午後のみ
入場無料 写真撮影はフラッシュなしであれば可
いかがでしたか?サンドロ・ボッティチェッリは、500年以上前にフィレンツェで活躍した画家ですが、こうして、今も彼の足跡をたどることが出来る程、フィレンツェには古い街並みや建物、絵画が残っています。
フィレンツェの街を歩いて、教会に足を運ぶことで感じられる、ボッティチェッリの作品の魅力、実際の作品を目の前にして実感する素晴らしさを是非体験して下さい。
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