写真:SHIZUKO
地図を見るモクレン科のオオヤマレンゲは、香り良く、大きな花も美しい、めったに出会えない、まさに“森の貴婦人”と呼ぶにふさわしい気高き花。花の寿命は4日〜5日という命短い貴婦人です。
春の初め、他の花々に先駆け、純白の大ぶりな花を咲かせるモクレン科の花々。街中でも、庭木などで白い大きな花びらを上に向け咲き誇るモクレンを見かけることも多いはず。また、少し小ぶりのコブシの花も里山を華やかに彩ります。
写真:SHIZUKO
地図を見るオオヤマレンゲの花も純白無垢。モクレン科の特徴でもある肉厚の大きな花びらの中心に雄しべが伸びて、周りを紅色の雌しべが縁取ります。純白の花弁とのコントラストがなんとも美しい!ぽってりとたおやかな姿で、雨が降ろうと凛として咲き誇っています。
写真:SHIZUKO
地図を見るオオヤマレンゲが自生する森は、ここが日本最大級。国の天然記念物に指定されています。ここは、1週間に10日間も雨が降ると言われる豪雨地域。太平洋からの風が直接吹き付ける近畿の屋根である大峰山系。その最高峰の八経ヶ岳ならではの宿命でしょう。
雨が多いゆえに豊かな自然が育まれ、連なる峰々は、簡単に人を寄せ付けない厳しさを保っていると言えます。大峰山系が山岳修行の発祥の地であることからも、自然と共生しなければならない場所であることがわかります。自分の足で登ってみれば、便利と電化に支配された都市生活のもろもろを捨てることが出来るかも。苦しい息、流れる汗も、登山道を吹く風に洗われ、キレイになれるかもと思えるはず。仕事に追われている時には感じられない、自分自身の姿と向き合えるといいですね。
写真:SHIZUKO
地図を見るオオヤマレンゲの自生地は、弥山と八経ヶ岳の間にある鞍部と呼ばれる山と山の間。行者還トンネル西口登山口から、弥山を目指して登り始めます。登山道は、美しいブナ林。水が豊かな証拠です。苔むした登山道には、5月ならシャクナゲやシロヤシオが咲き誇っていたはず。でも、オオヤマレンゲが咲くころには、それらの花々も花を落とし、オオヤマレンゲに主役の座を譲ります。
写真:SHIZUKO
地図を見る木の根の浮く登りにくい急坂をおよそ1時間歩くと、登山道は大峯奥駈け道に合流します。すると、途端に傾斜は緩やかになり、足もとも動きやすくなります。
しばらく弁天の森と呼ばれる美しい森が続きます。さっきまでの歩きにくさが嘘のように感じることでしょう。1時間ほどで聖宝(しょうぼう)の宿跡という、かつての行場に到着。修験道再興の祖と呼ばれる聖宝理源太師の像があります。
写真:SHIZUKO
地図を見るこの先、聖宝八丁と呼ばれる急坂。登り切ると広々とした森が現れ、とてもきれいな弥山小屋に到着です。
写真:SHIZUKO
地図を見るさあ、いよいよ森の貴婦人に会える瞬間が近づいてきます。弥山小屋の手前にある八方睨みからブナの林を抜け、下って行くと、鹿よけのフェンスが現れます。
ここです、オオヤマレンゲ保護区は。このフェンスの向こうに貴婦人たちが微笑んでいます。
写真:SHIZUKO
地図を見るあたりにはほのかに漂う甘い香り。とても上品な和の香水を胸いっぱいに吸い込んで歩を進めると、そこは艶々の緑の葉っぱに姿を隠すように、格調高いオオヤマレンゲ貴婦人が! 可愛らしさのある美しい、たった4日しか会えないオオヤマレンゲ。わざわざ登ってきたかいがあると納得出来る花姿です。ここまで登ってこなければ会うことの出来ない、気高いオオヤマレンゲをじっくりと楽しみましょう。
写真:SHIZUKO
地図を見るなんとも素敵な香りを漂わせ咲き誇るオオヤマレンゲの群生地を、ゆっくり楽しみながら、緩やかに登って行くと、近畿最高峰・八経ヶ岳のピークへ向かいます。立ち枯れたトウヒが霧の中に佇む幻想的な山頂。天気が良ければ、大展望ですが、貴婦人が微笑む梅雨の末期は雨や曇天のことも多いでしょう。お天気が悪ければ、来た道を戻り、弥山小屋の前を通り過ぎて、弥山山頂にある天川弁財天の奥社にお参りして、ゆっくりと下山しましょう。
とにかく雨の確率が高い大峰登山。とはいうものの、一日中降り続く日ばかりではなく、気まぐれに太陽が顔を出す瞬間もあります。なので、諦めずに挑戦してみて下さい。写真で見るより、ご自身の目でオオヤマレンゲをとらえたら、もう、絶対に虜になるはずです。登山道自体は危険の少ない、比較的登りやすい道。めったに会えない貴婦人に逢う山旅へお出かけ下さい。
- PR -
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2024/4/18更新)
- 広告 -