町全部が美術館!?中世から現代のアートに出会えるチェコ「リトミシュル」

町全部が美術館!?中世から現代のアートに出会えるチェコ「リトミシュル」

更新日:2017/04/20 11:06

浅井 みら野のプロフィール写真 浅井 みら野 総合旅行業務取扱管理者、全国通訳案内士(英語)、世界遺産検定2級、JSBA スノーボード バッジテスト 1級
世界遺産のお城に、独自の世界観が強すぎて理解されなかった芸術家の遺作。それにまるでお菓子箱のような可愛らしい町並み…。13世紀に誕生したチェコ東部の町「リトミシュル」は、中世に建てられた建築が多く残り、今でもその雰囲気が色濃く残る町です。しかし、それだけでなく現代アートも積極的に取り入れ、時代によるアートの流れも感じることができます。中世と現代の芸術が見事に調和された、まるで美術館のような町です。

世界遺産のお城は、じっくり見学したい場所

世界遺産のお城は、じっくり見学したい場所

写真:浅井 みら野

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まず「リトミシュル(Litomysl)」を代表する建築をご紹介します。1999年にユネスコ世界遺産に登録された“リトミシュル城(Zamek v Litomysli)”は、観光客だけでなく地元の人も訪れる、町の中心的存在。

14年の歳月で完成されたお城からは、堂々とした威厳が感じられます。壁をよく見てみると、まるでタイルを組み合わせたようなデザインですね。これは“ズグラフィト”といわれ、16世紀に流行った2色の漆喰で装飾したもの。8000枚以上のタイルには鍵や楽器に草花など、異なるイラストが細かく描かれています。

世界遺産のお城は、じっくり見学したい場所

写真:浅井 みら野

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建物外観は当時の流行だったルネサンス様式を起用し、わざわざイタリアからデザイナーを招いたほど。中庭に面して描かれたズグラフィトからは壮大なストーリーが残されています。18世紀につくられたバロック様式の劇場は、当時の照明や舞台装置などが綺麗に保存され、こちらもズグラフィトの壁と同様に人気の見学場所です。

世界遺産のお城は、じっくり見学したい場所

写真:浅井 みら野

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当時の雰囲気を再現した各部屋も、まるで中世にタイムスリップしたかのように次々と豪華な家具や食器が登場し、飽きさせません。特にダイニングルームに並ぶ、ドイツの老舗磁器メーカー・マイセンの食器類は、小さな調味料入れにも優美な花模様が描かれ、思わず息がこぼれます。

外観と内部が全然違う雰囲気の教会

外観と内部が全然違う雰囲気の教会

写真:浅井 みら野

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リトミシュル城の斜め前に建つ“ピアリスト教会(Piaristicky chram Nalezeni sv. Krize)”。18世紀に教育の場を兼ねて建設されたバロック様式の教会です。こちらにも当時の雰囲気が感じられる、美しい芸術作品に出会えるんですよ。

外観と内部が全然違う雰囲気の教会

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一歩足を踏み入れると感じる、清らかな空気感。両側には豪華な彫刻が並びます。クリスマスになると各家庭で手作りされたイエス・キリスト誕生の人形やジオラマが並ぶなど、住民の芸術作品も展示される場にもなります。

外観と内部が全然違う雰囲気の教会

写真:浅井 みら野

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天井が高く、開放感が抜群の教会内部でひと際目立つのが、200年以上の歴史を持つパイプオルガン。サーモンピンクにライトブルーの明るい2色が珍しいですね。こちらの模様は当時の流行りで、近くで見ると全て木製ということに驚かされます。

教会にはリトミシュルの町を一望できる場所もあります。130段の階段は決して少なくありませんが、その眺望は他の建物では見ることができませんので、ぜひご覧頂きたい景色です。

町を見守って来た広場も必見

町を見守って来た広場も必見

写真:浅井 みら野

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建物の存在感が強いですが、町を横断するようにある“スメタナ広場(Smetanovo namesti)”も名所のひとつです。横に長く広がった距離は500mにもなり、チェコ国内だけでなく中欧でも最大規模を誇るほど。

色違いに並ぶ家屋ひとつひとつが可愛らしく、まるでお菓子箱のような色合いも魅力のひとつです。特に110番地のウ・リチージューという名前で親しまれている建物は、16世紀のルネサンス様式が色濃く残されており、ひと際存在感を放っています。

色に襲われる…迫りくるアート作品

色に襲われる…迫りくるアート作品

写真:浅井 みら野

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中世時代のアート作品に囲まれた町ですが、ところどころに存在感を放つ現代アートも見逃せません。スメタナ広場の脇道に突如現れるズグラフィトの作品。こちらはチェコの版画家ヨゼル・ヴァーハル氏(Josef Vachal)の作品から抜粋されたものが描かれており、“ヴァーハル通り(Vachalova Street)”と呼ばれています。

生前はあまり評価されなかったヴァーハル氏の作品ですが、独特の世界観があり、今では彼の美術館もリトミシュル内につくられるほど。彼が活躍した19世紀から20世紀にかけてのアート作品を見ることができます。

色に襲われる…迫りくるアート作品

写真:浅井 みら野

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モノトーンのズグラフィトに比べ、多彩な色合いで描かれた壁画。ヨゼル・ヴァーハル氏がひとりの芸術愛好家のために描いた2部屋が、そのまま“ポルトモウム - ヨゼフ・ヴァーハル美術館(Portmoneum – Museum Josefa Váchala)”になりました。

四方に囲まれた作品は、こちらに迫りくるような描写の数々。穏やかな風景描写の隣には悪魔など宗教的な部分もあり、独自の世界に圧倒されます。

色に襲われる…迫りくるアート作品

写真:浅井 みら野

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聖書や占星術なども彼の作品に影響を与えたと聞きます。芸術が持つ力強さを身体で感じられる、一見の価値がある美術館です。

ベンチひとつも見逃せません

ベンチひとつも見逃せません

写真:浅井 みら野

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ちょっとひと休みしたい場合は、町中に設けられたベンチを見つけてみてください。車輪が引っかかってるものや、巨大な洗濯ばさみが挟まってるものに、屋根から生えているベンチなど、ひとつひとつが個性的なデザイン。町全体のアートプロジェクトで始まった個性的なベンチも、芸術が盛んなリトミシュルならではですね。

1日かけてぶらぶらしたい魅力的な町

プラハから東へ160kmの場所にあるリトミシュル。プラハからは電車とバスの両方で向かうことができますが、乗り換えがある電車より、高速バスの方がおすすめ。“ヴェルケー・オパトヴィツェ(Velke Opatovice)”行きのバスだと、途中の立ち寄りでリトミシュルも停まります。

建築や彫刻、壁画など幅広い年代の芸術作品が残る町、リトミシュル。他にも夏にはスメタナ生誕の町ということで、リトミシュル城などを舞台に大規模な音楽祭も毎年開かれます。町全体が美術館のような印象を受ける、芸術に溢れた町です。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/12/17 訪問

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