提供元:Wikipedia
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Peter_Paul…1440年6月29日の午後、アンギアーリに駐屯していたローマ教皇軍(ローマ教皇軍、フィレンツェ共和国軍、ヴェネツィア共和国軍)に対して、9キロ先のサンセポルクロに駐屯していたヴィスコンティ家が率いるミラノ公国軍が奇襲攻撃を仕掛けます。
この時、ミラノ公国軍は総勢3100人(そのうち2000人はサンセポルクロからの加勢)、ローマ教皇軍は9000人。ミラノ公国軍が不覚にも立ててしまった土煙によって、奇襲攻撃に気づいた教皇軍は、後ろ側に回り込み、敵を包囲してしまいます。
結果は、ローマ教皇軍の圧勝。
60年後、この有名な合戦をテーマにした壁画が、フィレンツェ共和国政府からレオナルド・ダ・ヴィンチに依頼されます。レオナルドは、依頼された「アンギアーリの戦い」をフィレンツェのヴェッキオ宮殿内にある五百人大広間の壁面に描き始めます。
ところが、制作途中で未完のまま放置され、更に60年後、ジョルジョ・ヴァザーリにより、別のフレスコ画が描かれ、レオナルドの下絵は覆い隠されてしまったのです。上の画像は、ルーベンスによる当時の模写(パリ・ルーヴル美術館所蔵)です。
このため、レオナルドの「アンギアーリの戦い」は幻の大作となります。(ヴェッキオ宮殿の五百人大広間については、Memoのページをご覧下さい)
こうして、「アンギアーリ」という村の名前は世界中に広まったのですが、実際にアンギアーリを訪れたことがある人は少ないでしょう。
森と田園に囲まれた小高い場所に、この村はあります。旧市街は、古いサンマルティーノ門から始まります。昔は、頑丈な落とし戸が取り付けられ、外敵の侵入を防いでいました。
旧市街の路地は曲がりくねり、急な坂道や階段があります。これは、敵が一気に攻め入って来るのを防ぐため。
映画のセットが嘘っぽく見えてしまうくらい、アンギアーリの村の中世から残るどっしりとした建物には、本物感が満ちあふれています。
歩きながらワクワクする、迷路の様な旧市街(でも判り易いのでご安心下さい)、どこからどこまでが1軒の家なのか、さっぱり判らない複雑な建築スタイル。この面白さは、実際にこの村を訪れてみて初めて判ります。
旧市街の中心部、マメーリ広場には、「アンギアーリの戦い博物館」というそのままズバリの小さな博物館があります。オリジナルの展示品は少なく、殆どが模型や映像なのですが、アンギアーリの戦いが行なわれた場所、位置関係、周辺地域の地形等が細かく英語とイタリア語で解説されています。
ミラノ軍が、教皇軍に包囲されて降参する場面のミニチュアの模型もあるので、言葉が苦手な方も楽しめます。
旧市街の下側に位置する、ムーラ・ディ・ソット通りには、古戦場を眺められる展望台があります。アンギアーリに来たら、ここはお見逃しなく!
奥に見えるのが、ミラノ軍が駐屯していたサンセポルクロの町。合戦は、アンギアーリとサンセポルクロの間、真っすぐな通り沿いで繰り広げられます。アンギアーリからはとても見晴らしの良い場所なので、奇襲攻撃を仕掛けるには余り適した場所とは言えませんが、当時は森があったのかも知れませんね。
アンギアーリの旧市街を歩いていて気づくのは、殆どの家の前に美しい花が飾られていること。
特に春から夏にかけては、鉢植えの様々な花が上手にアレンジされて、歴史を感じさせる石壁を飾っています。
猫が多いのもアンギアーリの特徴。住民よりも猫の方が多いのでは?と思う程、路地を曲がると必ず道ばたに猫が気持ち良さそうに寛いでいます。猫にとっても住み易い村なのかも知れません。
旧市街地には、こじんまりとした美味しいレストランが何軒かあるので、食も楽しめる村です。
有名な合戦「アンギアーリの戦い」に興味を持ち、アンギアーリの村を訪れる古戦場ファンにとって、目の前に広がる歴史上の舞台は感動的です。そして、大切に保存されている村の建造物の美しさ、観光に荒らされていない、普段の暮らしと観光が上手に両立している静かな空間の心地良さに、驚き、感動します。
フィレンツェからは、列車でアレッツォまで1時間20分、アレッツォの駅前からアンギアーリまでTIEMME社のサン・セポルクロ行きのバスで46分です。
日曜祭日はバスが運行していないので、平日にいらした方が良いでしょう。行きと帰りのバスのダイヤ、そしてアレッツォからフィレンツェまでの列車のダイヤは、グーグルマップを活用して、事前に調べておくことが大切です。
レンタカーで行かれる場合は、旧市街地の上と下にそれぞれ駐車場があるので、そこに車を停めて、徒歩で旧市街地に入ると良いでしょう。
列車やバスの乗り換えが心配な方、車の運転に自信がない方、サンセポルクロやモンテルキなど、近くの村もまわりたい方は、フィレンツェ発のワンデイトリップでドライバーと一緒にまわられると、効率が良いです。
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(2024/5/15更新)
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