「氷川神社」というと埼玉県大宮市に鎮座する武蔵一宮・氷川神社が有名ですね。古代から現代に至るまで長い歴史の中で、源頼朝や徳川氏、明治天皇まで時の権力者たちから厚い崇敬を受けた大宮の氷川神社は関東を中心に数多くの分社をもちその数は280社を超えるといいます。
ここ、高円寺の氷川神社もその一つで一説には源頼朝の奥州征伐に同行した家来の一人がこの地で農民となり、大宮の本社から勧請して創建されたとも言われています。天文年間(1532−1555)の創建という説もありますが、とにかく高円寺という街の変わりゆく様を見てきた由緒ある神社ということは間違いないでしょう。
大人の身長よりも高い迫力のある狛犬の先を進むと立派な拝殿を目の前にします。もともと建っていたものは昭和20年(1945)5月25日の東京大空襲で戦災の憂き目に遭い焼失してしまったそうです。この空襲では当時の国会議事堂や御所までもが被害に遭ったというのでその苛烈さが窺えます。2年後の昭和22年(1947)に再建されましたが、さらに昭和46年(1971)に改修が行われて社務所、神楽殿、神輿庫が新たに造営されました。
拝殿は荘厳でありながらも間近で見るとどこかシックで現代的な印象を受けます。御祭神はヤマタノオロチ退治で有名な素戔嗚尊(スサノオノミコト)です。
拝殿前の「気象神社」と書かれた看板の矢印に従って進むと小さなお社が目に入ります。「なんだ。どこの神社にもある摂社・末社(神社境内に付属する小社のこと)か・・・」と思って見過ごしてはいけません!この気象神社は日本でもここしかない天気を専門にした神社なのです。いったいなぜこのような神社が境内にあるのでしょうか。
戦後、陸軍の解体に伴って現在の高円寺北4丁目にあったという陸軍気象部も解散を命じられました。そこで気象部隊関係者によって祀られていた気象神社がたまたま近くにあったここ氷川神社に移されたというおもしろい経緯があるのです。
「明日晴れますように」という素朴なお祈りはもちろん、気象予報士や野外イベントを行う企業など天気にまつわる仕事をする人がしばしば参拝に訪れるそうです。
社務所では下駄の形をした絵馬が販売されています。なぜ下駄なのかというと、子供の頃にやった「あ〜した天気になぁれ!」といって履物を飛ばす天気占いをモチーフにしているからでしょう。絵馬掛け所に連なった下駄の絵馬が風に吹かれて境内にからからという音を響かせます。参拝のついでにおひとつ、次の旅の晴天を祈願してみてはいかがでしょう。
若者が集まるヒッピータウン高円寺。その真ん中に大きな存在感を放ちながら鎮座する高円寺氷川神社。厳粛な気持ちになる境内を一歩出れば目の前には若者向けの洋服屋さんやカフェがあります。一方で高円寺は地名の由来にもなった曹洞宗の寺院・宿鳳山高円寺をはじめ多くの寺が軒を連ねる寺町としての一面も持っています。
そんな新しいものと古いものが共生しているところもこの街の魅力の一つではないでしょうか。皆さんも高円寺に来たら古着屋さんやカフェ巡りも楽しみながら氷川神社の鳥居をくぐって一味違った高円寺を体験してみてはいかがでしょうか。
- PR -
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2024/4/20更新)
- 広告 -