意外と知らない!お風呂と温泉から見る箱根・富士屋ホテルの世界

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意外と知らない!お風呂と温泉から見る箱根・富士屋ホテルの世界

意外と知らない!お風呂と温泉から見る箱根・富士屋ホテルの世界

更新日:2017/04/12 15:52

泉 よしかのプロフィール写真 泉 よしか 子連れ温泉ガイド、キッザニア×キッザニア管理者

箱根・宮ノ下の富士屋ホテルといえば、明治11年創業の有名老舗クラシックホテル。和洋折衷の美しい建築や、チャップリン、ヘレン・ケラー、ジョン・レノンといった海外の有名人が来館したことでも知られていますが・・そういえば箱根の温泉なのに、不思議とお風呂の話はあまり聞かないと思いませんか?

富士屋ホテルの温泉大浴場は何故小さい?

写真:泉 よしか

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小田原方面から国道1号線伝いに箱根の坂道を上ってくると、三叉路の手前にまるでそこだけ明治・大正時代が残されているかのような印象的な建物が見えるでしょう。これが宮ノ下の富士屋ホテル、まさに日本のクラシックホテルの草分けともいえる存在です。

客室は別館を含め全部で五種類。建造は古い順に「本館」「旧御用邸別館・菊華荘」「西洋館」「花御殿」「フォレスト館」となっていて、「食堂棟」を含め、どの建物も歴史があるだけでなく、非常に個性的で美しく、今も現役で使うことができるというのは本当に素晴らしいことです。

写真:泉 よしか

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ところで外から富士屋ホテルを眺めると、何やらお風呂屋さんの煙突のようなものが。もしかして富士屋ホテルのお風呂用かと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、違うのです。これは暖房のラジエーターのための煙突で、昔は6本立っていたものがエアコンの普及により減数し、今はこの1本だけが現役として頑張っています。煙突のある風景もどこかレトロな雰囲気を醸し出していますよね。

写真:泉 よしか

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そんな由緒正しい富士屋ホテルですが、意外や意外、浴室はいたって普通の感じです。写真の浴室は不老泉と言って女性用、定員は約4〜5名です。男性用は太閤湯と言ってさらに小さく3〜4名用サイズ。

えっ、140室以上の客室を有する温泉のホテルとしては、いくらなんでも小さすぎると驚く方もいるのでは?その理由についてこれから館内をご案内しつつ考えてみたいと思います。

外国人専用ホテルとして作られた富士屋ホテル

写真:泉 よしか

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先ほどの浴室があった花御殿の地下1階には室内プールもあります。実は富士屋ホテルの室内プールは、ホテルの館内に作られたものとしては日本最古。当時としては非常に先進的な施設でした。

お風呂よりプールを好まれる海外のお客さんは多いのだそうで、やはり外国人向けのホテルとして作られた富士屋ホテルならではのクラシックな室内プールです。ところでこのプールで使われているのも温泉なんですよ。

写真:泉 よしか

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室内温泉プールの他にも、外国人向けホテルだった名残は館内のあちらこちらで見ることができます。例えば食堂棟地下1階のバー「ヴィクトリア」。

当初はビリヤード場として使われていて、外国人のお客さんサイズの椅子が今も残されています。天井の柄がビリヤード台と玉を描いているのがなかなかお洒落でユニークだと思いませんか?

写真:泉 よしか

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またこちらは披露宴会場などに使われることの多いカスケードルーム。ダンスホールとして作られたものです。当時はモダンな服装の外国人が優雅に社交ダンスを踊っていたことでしょう。

もともとこちらの富士屋ホテルは、創業者の山口仙之助が日本にこれまで無かった外国人向けのリゾートホテルを作ろうと一念発起して始めたもので、さらに日光金谷ホテル創業者の次男に生まれ、山口仙之助の婿養子となった三代目・山口正造が、外国人好みの和風を加えて昇華させていったもの。それ故に館内は日本の旅館とは違った様々な工夫や装飾がなされています。

つまり、富士屋ホテルの浴室が決して大きくないのは、ここが日本人ではなく外国人向けに作られたホテルであるということが大きな影響を及ぼしているのです。

富士屋ホテルのレトロな貸切風呂「マーメイドバス」

写真:泉 よしか

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富士屋ホテルの浴室をもう一ヶ所ご紹介しましょう。こちらは「マーメイドバス」と名付けられた予約制貸切風呂。

このマーメイドバスをデザインし、浴室内の彫刻を制作したのは大正から昭和に掛けて活躍した彫刻家・小倉右一郎。天井のステンドグラス、壁面の立体感のある波なども美しく、どこか幻想的な世界が楽しめます。

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小倉右一郎は他にも富士屋ホテル館内にいくつも作品を残しています。こちらは花御殿の壁を飾る巨大なレリーフ。東洋と西洋の美が融合した柔らかな作品で、ここにもカスケードルームのステンドグラス同様、富士山のモチーフが見えます。

富士屋ホテルは富士屋なのに、実は本物の富士山は見えません。館内で幻の富士山モチーフを探してみるのも楽しいのでは。

御用邸からすき焼きハウスまで―別館「菊華荘」の数奇な歴史

写真:泉 よしか

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和洋折衷クラシックホテルの富士屋ホテルにも完全な和の世界があります。まるで世俗から切り離されたような静寂が楽しめるこちらは、道を挟んだ別館の菊華荘。

客室はわずか3室。実はここはもともと皇室の宮ノ下御用邸。富美宮内親王のご静養のため、また後には高松宮家の別邸として使われてきた特別な歴史を持っています。

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御用邸当時の雰囲気をそのまま残しているのは、庭園を臨む御座所。皇室の方がここで勉学に勤しまれたそうです。当時使われた蚊帳を吊るす紐も残されています。もし菊華荘に泊まらなくても、朝食を選べるプランで和食を選択すれば、こちらで雅な雰囲気にひたることができますよ。

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太平洋戦争終戦後、富士屋ホテルは連合軍に接収され、その後しばらくは米軍との自由契約により施設貸与を継続しました。ちょうど終戦の翌年に御用邸の払い下げを受けた菊華荘は、外国人相手に高級すき焼きをふるまう“すき焼きハウス”として使われていたこともあるんです。

菊華荘はお風呂も含めて完全に和風。でもこちらにも外国人向けのクラシックホテルならではの歴史がありました。

富士屋ホテルと箱根の温泉

写真:泉 よしか

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ここまでご案内してきたように、富士屋ホテルは外国人専用に作られたホテルの名残を数多く残しています。大浴場は広くはありませんが、それではホテルのどこで箱根の温泉を楽しめばよいでしょうか。答えはお部屋です。

富士屋ホテルの各客室のお風呂には全て温泉が引かれています。このことには外国人のお客様もとても驚かれるのだそうです。お部屋のお風呂が温泉?本当に?って。

創業者の山口仙之助が日本初の外国人向けリゾートホテルを箱根に作ろうと決めたのには、「ここに温泉がある」ことも大きな理由でした。当時、彼は父親と一緒に木賀や底倉といった宮ノ下近隣の7ヵ所の温泉権を購入してまわったそうです。全ての客室に配湯できる豊富な湯量は、彼の先見の明によるものなんですね。

写真:泉 よしか

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例えば明治39年建造の西洋館の客室のお風呂は、憧れの猫足バスタブ。ここにたっぷりとお湯を張って優雅なバスタイムはいかがでしょう。少し青みがかって見える透明なお湯は、肌をふっくらすべすべに整えてくれます。

湯上りにはバスローブを身に着けて窓から外を眺めれば、他のどこでも無い富士屋ホテルだからこそ味わえる、クラシックな世界にきっとひたることができるでしょう。

和と洋の融合した箱根温泉郷・宮ノ下の富士屋ホテル

お風呂と温泉を通して見る箱根宮ノ下の「富士屋ホテル」、知れば知るほど奥深い歴史を持っていました。「本館」「西洋館」「花御殿」「フォレスト館」そして「旧御用邸別館・菊華荘」とそれぞれ異なる趣が楽しめますので、泊まる時はどこにしようか迷ってしまいそうですね。

富士屋ホテルの宿泊棟はフォレスト館を除き、全て国の登録有形文化財及び、近代化産業遺産に指定されています。建設当時の時代に思いを馳せながら、タイムスリップしたような雰囲気をぜひ楽しんでいただきたいと思います。

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掲載内容は執筆時点のものです。

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