写真:木村 岳人
地図を見る寺内町とは、主に一向宗(浄土真宗)のお寺を中心に、その信徒たちが集まって形成された町の事です。今井町もまた称念寺というお寺を核として、戦国時代に築かれました。
人々は町の周囲に濠を巡らし、土塁を築き、町を防衛していました。そうして自治権を確保した今井町は、戦国時代から江戸時代を通じて自由商業都市として発展し、大和国随一の商家町に成長したのです。
明治時代に入り、商業の中心地が鉄道駅の周囲へと移った事で商家町としての性格は失われましたが、今井町には今もなお、立派で重厚な江戸時代の町家が数多く残されています。
写真:木村 岳人
地図を見る今井町には約650棟の建物が存在しますが、そのうち504棟が江戸時代から昭和初期にかけて建てられた、いわゆる伝統的建造物。しかもそのうちの約7割が江戸時代のものだというから驚きです。
ここまでの規模と密度で江戸時代の建物が残る町は他に無く、まさに日本一の町並みだといえるでしょう。全ては往時の繁栄と、その建物を今にまで守ってきた住民の方々の意志と努力の賜物です。
写真:木村 岳人
地図を見る今井町に建ち並ぶ建造物の中でも、特に価値が高い8件の町家、それと町のルーツである称念寺本堂の計9件が、国の重要文化財に指定されています。
いずれも個性的でユニークな建物ばかりですので、地図を片手に巡ってみるのも良いでしょう。内部を拝観できるところもあり、質の高い町家を心行くまで堪能できます。
その重文町家のうちの一つ、町の北側に位置する上田家はかつて「壺屋」という屋号を名乗っていました。その屋根に乗る鬼瓦に目をやると、屋号の通りに壺の図がデザインされており、思わず頬が緩んでしまいます。
写真:木村 岳人
地図を見る今井町の西端に位置する今西家は、今井町を取り仕切っていた惣年寄筆頭の名家です。
主家は慶安3年(1650年)に建てられたもので、その複雑な形状の屋根は、いくつもの棟が重なって見える事から「八つ棟造り」と称されています。塗り篭められた白壁も相まって、まるで城郭建築のような、堂々たる風格を醸しています。
写真:木村 岳人
地図を見る今西家は、事前予約制で内部を拝観する事ができます。土間の部分は吹き抜けとなっており、天井も高々。太い梁や束が交差する小屋組みに目を見張ります。
惣年寄の筆頭であった今西家は、町の行政権と共に司法権を持っていました。今西家の内部は広々とした土間が特徴的ですが、それは裁判の為のお白州でもあったのです。
さらにはかまどの煙を流して罪人に自白をさせる「いぶし牢」を備えているなど、興味深い点が盛りだくさん。今井町に行ったら必ず押さえておきたい、イチオシの町家です。
【今西家住宅】
拝観料:一般400円、中学生以下200円
休館日:毎週月曜日、盆時、年末年始、その他不定期
拝観時間:10:00〜17:00(入場は16:30まで)
連絡先:財団法人今西家保存会
電話番号:0744-25-3388(10:00〜16:00)
奈良には古いものが数多く、何度行っても見どころが尽きません。今井町の町並みもまた、それらに匹敵する第一級の観光スポットだと思います。
町の大きさも程良く、思わず隅から隅まで歩いてみたくなる今井町。ぜひともご自分で散策し、雰囲気を味わってみて下さい。
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(2024/4/26更新)
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