ドイツの中にスイス!?100メートルの断崖絶壁「ザクセンスイス」

ドイツの中にスイス!?100メートルの断崖絶壁「ザクセンスイス」

更新日:2017/04/18 13:37

Hiroko Ojiのプロフィール写真 Hiroko Oji ヨーロッパ一人旅愛好家
ドイツ東部の美しい古都ドレスデンから更に東へ行った所、チェコとの国境近くに、エルベ川沿いに切り立った断崖絶壁が潜んでいます。長年の浸食作用によって造り出されたこの一帯は、平坦な土地の多いドイツの中でも一風変わった珍しい地形で、「ザクセンのスイス」と呼ばれ、観光客の人気を集めています。

ハイライトは、乱立する奇岩群の中に通されたアーチの連なる橋の上からの眺め!遠くはチェコまでも見渡せる絶景です。

エルベ川をさかのぼって

エルベ川をさかのぼって

写真:Hiroko Oji

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ドイツ東部の古都ドレスデンからチェコに向かう列車に乗って、エルベ川を遡ること40分もかからずに、クアオルト・ラーテン(Kurort Rathen)駅に到着します。ドレスデンを出たエルベ川沿いに広がるのは緑豊かな美しい風景!この辺りの風景の美しさに因んで「ザクセンスイス」と言われるようになりました。到着した駅周辺は船着場以外何もない辺鄙な所ですが、駅前からは、すでに川沿いに広がる奇岩群の一部が緑の中に見えています。

エルベ川をさかのぼって

写真:Hiroko Oji

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駅から川に向かって下りていきましょう。バート・シャンダウ(Bad Schandau)という舟着場があって、対岸へと運んでくれる渡し舟が待ってくれています。ここからはわずか10分ほどの舟旅ですが、川の上から見る、緑に包まれた切り立った岩山や奥にちょこんと見える奇岩の頭に、ワクワクゾクゾク、期待が膨らみます。

バート・シャンダウの舟着場までは、約5時間半(下りなら約3時間半)かかりますが、ドレスデンからエルベ川を遡る船旅でやって来ることもできます。約20キロメートルに及ぶドレスデンのエルベ川流域は、かつては世界遺産に登録されていたところ。ドレスデン市内の渋滞緩和のために建設されたヴァルトシュレスヒェン橋が、この辺りの文化的景観を損ねるという理由で、残念ながら2009年に登録が取り消されてしまっています。登録が取り消されてもその美しい自然景観は変わらず今でも楽しめますので、お時間に余裕のある方はぜひ、片道だけでもご利用になって下さいね。

チェコまで見渡す岩山の上へ

チェコまで見渡す岩山の上へ

写真:Hiroko Oji

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舟着場の奥には、ラーテンの可愛らしい木組みのお家が続く町並みが広がっているのですが、先ずは山道へ入って行きましょう。

坂道に入る手前には、野外劇場となる入り口やチケット売り場があり、たくさんの人たちがこちらへ入って行くので、吊られて一緒に入ってしまわないにようにしてくださいね。この坂道はちょっとしたハイキング気分!土の山道をしっかり踏みしめて上って行きましょう。

チェコまで見渡す岩山の上へ

写真:Hiroko Oji

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山道の途中にある開けた所には、素晴らしい眺めを楽しめる見晴らし台があります。と言っても小さなベンチがぽつんと置かれているだけの狭いスペースですが、休憩がてら、この眺めを堪能してください。大きく蛇行したエルベ川の周辺に広がる緑豊かな風景、その奥に続く山並みやチェコまでも見渡す風景は、とても感慨深いものです。ふと、ハンガリーのヴィシェグラードの山頂から見るドナウ川の風景を思い浮かべるかもしれませんが、こちらの方が広々として美しく、時間を忘れるほど見惚れてしまいます。

ハイライトはバスタイブリュッケ

ハイライトはバスタイブリュッケ

写真:Hiroko Oji

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上り始めて約30分、頂に近づくと土などが少なくなり、上からのしかかってくるような大きな岩の間を縫うようになっていきます。辿り着いたところは、中央ヨーロッパでも珍しい、白亜紀の浸食風景が広がっています。この一帯に広がるのが、ザクセンスイス国立公園。スイスと言いながら、本物の長閑なスイスの風景とはまた違ったもので、ヨーロッパの大自然の風景のイメージというよりはアジア風?中国の山間の、どこからともなく仙人が雲に乗って現れてきそうな幽玄の世界に浸ることができます。

中でも「バスタイブリュッケ」が観光のハイライト!奇岩の間を真っすぐ通る橋で、1851年に砂岩を使って石橋に造りかえられたものです。足元にはアーチが連なり、この橋の上から見渡す周辺の眺めが大変素晴らしい!乱立する奇岩や深い谷間、切り立った岩々、卓状山地などが特徴で、「地面のレリーフ」 ともいえる絶景が楽しめます。

ハイライトはバスタイブリュッケ

写真:Hiroko Oji

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バスタイブリュッケからは、長閑なエルベ川とは反対側に自然の荒々しくも雄大な姿が目の前に!大ガチョウ岩と呼ばれるものをはじめ、様々な奇岩群が乱立しています。

ここを訪れたドイツ・ロマン派の巨匠であるカスパー・ダーヴィト・フリードリヒは、この地に魅せられたひとり。この地を描いた作品もいくつか残されており、彼にちなんで「画家の道」と呼ばれるハイキングコースも設定されています。

ハイライトはバスタイブリュッケ

写真:Hiroko Oji

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また切り立った岩山のてっぺんに天使の像が乗っかっている風景も、きっと心に残る一幕となることでしょう。谷底に向かって鋭く落ち込む岩肌を、目を凝らしてよく見ると、米粒ほどの小さな、ロッククライミングを楽しむ人の姿を見つけることもできますよ。

有料だけど、遊歩道も見応えあり!

有料だけど、遊歩道も見応えあり!

写真:Hiroko Oji

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ここの見所は、バスタイブリュッケだけではありません!有料にはなりますが、整備された遊歩道が岩山の間に通されていて、上り下りしながら周辺の風景を楽しめるコースになっています。

有料だけど、遊歩道も見応えあり!

写真:Hiroko Oji

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高所恐怖症の人にはちょっと辛いかもしれませんが、岩から岩へと渡り歩ける通路を辿って行きましょう。古代からお城として使われていたところでもあり、発掘された住居跡や土器なども見ることもできます。

有料だけど、遊歩道も見応えあり!

写真:Hiroko Oji

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敵の侵略を防ぐための道具や、洗濯場として利用していたらしい水場も見学できます。歩き疲れたら、出入り口そばのカフェ・レストランや、お土産物屋さんで一休みするとよいでしょう。

麓の町で1泊するのもお薦め!

いかがでしたか?ドイツの国なのに、スイスという呼び名が付いていて、中国のような風景が楽しめる大自然のオブジェ群!麓の町から自力で上ってくると、より達成感のあるミニハイキングが楽しめますが、歩くのはちょっと・・・という方は、車でも山頂へ向かうコースがありますのでご心配なく。

船旅とハイキングを楽しみたいなら、ザクセンスイスに1泊することをお勧めします。特に麓の町ラーテンやバート・シャンダウ周辺は、18世紀からの温泉保養リゾートとして有名です。ドレスデンやベルリン、チェコのプラハなどから日帰りでも訪れることができますが、日程に余裕を持たせて訪れてみて下さいね。

更にチェコ方面に遡った所の高台には、ドイツ最大の要塞「ケーニヒシュタイン要塞」もありますので、ついでに足を延ばされてはいかがでしょうか。

掲載内容は執筆時点のものです。 2005/08/10 訪問

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