こわ〜い閻魔様がいる平野・地獄寺「全興寺(大阪)」の地獄堂

こわ〜い閻魔様がいる平野・地獄寺「全興寺(大阪)」の地獄堂

更新日:2017/04/12 09:10

東郷 カオルのプロフィール写真 東郷 カオル 癒されたい系女子旅ライター、ラグジュアリーホテルライター
大阪の天王寺駅から電車で5分の平野駅の近くに「平野の地獄」と呼ばれる有名なお寺があります。正式には「全興寺」。
境内にはコワイお話しをするエンマ様がいる「地獄堂」や、美しい光の中で瞑想できる「ほとけのくに」があり、春休み・夏休み中の子供たちからお年寄りまで、常に賑わっています。お寺の境内がこどもの遊び場だった頃の面影を残す、平野郷のお寺を覗いてみましょう。

大阪では有名な「地獄寺」

大阪では有名な「地獄寺」

写真:東郷 カオル

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地獄寺こと「全興寺」は、聖徳太子ゆかりの歴史あるお寺。大阪の平野(ひらの)は、市内でも中心地から少し外れたまだかすかに田畑の残る場所にある地域。とは言っても天王寺駅から電車で5分なので旅行者にとってもアクセスは良好。

この地域は昔は「平野郷」と呼ばれた歴史ある土地。遡れば、征夷大将軍・坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)の次男の広野麻呂の荘園であったことが「平野(広野が転じたもの)」という地名と関係していると云われています。

写真は商店街側の入り口。パネルも「地獄堂」押しです。道に迷ったら「全興寺」と聞くよりも「地獄堂」、またはすぐ近くまでたどり着いているなら「商店街のお不動さん」と尋ねたほうが通じます。

大阪では有名な「地獄寺」

写真:東郷 カオル

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実は境内には楽しい仕掛けがいっぱい。左が「ほとけのくに」、右が「地獄堂」となっていますので、まずは地獄堂へ。

大阪では有名な「地獄寺」

写真:東郷 カオル

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こちらが「地獄堂」の入り口。実はこの地獄堂に入る前にやらなくてはいけないことがあるのですよ。

地獄堂に入る前に…

地獄堂に入る前に…

写真:東郷 カオル

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「地獄堂」の入口にあるのがこちらの、地獄度・極楽度チェックマシーン。スタートボタンを押して、設問に答えていきます。

地獄堂に入る前に…

写真:東郷 カオル

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「感謝して真剣に努力する - 絶えず不平不満が多い」「信念を持ち辛抱強い - 人に頼りすぎ、すぐにくじける」など、ボタンを押していきますが、後ろに子供に並ばれるとちょっと辛い(笑)。

ここは、楽しみながら「良いこと」「悪いこと」を教えられるので、子供の道徳教育にはとても良さそうです。地獄堂は子供を怖がらせるためのものではなく、悪い行いをしないことや、命の大切さを教えるためのものなのです。

地獄堂に入る前に…

写真:東郷 カオル

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10問まで答えたら、エンマ大王のおさばきが!
「極楽行き資格あり」から上だとひとまず安心ですが、「地獄行き執行猶予」より下だと地獄堂の中に入るのが一層怖くなるかもしれませんね。
結果はともあれ、地獄堂へ。

いよいよ恐ろしい地獄堂の内部へ…

いよいよ恐ろしい地獄堂の内部へ…

写真:東郷 カオル

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「ドラをたたくと地獄があらわれます」。大人にとっては子供だましのように感じるかもしれませんが、子供は恐る恐るです。

いよいよ恐ろしい地獄堂の内部へ…

写真:東郷 カオル

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ですが、「ドラをたたいても地獄があらわれないときは、この上のスイッチを押してください」のお知らせ。
ドラを叩いても地獄が現れないと極楽なのかと思いきや、スイッチを押さなくてはなりません。地獄を見てお勉強しなくてはならないのです。

いよいよ恐ろしい地獄堂の内部へ…

写真:東郷 カオル

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ドラ、もしくはスイッチで地獄が現れます。真っ赤な鬼の横に地獄を映し出す鏡(モニター)があって、ここに針の山に串刺しにされたり、火あぶりにされたり、竜の口に閉じ込められたりと、恐ろしい映像が次々と映し出されます。ちびっこは泣き出しちゃうかもしれません。

中でも大人が見てちょっと切ない思いになるのが賽の河原。逆縁の不幸を教えるものなのですが、親より先に死んでしまった幼い子供たちが賽の河原で小石を積んで、やっと塔ができあがる時に鬼がやってきて全て壊してしまうというもの。親から授かった命の尊さを教えるには良い場所ですが、想像力が豊かだとかなり悲しくなってしまう語りでもあります。
余談になりますが、賽の河原の子供たちはお地蔵様が救ってくださるので、あまり悲しまれませんように。

怖くない地獄堂

怖くない地獄堂

写真:東郷 カオル

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地獄堂には顔出しパネルがあります。閻魔様になりきって「ウエーイ!」。
さっきまでの怖さ台無しです。

怖くない地獄堂

写真:東郷 カオル

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地獄堂を出たところにあるのがこちらの石の穴。ここに頭を入れると地獄の釜の音が聞こえるのだそう。けっこう奥まで頭を突っ込まなくてはならなくて、それが少し恐怖。中はかすかに「ゴォォォォ」という地中の音がします。
ですが、一番怖いのは、この穴に頭を深く突っ込んでいる本気モードの大人の後ろ姿かもしれません。

ほとけのくにで癒される

ほとけのくにで癒される

写真:東郷 カオル

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地獄堂の奥には「ほとけのくに」があります。入り口から先は見えなくなっています。「全興寺」は高野山真言宗のお寺なので、高野山奥の院の地下や善通寺の戒壇めぐりを想像していると大違い。

なんと…、光の円陣の上でおばあちゃんが座って瞑想中でした。突然現れるので、ある意味地獄より怖い(ビックリ)かも。

ここでは暗闇の中、水琴窟の音を聞きながら瞑想できるようになっています。空間内の数本の太い柱には水が流れていて、それが音源かどうかは不明ですが、癒しの音色に包まれた不思議な空間になっています。

地獄のあとには是非こちらで癒されてください。

ほとけのくにで癒される

写真:東郷 カオル

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ご紹介が最後になりましたが、こちらが本堂。「全興寺」に来られたら、まずはこちらでお参りをお済ませください。ご本尊は薬師如来さまです。

堂内には大坂夏の陣ゆかりの「首の地蔵尊」も祀られています。大坂夏の陣で真田幸村が、家康が立ち寄ると見られた陣地横の地蔵堂に爆薬を仕掛けて待っていたのですが、家康がたまたま席を立ったときに地雷が爆発。家康は助かり、地蔵尊のお首だけがここ全興寺の境内へ飛んできたと伝わっています。

平野の地獄は撮影OK!

全興寺には世代を超えた人々が集う「おもろ路」があったり、地獄もほとけのくにも撮影OKだったりと、地元の子供たちや観光客にオープンなお寺。
境内には今回ご紹介した以外にも、「駄菓子屋さん博物館」や「おばあちゃんの部屋」など、昭和を感じさせる懐かしい展示が沢山あります。

その中でもなんと言っても閻魔様が行う道徳教育が優れもの!現代で失われてしまった美しい日本の道徳心を是非閻魔様に教えていただきましょう。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2017/04/04 訪問

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