写真:モノホシ ダン
地図を見る「さくらねこ」とは、不妊手術を受けて片方の耳がV字型にカットされた猫のことです。その耳の形が「さくらの花びら」のように見えるためにそう名付けられました。これにより、処置済みの猫であることが一目で分かり、再度の捕獲を免れることができます。
写真:モノホシ ダン
地図を見る男木島に暮らす猫たちは、かつては家や畑を荒らす鼠の駆除などに大いに重宝されてきました。ところが2010年から始まった「瀬戸内国際芸術祭」で会場のひとつとなったこの島にも、多くの観光客が訪れるようになりました。
猫たちは展示作品とともに観光客の癒しの存在として動物写真家にも紹介されるようになり、餌を与えられて爆発的に増えていったのです。
そして、漁師の網を破る、畑で糞尿をする、発情期になると鳴き声を上げるなど住民の生活を脅かす存在になってしまいました。最悪の殺処分を回避し、人間と猫が共生できるようにならないか、と考え出されたのが公益財団法人「どうぶつ基金」による無料不妊手術です。
写真:モノホシ ダン
地図を見る公益財団法人「どうぶつ基金」は、これまで同じような悩みを抱える自治体に約4万匹の無料不妊手術を行ってきました。男木島では2016年の6月と9月の2回に分けて、猫たちの捕獲・不妊手術が施されました。
手術済みの印である耳をカットされて「さくらねこ」となった猫たちは、去勢されたことにより発情期に騒ぐことなく、猫同士のケンカも減って温厚な性格になりました。ゆったりと流れる島時間の中で人間と猫たちの新しい生活が始まっています。
写真:モノホシ ダン
地図を見る男木島のもうひとつの魅力がアートです。島内には前衛的なアートを体感できる数々のスポットがあります。そのひとつが男木島港にある「高松市男木交流館」です。高松からのフェリーのターミナルとしても利用されているこの建物はジャウメ・プレンサ氏による『男木島の魂』です。
様々な文字を組み合わせてできた屋根は、日本語・ヘブライ語・アラビア語・ラテン語・中国語・ギリシャ語・ロシア語・ヒンズー語の8つの言語で構成されています。
水面に映り込む白い屋根や地面に映る文字の影など多彩な表情で訪れる人を楽しませてくれます。また夜間はライトアップもされています。
写真:モノホシ ダン
地図を見る男木島では、男木島路地壁画プロジェクト『wallalley』を楽しむこともできます。『wallalley』とは、wall(壁)とalley(路地)を組み合わせた造語。眞壁陸二氏によるプロジェクトで、民家の外壁に描かれたカラフルな風景のシルエットが、島の石垣と細い路地の景観の一部となっています。島内各所で見られるのでぜひ散策してみましょう。
写真:モノホシ ダン
地図を見るアートは男木島漁港にも!写真は山口啓介氏による『歩く方舟』です。旧約聖書に出てくるノアの方舟のエピソードに想いを得たという作品で、方舟が海を渡ろうとする様子を視覚化したものです。
なお、男木島漁港には、アートなカラーリングの漁船も多く見られるので合わせて見ると楽しいですよ。
写真:モノホシ ダン
地図を見る男木島灯台へ続く道です。うねうねと続く細い海岸沿いの道から灯台を望む風景は絵画的な美しさがあります。
写真:モノホシ ダン
地図を見る男木島灯台です。男木港から徒歩で片道約30分くらいの距離にあります。この灯台は、香川県の庵冶石を主体とした御影石造りの洋式灯台。完成まで7ケ月の工期をかけ、いまから約120年前の1895年12月10日に点灯されました。公達距離は12.5海里(約23q)で、高さは約14mです。
写真:モノホシ ダン
地図を見る備讃瀬戸に臨む灯台の姿には、さいはての憂いが漂います。付近にはキャンプ場もあります。
写真:モノホシ ダン
地図を見る男木島は周囲約4.5q。家屋は平地が少ないために、写真のように男木港または男木島漁港の斜面に面して建てられています。
高松港からは雌雄島海運のフェリー「めおん」で片道約35分。乗船料は510円です(2017年4月時点)。通常期は高松港から往復6便運航されています。夏季(8月1日〜8月20日)は往復12便が運航されています。
写真:モノホシ ダン
地図を見る男木港は、高台にある「豊玉姫神社」から一望することが出来ます。安産の神様として広く信仰を集めている神社です。豊玉姫は同じ島内にある賀茂神社に祀られている山幸彦の奥さんにあたる方で、二人のあいだに生まれた男の子の孫が神武天皇という、壮大な歴史ロマンが伝わります。
いかがでしたか。日本では1年間に約7万匹弱の猫が殺処分されています。男木島の猫たちは不妊手術により今後減少していくかも知れません。しかし殺処分という最悪の事態を回避し、天寿をまっとうできるということは幸せとは言えなくても、人間との共存を考える上で現在の時点ではベストな選択だったと思います。
増えすぎたのは決して猫たちのせいではありません。それを人間たちの身勝手で害を及ぼすからと言って処分するということは決して許されないことでしょう。
救われた小さなたくさんの命がたくましく生きる男木島。「さくらねこ」たちとアートに会いに、男木島へ是非行ってみませんか?
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(2024/4/25更新)
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