ヴェネツィアに生きた画家ティツィアーノゆかりの教会巡り

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ヴェネツィアに生きた画家ティツィアーノゆかりの教会巡り

ヴェネツィアに生きた画家ティツィアーノゆかりの教会巡り

更新日:2017/04/28 18:05

竹川 佳須美のプロフィール写真 竹川 佳須美 旅行会社経営

ヴェネツィアで少し余分に時間が取れる方には、異なる時代の教会建築やイタリアのルネッサンス絵画を堪能できる教会めぐりがおすすめです。ヴェネツィアには様々なパスがありますが、今回は何か所もの興味深い教会に入場できるコーラスパス(Chorus Pass)を利用しましょう。

水上バス(ヴァポレット)の一日券とコーラスパス(Chorus Pass)を手に入れる

教会めぐりでは何度も水上バスを利用しますので、あらかじめ一日券(あるいは必要な日数券)を買っておきます。教会の入場券は3ユーロですが、12ユーロのコーラスパスで18か所の教会に入場できます(2017年)。しかも有効期間は一年。全教会の制覇は無理でも、お気に入りの教会を厳選してまわるだけでもおトク感があります。

水上バスのチケットはサンタ・ルチア駅やローマ広場で、Chorus Passは加盟教会で買います(いずれもオンラインでの購入も可能です)。

写真:竹川 佳須美

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フォンダメンテ・ノーヴェのバロック様式:ジェズイーティ教会

最初の教会は、水上バス乗り場フォンダメンテ・ノーヴェの近くのジェズイーティ教会。Chorusのメンバーではありませんが、無料で入場できます。

ファサードは一見してヴェネツィアっぽくありません。古代の神殿風の柱も立派で、まるでローマの教会のよう。というのも、創建は12世紀ながら、17世紀から18世紀にイエズス会の教会として、ローマの教会をモデルにバロック様式に改築されているからです。ヴェネツィアは千年続いた国、ひと口に教会と言っても様式は様々なのです。

写真:竹川 佳須美

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大理石の象嵌や金によるはでな装飾は後回しにして、左手の祭壇画に向かいましょう。

この祭壇画は、ルネッサンスを代表するヴェネツィア派の画家、ティツィアーノの作品です。ティツィアーノをご存知の方が真っ先に思い浮かべるのは、フィレンツェのウフィッツィ美術館にある『ウルビーノのヴィーナス』のような、聖書やギリシャ神話に題材をとった、優美で官能的な女性を描いた作品でしょう。

『聖ラウレンティウスの殉教』は、そんなティツィアーノのイメージをくつがえす、70歳頃(1558年)の作品です。聖人が金網の上で火刑に処されている重く暗い場面が、大胆な構図と、光と闇の鮮やかな対比で描かれていて、次の世代のマニエリスムの画家カラバッジョや、一世紀を経て活躍するレンブラントを思わせます。ティツィアーノは、晩年にあってもなお新しい表現を追求する画家でした。

写真:竹川 佳須美

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ヴェネツィアン・ルネッサンス:サンタ・マリア・デイ・ミラーコリ教会とサン・サルバドール教会

提供元:Chorus

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細い道を南に下り、いくつか運河を渡った先の小さなミラコリ広場に、色大理石の外壁の、ヴェネツィアでは珍しいルネッサンス様式の教会(15世紀末)が建っています。ここでChorus Passを購入しましょう。外観だけでなく内部もまた美しい色大理石で装飾されていて、明るくやわらかな色合いに心安らぐ思いがします。

リアルト橋を目標に10分ほど歩くと、またまたヴェネツィアらしくない、ルネッサンス〜バッロク様式の真っ白なファサードの教会に遭遇します。サン・マルコ広場とリアルト橋を結ぶ道筋なのでたくさんの観光客が行き来しているのですが、たいていの人が立ち寄りもせずに通り過ぎてしまうのが、このサン・サルバドール教会です(Chorus のメンバーではありません)。

写真:竹川 佳須美

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ここにはティツィアーノの『受胎告知』(1566年)があります。名高いダ・ヴィンチの端正な『受胎告知』(ウフィツィ美術館)に比べると、驚くマリア様の姿が筆のタッチも荒々しく劇的に描き出されていて、ルネッサンスの次の時代を感じさせます。

ヴェネツィアン・ゴシックとパッラーディオ様式:サント・ステファノ教会とレデントーレ教会

提供元:Chorus

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レンガで積まれたファサードからも、サント・ステファノ教会はこれまで見てきたバロックともルネッサンスとも全く別の様式であることがわかります。入口の周囲や上部を飾るヴェネツィアン・ゴシックの白い大理石の装飾に、ようやくヴェネツィアらしい教会に出会えたような気になります。15世紀に大きく改装されていますが、13世紀創建当初の面影は、木製の船底型の天井に見ることができます。

この教会では、ティツィアーノの少し後に活躍したティントレットの『最後の晩餐』(1580年)が見ごたえがあります。

写真:竹川 佳須美

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水上バス1番でサン・ザッカリアまで行き、2番に乗り換えてジュデッカ島に渡ります。波もあり、風もあって、ジュデッカ運河と呼ばれてはいても、ここはもう海。狭い小道と運河から抜け出た解放感が味わえます。

レデントーレ教会は、後期ルネッサンスにヴェネト地方で大活躍したパッラーディオによる設計(1592年)です。ヴィチェンツァ周辺のパッラーディオの建築群は世界遺産に指定されるほど重要視されているのですが、レデントーレ教会も彼の傑作のひとつと高く評価されています。対岸から美しいファサードを眺めて終わるのではなく、静かで明るいルネッサンス建築に是非間近かで触れてください。

ヴェネツィアンゴシック様式:サンタ・マリア・グロリオサ・デイ・フラーリ大聖堂

サンタ・マリア・グロリオサ・デイ・フラーリ大聖堂は、15世紀半ばに完成したゴシック様式の教会です。広い内部は見ごたえのある絵画や彫刻などであふれており、まるで美術館のようです。

写真:竹川 佳須美

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主祭壇裏手にあるのが、教会の、いえ、ヴェネツィアの至宝とされるティツィアーノの『聖母被昇天』(1518年)です。聖母が天に昇る瞬間が、映画の一場面さながらに生き生きと描かれていて、ステンドグラスの窓から差し込む光に囲まれ、まさに教会の一部、いやむしろ教会の主のようです。

ティツィアーノ自身も、この祝祭感に満ちた聖母の姿を特別大事に思っていたに違いありません。遺言にまで残した望みは叶えられ、1576年からずっと、ここに眠り続けているのです。

写真:竹川 佳須美

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ヴェネツィアの教会は美の宝庫

決して絵だけを切り離して美術館などに持ってきてはいけない絵があります。どれほど美術史的に価値が高く、完成度の高い作品であっても、です。何故ならその絵は当時のままに、その場所のために描かれたまさにその場所で、生き続けているからです。代表的なのが、教会に描かれた祭壇画や天井画。ヴェネツィアにはそんな教会が目白押しです。

そこに行かなければ見ることのできない一枚の絵画と様々な時代の教会建築に会いに、是非ヴェネツィアの教会めぐりにお出かけください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/02/23−2016/11/10 訪問

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