どこか懐かしさを感じる国、ミャンマー。この国最大の都市ヤンゴンも中心部は凄まじい勢いで発展してきていますが、少し郊外に出るとまだまだ長閑な風景が広がっています。
日本人旅行者にとってまず懐かしさを感じるのは空港からのタクシーで、ほとんどが日本で使われていた中古車。ミャンマーでは様々な日本の製品が海を渡り、再利用されているのです。
ヤンゴン市内をグルッと1周するミャンマー国鉄のヤンゴン環状線は懐かしい日本の鉄道車両にもう一度乗ってみたいという方に最適!ミャンマー国鉄では、ODAで譲渡された元JRや私鉄の車輌がたくさん「第二の人生」ならぬ「第二の車生」を送る姿を見れますよ。
ミャンマーへの鉄道車輌の譲渡は10年以上前から始まり、数多くの車輌が海を渡りました。ヤンゴン環状線は電化されていないので、活躍するのはほんの数年前までJRのローカル線などを走っていたディーゼルカーです。
2017年1月の時点では、JR東海、JR東日本のディーゼルカーが運行されていました。三重県出身の僕にとっては親しみのある車両がたくさん活躍中で元JR東海の車輌の多くは2015年にミャンマーに譲渡されたもので、かつては三重県の紀勢本線、参宮線、岐阜県の高山本線、愛知県の武豊線などを走っていた車輌です。
譲渡後に広告ラッピングが施されて色が日本時代とは変わっている車輌もありますが、カラーリングがそのままの車輌も。車内の料金表示板や「禁煙」などの表示はそのまま残されている車輌が多く、非常に懐かしいです。「松阪ー鳥羽」という参宮線の表示のまま走っている車輌も。
ただ、あまりメンテナンスはこまめに行われていないようで、エアコンは既に使えなくなっており、走行中、窓は開けっ放し。そして自動ドアも前方の通路ドアも開いたまま走っている車輌がほとんど。暑い国、ミャンマーであと何年持ちこたえてくれるか少々心配ではありますね。早めの訪問をオススメします。
東海地区の元JR車輌だけではありません。元JR東日本のカラーリングのまま走っているディーゼルカーも現役バリバリで頑張っています。福島県の郡山地区の刻印がありましたから、生まれ故郷が東北の方にとっては涙が出るほど懐かしい光景ではないでしょうか。
また、色はすっかりミャンマービールのラッピングカラーになっていますが、千葉県の「久留里線」を走っていた車輌は行先表示板に「久留里線」という表示を掲出したまま運行。このタイプはJRに分割民営化してから製造された車輌なので、ヤンゴン環状線の中では近代的なイメージ。それほど車内は混んでいないはずなのですが、暑いからか、開いたドアから身を乗り出して乗っている人も。なかなか日本では見られない光景も楽しんでください。
ヤンゴン環状線はその名の通り、ヤンゴン市内をゆっくり3時間ほどかけて1周。環状線には、1周してくる列車と郊外の支線へと途中で環状線を離れていく列車があります。アルファベット表記の行き先表示板は無いので、環状線だと思って乗っていると、知らずのうちに何処だか分からないところに行ってしまう可能性も。
環状線を1周回るなら、起点とするのは「ヤンゴン中央駅」がベターでしょう。駅のホームには改札無しで入ることができます。ヤンゴン環状線は欧米人に人気があるので、ホームには「CIRCLE LINE」という表示があります。
しかしながら、「CIRCLE LINE」のホームにも支線の沿線が目的地の列車が入線してきますので、不用意に乗らないようにしてください。まずホームの切符売り場は簡単な英語が通じるので「CIRCLE LINEのチケットをください」と伝えて、切符を購入しましょう。チケットは200ミャンマーチャット(約17円)。切符売り場で必ず、環状線の列車の発車時間を確認しましょう。ミャンマー国鉄は時間には割と正確に運行しているようですが、乗る前も必ず聞くようにした方が良いです。
環状線をぐるりと1周するのに3時間。かなり長いので退屈してしまうかもしれませんが、車窓を眺めたり、変わりゆく乗客の皆さんの表情を見ていると、どこか懐かしい記憶が蘇ってくるので意外に早く感じられるかもしれません。
ヤンゴン環状線は鉄道マニアの人はもちろん、懐かしい故郷の鉄道車輌に乗りたい人にもオススメです。ミャンマーの人たちはスマホや携帯電話を持っている人も数多く居ますが、車内で携帯電話を触る人は少なく、会話を楽しんだり、外の景色を楽しんだりしています。駅に着くと、商売人の人たちがトウモロコシやお菓子を売りに車内に入ってきて、なかなか日本では見られない光景です。
1950年代から60年代を知っている方々はとても興奮する光景だと思います。でも、ミャンマーの人々はとても大人しく、外国人をそれほど気にしない感もありますので、郷に入っては郷に従えでゆったりと静かに車窓を楽しむのが良いと思います。
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(2024/4/26更新)
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