GWが一番美しい!静岡・旧東海道の茶畑が緑の絶景に

GWが一番美しい!静岡・旧東海道の茶畑が緑の絶景に

更新日:2017/04/04 14:06

風祭 哲哉のプロフィール写真 風祭 哲哉 B級スポットライター、物語ツーリズムライター、青春18きっぷ伝道師
「夏も近づく八十八夜〜」ではじまる童謡「茶摘み」。
誰もが聞いたことのあるこの「八十八夜」というのは、立春から数えて88日目のことで、ちょうど現在のGWの時期にあたります。昔は茶摘みが行われたこの八十八夜こそ、茶畑が最も美しい緑に染まる季節。まさにGWの絶景穴場スポットなのです。
おすすめは静岡県の金谷から旧東海道を歩きながら眺める一面の茶畑。さあ、GWの絶景茶畑ウォーキングに出かけてみましょう!

絶景茶畑ウォーキングは旧東海道宿場町、金谷から

絶景茶畑ウォーキングは旧東海道宿場町、金谷から

写真:風祭 哲哉

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東海道本線の金谷駅。ここはかつての東海道の宿場町、金谷宿の玄関口であるとともに、現在はSLで有名な大井川鉄道の始発駅としても知られていて、GWともなると、大井川鉄道に乗り換える多くの観光客で賑わいます。
しかし今回の旧東海道ウォーキングはこの駅で下車、ここから始まる静かな旅はGWとは思えないほどで、まさに穴場という感じです。

絶景茶畑ウォーキングは旧東海道宿場町、金谷から

写真:風祭 哲哉

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金谷駅から東海道本線のガード下を抜け、駅の南側に出ると金谷坂町という名の通り、緩やかな上り坂に沿った家並みが現れます。しばらく坂を上るとやがて国道473号線との交差点があり、見晴らしのいい高台に到着します。
ここから先が旧東海道の金谷坂と呼ばれる道で、現在でも当時を彷彿させるような石畳の道として整備されています。

絶景茶畑ウォーキングは旧東海道宿場町、金谷から

写真:風祭 哲哉

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今回の新緑の絶景茶畑をめぐる旧東海道ウォーキングはこの金谷から一つ先の宿場町「日坂宿」までの約7km。距離的にはさほど長くはないのですが、後述のようにかなりアップダウンの激しい区間ですので、ゆっくり歩くと半日近くのコースとなります。

金谷坂には東海道制定の頃からこの山道を越える旅人が滑らないよう、頂上までの430mにわたって石畳が敷かれていて、入り口には「石畳茶屋」と呼ばれる休み処があります。

牧之原台地の絶景茶畑も、まだまだ序の口

牧之原台地の絶景茶畑も、まだまだ序の口

写真:風祭 哲哉

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金谷坂を上りきると突然視界が左右に開け、誰もが教科書で習ったあの有名なお茶の産地、牧之原台地に到着したことがわかります。なにしろそこには見渡す限り一面の茶畑が広がっているのですから。
新緑のお茶の緑が輝くその眺めは確かに壮観なのですが、実はこの絶景茶畑もまだまだ序の口。この先にはもっと美しいお茶畑の景観が待っているのです。

牧之原台地の絶景茶畑も、まだまだ序の口

写真:風祭 哲哉

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牧之原台地の上に出て、平坦になった旧東海道をしばらく歩くとなにやら目の前に不思議な光景が。
それは遠く向こうに見える山の中腹に浮かび上がる「茶」の文字。これは粟ヶ岳と呼ばれる標高532mの山に植えられた約1000本のヒノキで形作られているのだそうです。

牧之原台地の絶景茶畑も、まだまだ序の口

写真:風祭 哲哉

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この粟ヶ岳が見えるあたりから旧東海道は菊川坂と呼ばれる下りの道となります。この菊川坂にも石畳の道がありますが、その一部には江戸時代後期のものがそのまま残っています。
菊川坂の途中から旧東海道の菊川の町並みが見下ろせます。ここは金谷宿と日坂宿の間の休憩用の町場としてにぎわった場所で、かつては商家が軒を連ねていましたが、宿場町ではないため宿だけはなかったそうです。

いよいよ絶景茶畑ハイライト!旧東海道・小夜の中山

いよいよ絶景茶畑ハイライト!旧東海道・小夜の中山

写真:風祭 哲哉

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菊川の町並みを越えると、旧東海道は再び上りとなり、箱根峠や鈴鹿峠とならんで、東海道の三大難所と呼ばれていた「小夜の中山」越えとなります。
この小夜の中山の急坂を上ると、旧東海道の向かいの山肌一面にいよいよ絶景茶畑が。

いよいよ絶景茶畑ハイライト!旧東海道・小夜の中山

写真:風祭 哲哉

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そこには夏も近づく八十八夜の季節の、まぶしいほどの一面の緑が目の前に開け、山の斜面に沿ってずっと続いています。茶畑の美しさは、何本もの茶園の列がどこまでも等間隔に並ぶ均整の取れた点にあることが多いのですが、ここはそうではありません。まるですべての地面をお茶の葉で埋め尽くすかのように、大小さまざま、高さもバラバラと自由奔放に植えられているのですが、なぜか心に響くのです。
それは人間の叡智を尽くして極限まで自然と共生しようとした、先人たちの貴重な遺産として今なお残る棚田の美しさに通じるものがあるからなのかもしれません。

いよいよ絶景茶畑ハイライト!旧東海道・小夜の中山

写真:風祭 哲哉

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また、この付近で行われているお茶の栽培手法は「茶草場農法」と呼ばれ、独自の伝統農法として「世界農業遺産」に認定されています。これは茶畑の周りに点在する草地(茶草場)から草を刈り取って、秋から冬にかけて茶畑の畝間に敷く農法で、この農法で作られたお茶は味が良いことでも知られています。

ゴールの日坂宿へ

ゴールの日坂宿へ

写真:風祭 哲哉

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絶景の茶畑を過ぎ、さらにしばらく上ると、小夜の中山の頂上付近には遠州の七不思議といわれる「夜泣き石」ゆかりの地として有名な「久延寺」があります。

その先の「小夜の中山公園」を過ぎると日坂宿までは約3キロ。ここから先は下りですので、のんびりと茶畑を見ながらゴールを目指しましょう。

ゴールの日坂宿へ

写真:風祭 哲哉

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日坂宿は東海道の中でも比較的規模の小さな宿場町。現在も山あいのこじんまりとした集落で見どころは多くありませんが、代表的な歴史的建造物として脇本陣格の旅籠であった「川坂屋」が残っています。
また日坂の旧東海道沿いに「岡パン」という洒落た看板と暖簾で店を構えている「岡田製パン」は学校給食でも提供されている掛川市民のソウルフード。特にメロンパンがおすすめです。

日坂には鉄道の駅はなく、公共交通機関は路線バスのみ。JRの掛川駅まで約25分で1日7〜8便ありますが、本数も多くはありませんので事前に時刻を調べておくことをおすすめします。
まだ元気が残っていれば、さらに8キロほど先の次の宿場町、掛川まで歩いてもいいかもしれません。

思わず「茶摘み」を口ずさむ、GWならではの絶景茶畑ウォーキング

GWの時期に東海道新幹線に乗っていて、時速280キロの車窓に新緑のお茶畑をみつけ、思わず心奪われたことのある方、いらっしゃいませんか?
今回紹介したコースは、まさにそのお茶畑を時速2.8キロでのんびりとめぐる旅。雄大な絶景茶畑を目の前にすれば(新幹線では唄えなかった)茶摘みの歌を思わず口ずさんでしまうこと間違いなし。

GWが一番美しい場所を、いつも通過するばかりじゃなく、たまには降りてみるのもいいかもしれませんね。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/05/06 訪問

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