写真:中山 久美子
地図を見る橋があるのは、ルッカから北へ約20キロのボルゴ・ア・モッツァーノという小さな町。町の北東に流れるセルキオ川にかかっているのが、この「マッダレーナ橋」です。建設開始は1100年頃、この地方の北から、徒歩でローマへ向かう巡礼者のために建設されました。現在の正式名は、15世紀、橋の近くにあった礼拝堂所有のマッダレーナ像から名づけられましたが、実際は通称の「悪魔の橋」の方がよく知られており、この町のシンボル的な存在となっています。
写真:中山 久美子
地図を見る伝説には諸説ありますが、橋作りの棟梁が期日までに橋が出来上がらずに困り果て、悪魔と「今晩中に橋を完成させる代わりに、最初に橋を渡った人間の魂をもらう」という約束をしてしまいます。橋は翌朝には完成していましたが、恐れた棟梁は地元の神父に相談し、人ではなく犬を渡らせて窮地を脱することができた、と言い伝えられています。他説では犬でなく豚だったり、地元の神父でなくルッカの司教だったりしますが、おおよその内容は同じです。
実際は悪魔が建てたわけではないですが、非対称でなめらかな曲線を描くその様は、大昔に人の手だけで造られたとは思えないほどの、圧倒的な美しさ。ルネサンス期の作家・ボッカチオも、その名作「デカメロン」創作に、この橋からイスピレーションを受けました。
写真:中山 久美子
地図を見るその姿を堪能したら、実際に橋の上を歩いてみましょう。橋は想像以上に大きく、それは橋のてっぺんにいる人の大きさと比べると、よく分かるかと思います。一番高い「ロバの背中」と呼ばれるこの部分は18.50m、実にビルの6階に相当する高さがあるんです。高所恐怖症の方には、ちょっと辛いかもしれません。
写真:中山 久美子
地図を見る橋の前に立ってみると、かなり勾配があることが分かって頂けるでしょうか。橋の全長は93.10mですが、勾配がある分、もっと長いように感じます。また石畳ですので、歩きやすい靴がベターです。幅は大人3人分くらいはありますが、塀の高さは大人の腰あたりまでなので、小さいお子さんと渡る時には特に注意してくださいね。
橋は1200年代に大きな改修が、また1836年には川の氾濫で大きな被害を受けました。一番最後の改修は1900年初めに鉄道開通の為に行われたもので、そのまま下り坂になっていた部分を持ち上げるような形で、鉄道用にアーチを通しました。幸い、奇跡的に戦争での被害はなく、その姿を今に伝えてくれています。
鉄道がある町側から橋へ来られる場合は、この鉄道と並行する道から橋に入り、鉄道の上を通って橋を渡ります。
「悪魔の橋」へは、ボルゴ・ア・モッツァーノ駅から徒歩20分ほど。ルッカからは車で30分ほどなので、タクシーで来るのも可能です。
ルッカ県のルッカ以外の場所は、なかなか日本では知られていません。しかし、ルッカ県北部はこの橋をはじめ、「イタリアの美しい村」にも選ばれているバルガ、カスティリオーネ・ディ・ガルファニャーナなどの村や、温泉地のバーニ・ディ・ルッカなど、隠れた見どころはたくさんあります。足を少し伸ばして、ぜひ新しい発見をしに来てくださいね。
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(2024/3/19更新)
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