伊予長浜の冬の風物詩『肱川あらし』。世界的にも珍しい“神秘的な局地風”を見るのはいかが?

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伊予長浜の冬の風物詩『肱川あらし』。世界的にも珍しい“神秘的な局地風”を見るのはいかが?

伊予長浜の冬の風物詩『肱川あらし』。世界的にも珍しい“神秘的な局地風”を見るのはいかが?

更新日:2013/12/06 12:35

中井 靖のプロフィール写真 中井 靖 お遍路ナビゲーター

愛媛県大洲市長浜の肱川(ひじかわ)河口付近では、毎年10月頃から翌年3月にかけて「肱川あらし」と呼ばれる局地風が発生します。「肱川あらし」とは、好天静穏日の夜間に内陸の大洲盆地で発生した霧(冷気)が日の出とともに一気に河口に流れる自然現象をいいます。強風は河口から沖合数キロまで達し‘長浜の冬の風物詩’として地元で有名。今回はその自然現象を船や橋の上から、そして展望台からも眺めてみましょう。

日の出前に長浜港を出港!船上から見る「肱川あらし」。

写真:中井 靖

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「肱川あらし」は毎日起こる自然現象ではありません。

大洲盆地の冷気と瀬戸内海(伊予灘)の海水の温度差および気圧の変化が関係して起こるのですが、寒暖差があまりにも大き過ぎると、辺り一面が霧で真っ白になって、景色どころではなくなってしまいます。適当な寒暖差が「肱川あらし」には必要なのです!

では、なぜ肱川河口だけしか、この現象が起こらないのでしょうか?

それは肱川流域の山脚がV字型の特異な地形をしているからです。放射冷却によって盆地で発生した霧が、山によって行き場を失い温かい海に向かって勢いよくドカン!と流れます。これが「肱川あらし」のメカニズムなのです。

船の上から見る絶景
「肱川あらし」のビューポイントと言えば、山上から見下ろす「展望台ポイント」と下(現場)から見る「長浜大橋ポイント」の2コースでしたが、今年から新たに船に乗って逆側(海側)から見る体験ツアーが加わりました。今まで地元の漁師さんしか見れなかった絶景が一般の方でも見る事が可能になったのです。

さて写真は、日の出前に出港するタイミングで撮影した風景ですが、霧の先端部分はすでに海に落ちて、海面を走り出そうとしています。この時すでに海は「ゴォ〜ゴォ〜」と迫力のある風音を発し始めていました。

「ゴォ〜ゴォ〜」音を立てながら上流から押し寄せる霧の大群。

提供元:えひめ長浜商店連盟(青野 祠瑠)

http://www.nsr-ehime.com/地図を見る

日の出が近づいていくと、上流からドンドン霧が海に向かって流れてくる迫力の風景を見る事ができます。船の定員は9名。9名がそれぞれ夢中になってカメラシャッターを切り始めます。

海面を走る『龍』。
霧が海面を走り抜ける様は漁師内で「龍頭」と呼ばれ、まるで龍が風に乗って猛スピードで沖に向かって逃げて行くような壮大な風景です。乗船しているわたし達に向かって走って来る大迫力の「龍頭」は「すごい!」としか言いようがありません。沖の方に目をやると、船をすり抜けた龍頭が何百頭も走り去って行く姿が見えるのです。

風速は最大にして約20メートル。
ゴォ〜ゴォ〜という強風の中で停船していると、撮影に夢中の私達としてはもっと河口付近に近づいて欲しくなるのですが、これ以上は河口に近づくと船が危険だそうです。

写真は肱川河口にある新長浜大橋方面を撮影したものですが、霧の供給量が多すぎて、橋がほとんど見えていません。薄っすらとその中を漁船が操業している風景をが見えるのでしょうか。思わず「危ない!」とどこからとなく声が聞こえるほどの1枚です。

日の出を迎えた海面は、輝く「オレンジ色」に!

提供元:えひめ長浜商店連盟(青野 祠瑠)

http://www.nsr-ehime.com/地図を見る

早朝の6時半に出向した船上はかなり寒く、正直ちょっと帰りたくなってしまいます。でも、ここからさらなる絶景が待っているので期待して下さい。

それは朝日が上ってくる瞬間。船を河口から少し遠ざけて、遠目の肱川あらしを見ていると、今まで暗かった海面が見事な「オレンジ色」に変色します。この一瞬の風景は船の上からしか見る事はできません。まさに至福の瞬間です。我慢していた寒さなんて吹き飛んでしまうことでしょう(笑)

さて日の出を無事に船上で迎えた後は港に戻ります。そのとき途中で船長さんがバケツに汲んだ海水に触れると‥驚くほど温かい。「これが肱川あらしのメカニズムか!」なと少しだけ実感できるのではないでしょうか。

先程も言いましたが、肱川あらしは毎日起きる現象ではありません。しかし今年11月以降、地元・長浜商店連盟が「予報サイト」を立ち上げ、「明日は肱川あらしです!」という旬の情報を提供しています。船はその情報に基づいて出港しますので皆さんも見るようにしてみください!!


なお連盟に事前登録をしていれば、乗船の情報がもらえます。
■肱川あらしを『漁船』に乗って見る体験企画
企画元:えひめ長浜商店連盟
場所:長浜港から出発
集合時間:午前6時半(午前8時までに帰港)
料金:一人2,000円
体験希望・問合せ:0893−52−0147(濱田)
朝食付き:別途500円必要

通称「赤橋」。日本最古の道路稼働橋で見る「肱川あらし」。

提供元:えひめ長浜商店連盟(青野 祠瑠)

http://www.nsr-ehime.com/地図を見る

船を降りた後でもまだまだ肱川あらしを見るには十分な時間がありますので「長浜名物の橋」からその風景を見てみましょう。

それが旧長浜大橋。通称「赤橋」と呼ばれる橋で、現役で動く日本最古の架道橋として知られています。橋の真ん中の部分が「パカッ!」と上にせり上がり、空いた部分を利用して船が往来する仕組みなのですが、最近はその役目を終え観光用に徹し、週末に1回だけ稼働するのみとなってしまいました。

ここ赤橋から肱川あらしを見ると、上流から流れてくる霧と強風をまともに受けることになります。小学生が通学時間帯に強風に耐えながら通学する姿が、地元のテレビではよく写し出されるポイントです。

橋の欄干をゴォ〜ゴォ〜音を立てて流れる霧風は、下から上から通行する人や車を容赦なく通過していきます。

また1年のうちに数回ですが、河口から逆流してくる風があるらしく、赤橋付近で上流から来た霧風と衝突する光景も見れるとか…。

これこそ定番!展望台から見る「肱川あらし」。

写真:中井 靖

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展望台の名前は「肱川あらし展望公園」。

そのまんまのネーミングが旅行者にとっては優しい名前です。標高159メートルの展望台から見る景色は「肱川あらし」がなくても旧長浜町をすべて見渡せる絶景ポイント。伊予灘に沈む夕日もなかなかロマンチックです。

船の体験がなかった今までは、この展望台から眺める「肱川あらし」が定番でした。独自の情報網を持つアマチュアカメラマンが、毎年競っていい写真を撮っているために奮闘していたのです。

写真は河口付近から沖に向かって流れる霧(龍頭)を撮影したものですが、この展望台からは、赤橋を見下ろすことも可能であり、ここで撮影された赤橋が入っている「肱川あらし」の風景は、あちらこちらの観光用ポスターで見る事ができます。

おわりに

いかがでしたか?

今回は「肱川あらし」を見上げ、見おろし、振り返るコースをナビゲートしましたが、自然が相手のために前日にいくら「よい予報」をゲットしても当日は不発!なんてこともあり得ますので、その辺りはご留意ください。

霧が町をのみ込み、うねりながら海へと広がる「肱川あらし」は幻想的で息をのむ美しさです。ちょっと早起きをして自然が織りなす絶景を眺めてみてはいかがでしょうか?

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/11/23 訪問

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