上野東照宮は、徳川家康を御祭神とする神社で、1627年に東叡山寛永寺の一部として創建されました。1646年に朝廷から「東照宮」の名を賜りましたが、日光や久能山など全国の東照宮との区別をつけるため、一般的には上野東照宮と呼ばれています。
ぼたん苑は1980年、日中友好を記念して参道のそばに開苑されました。開苑当初は70品種ほどだったものが少しずつ数を増やし、現在では春は110品種600株、冬は40品種200株が訪れる人の目を楽しませてくれています。
苑内は回遊式の日本庭園で、次から次へと美しい花々を眺めることができる造りになっています。
写真:織笠 なゆき
地図を見る牡丹は古来より「百花の王」などと評されている、中国原産の落葉樹です。奈良時代に日本に伝来したとされ、江戸時代以降多くの品種が生み出されてきました。その豪華な佇まいから「富貴花」「縁起花」などいくつもの別名を持ち、縁起の良い花として知られています。
平安時代の「枕草子」や「蜻蛉日記」に登場し、俳句の季語としても多用されるなど、文人墨客に愛された花でもあります。
上野東照宮ぼたん苑の「春のぼたん祭」では、開苑当時から咲き続ける大株や、珍しい緑色の花を咲かせる牡丹「まりも」など、日本や中国、欧米諸国で愛されている110種600株以上の牡丹たちが妍を競っています。
写真:織笠 なゆき
地図を見るこれほどまでに艶やかで美しい花を咲かせる牡丹ですが、花と同じように、根の部分も重宝されています。牡丹の根の皮を乾燥させた「牡丹皮」は、中国の漢の時代の書物にも載るほど古くから、生薬として利用されてきました。現在でも「牡丹皮」は、鎮痛・解熱・血流の改善・更年期障害の症状の改善などに効果があるとされ、いくつもの漢方薬に使われています。
上野東照宮ぼたん苑は、春と冬の牡丹の開花時期に合わせて一般公開されます。平成30年春の開催概要は以下の通りです。
「第39回 上野東照宮 春のぼたん祭」
開催期間:2018年4月11日(水)〜5月13日(日)※期間中無休
開苑時間:9:00〜17:00(入苑締切)
入苑料:大人(中学生以上)700円、東照宮社殿共通拝観券1,100円
写真は、苑内のビュースポット。日本庭園の向こうに旧寛永寺五重塔が顔をのぞかせています。この五重塔は東照宮内に建立されたものですが、明治時代の神仏分離令により寛永寺に帰属し、その後、東京都に寄付されました。現在は上野動物園の中に位置していますので、動物園に入園せずキレイに眺めることができる場所は限られています。
五重塔と日本庭園、そして艶やかな牡丹と情緒ある和傘。江戸の風情に浸ることができるこのスポットは、写真撮影にもおすすめです。
写真:織笠 なゆき
地図を見るぼたん苑の中では、牡丹だけでなく、様々な美しい花が栽培されています。4月初旬〜中旬はシャクナゲ、4月中旬〜下旬はシャガやシラン、4月中旬〜5月初旬はシャクヤクなど。
写真はシャガの花。シャガの学名は「Iris japonica」で、日本各地に分布していますが、この花も古い時代に中国から持ち込まれたのがはじまりとされています。牡丹と同じように、日本と中国に縁の深い花の一つと言えます。
写真:織笠 なゆき
地図を見る「春のぼたん祭」と「上野東照宮冬ぼたん」の開催中は、上野東照宮の御朱印に、ピンクの牡丹が加わります。繊細で華やかな花の印は、参拝の思い出にも彩りを添えてくれることでしょう。
桜の季節が終わっても、憩いの場としてにぎわう上野公園。博物館や美術館、動物園や不忍池など、公園内には魅力的なスポットがいくつもありますが、「春のぼたん祭」開催中は、ぜひ上野東照宮のぼたん苑にも立ち寄ってみてください。心もぱっと華やぐような、美しい春の光景に出会えますよ。
住所:東京都台東区上野公園9-88
電話番号:03-3822-3575(ぼたん苑)
アクセス:JR上野駅公園口より徒歩約5分
2018年4月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/3/29更新)
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