代々木上原「東京ジャーミイ」でパスポートの要らないトルコ旅行を

代々木上原「東京ジャーミイ」でパスポートの要らないトルコ旅行を

更新日:2017/03/28 12:24

東京・代々木上原駅から歩いて5分。井の頭通り沿いに突然現れる巨大なモスクを、東京にお住まいの方なら、一度は目にした事があるかも。それが東京にあるイスラム教の礼拝所「東京ジャーミィ」です。
トルコ共和国在東京大使館の所属であり、一般にも開放されていて、自由に見学する事が可能。
その異国情緒溢れるモスクに一歩足を踏み入れると、一瞬にしてトルコにテレポーテーションしてしまうこと間違いなし!

日本最大のオスマントルコ様式のモスク。

日本最大のオスマントルコ様式のモスク。
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ジャーミイとはトルコ語でモスクをあらわし、「人の集まる場所」を意味するアラビア語を語源としています。「東京ジャーミイ」は、東京や東京近郊に住むムスリム(イスラム教徒)たちが礼拝する為の場所ですが、それを自由に見学できるのがちょっと驚き。

建物の上階に礼拝堂を設け、そのオスマントルコ様式の美しい空間は、ムスリムでなくても心洗われる思いがします。

日本最大のオスマントルコ様式のモスク。
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1917年に勃発したロシア革命。その影響で、ロシア領内に住んでいた回教徒・トルコ民族の多くが国外に避難し、その内の約200人が、ここ代々木上原に移住。そして彼らは、自分たちの礼拝の場としてこのモスクを建設し、それには日本政府軍も対イスラム宣撫政策の1つとして、資金援助をしたと言われています。

日本最大のオスマントルコ様式のモスク。
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実は現在のモスクは2代目。初代のモスクが造られたのは1938年で、金沢の宮大工が建築。木造だった為に老朽化が進み、1986年に取り壊され、2000年に現在のモスクが建てられました。
建築資材や調度品の殆どをトルコから取り寄せ、約100人ものトルコからの職人が1年に渡って手掛けた現在のモスクは、ミナレット(尖塔)とドームが印象的な外観に加え、アラベスク模様(植物をモチーフとした模様)や美しいカリグラフィ(アラビア文字の書道)、ステンドグラスなどで構成された圧巻の内部になっています。

イスラム文化・トルコ文化を伝えるセンターの役割も。

イスラム文化・トルコ文化を伝えるセンターの役割も。
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1階の入り口を入ると、まず右手に小さなお土産屋があります。
タスベーという数珠の様な物や女性用の装飾品、男性用の帽子、サッジャーダという礼拝用マット、ハラール食品、食器、お菓子、お茶、コーヒー、絵葉書など、日本ではなかなか手に入らないものも購入できます。

イスラム文化・トルコ文化を伝えるセンターの役割も。
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入り口を入って左手には、トルコ民家の応接間をイメージした休憩スペースがあり、ここで食事をしたり、談話したりしてゆっくり過ごす事が出来ます。
真中には小さな噴水、そして見事なまでのアラベスク模様。このスペースだけでも、かなりの手間暇かかっているのではないかと感じるでしょう。

イスラム文化・トルコ文化を伝えるセンターの役割も。
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更に奥には、広いスペースが。イスラムの講演会や各種イベント、パーティー、展示会などが行われる多目的ホールです。こちらもまた、美しい装飾、照明、壁のカリグラフィが印象的。

礼拝堂内はまるで別世界。

礼拝堂内はまるで別世界。
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2階に上がるとテラスがあり、そこでこの建物の外観が手に取る様にわかります。
外壁はライムストーン(アンタリア地方で採れる石灰石)張りで、礼拝堂の玄関前には半ドームのあるアーチが連なり、床はもちろん大理石。

元々イスラム芸術は、物的なものの形より、そのものの背景にある創造主に対するの愛と素晴らしさに影響された芸術で、オスマン・トルコ建築を代表するカリグラフイ、タイル、石材及び大理石、金属芸術、装飾の数々を、ここで一気に見る事が出来るのです。特に、物の基本をなす幾何学模様を取り入れた装飾の素晴らしさに、目を奪われるでしょう。

礼拝堂内はまるで別世界。
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礼拝堂は、最大1,200人収容可能で、1つの大ドームを中心に6つの半ドームをもつ設計になっているのが特徴。 2階には女性用の礼拝室もあり、専従のイマーム(導師)もいて、日本ではかなり大規模な部類に入ります。

イスラム教では偶像崇拝が禁止されているためモスクなどの装飾には人物及び動物表現が忌避され、その為アラベスクという幾何学模様や草花の文様が発達したと言われています。
このモスクは、細部にいたるまで伝統建築のデザイン条件を忠実に守りながら、単なる模倣ではなく、オリジナルな設計が成されているとの事。

礼拝堂内はまるで別世界。
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ドームの天井にアッラー(神)と、預言者のムハンマド、4人の後継者の名前がアラビア語で描かれています。ムハンマドは聖典クルアーンに記されたアッラーの教えを、ハディース(言葉)とスンナ(行動)という実践方法で示した人物

壁面の帯に描かれているカリグラフィは、アラビア語で99の呼び名を持つアッラーの、その呼び名が描かれています。
またシャンデリアは、「こんにちは」にあたる「アッサラーム」というアラビア文字をデザインしたもの。ステンドグラスも見事です。

アザーンの響きに酔いしれる。

アザーンの響きに酔いしれる。
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毎日の礼拝は、早朝の礼拝(ファジュル)、正午過ぎの礼拝(ズフル)、遅い午後の 礼拝(アスル)、日没後の礼拝(マグリブ)、そして夜の就寝前の礼拝(イシャーウ)の5回。いかなる場所に居ても、メッカの方角に向うことが決められています。
そして金曜日は礼拝の他に、ホタバとよばれる説教やコーランの一説などがイマームによって読み上げられる特別な日で、なんと400人近くもの人が集まるのだとか。

歌声の様なアザーン(礼拝への呼び掛けのこと)が礼拝堂に響くと、次々とムスリムたちが集まり、その独特の礼拝方法を見る事が出来ます。

アザーンの響きに酔いしれる。
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ここの礼拝堂には、女性だけの入室が許される2階があり、小さな子供連れの女性が、人目を気にせず礼拝できるようになっています。

イスラム教では、男女別々に礼拝する事が定められています。また女性は身体全体をスッポリ覆うような服装が必須。これに非イスラム圏の人間は、男女差別!などと思ってしまい、また「神の前では皆平等」の教えに反していると感じるのですが、その意味が、大変興味深い。
それは、その礼拝方法によるものでした。肩寄せ合って神の前で額を床につけて土下座のような、尻をあげるスタイルでお祈りする時に、男女一緒だと集中できないという理由。
また、全身を覆う様な服装には、灼熱の太陽から身を守る役割もあり、「男が顔で判断しないように」「男達の欲望の視線から身を守るため」などという解釈があります。

イスラム教への関心が深まるツアーに参加しよう。

イスラム教への関心が深まるツアーに参加しよう。
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土曜、日曜は、14時半より礼拝の様子を見られる、日本語ガイドによる館内の案内に参加でき、1時間半ほどの無料のツアーで、イスラム教のこと、モスクのこと、そして東京ジャーミイのことを深く知る事ができます。
その際、女性は肌の露出を控えた服装、また髪を隠す為のスカーフ着用も必須。ただ貸し出しもされているので、うっかり忘れても大丈夫!

ブルーモスクを彷彿させる「東京ジャーミイ」

トルコに行かれた事がある方なら、この東京ジャーミイのデザインが、トルコ・イスタンブールにある「ブルーモスク(正式名:スルタン・アフメト・ジャーミイ)」に似ている事が、一目見ればわかると思います。それだけ忠実にそして大規模に造られたモスクなのです。

またイスラム教は、キリスト教に次いで2番目に信者が多い宗教なのにも拘らず、日本ではなかなかそれに触れる場が少ないのが現実。東京ジャーミイは、そんな貴重な体験が出来る場所でもあります。
美しい建物の鑑賞と共に、ツアーにもぜひ参加してみて下さい。

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/03/18 訪問

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