伝説と歴史の静かな港町 日向市「美々津」

伝説と歴史の静かな港町 日向市「美々津」

更新日:2017/04/20 13:03

肥後 球磨門のプロフィール写真 肥後 球磨門 一人旅ブロガー
宮崎県日向市の南端に位置する「美々津」は日向灘に面する港町で、神武天皇が東征する際に出港した場所として伝説が残っています。江戸時代は近畿地方を結ぶ海の玄関口として繁栄し、美々津千軒といわれるほど白壁の町家が軒を連ねていました。鉄道の開業に伴い廻船業は衰退し、歴史から忘れられた港町は今も静かな佇まいを残しています。江戸期の町家が残り国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている、美々津を紹介します。

古い町家が今も残る美々津の街並み

古い町家が今も残る美々津の街並み

写真:肥後 球磨門

地図を見る

日向市美々津町は、東九州自動車道 日向ICから国道10号線を宮崎方面へ約10分で到着します。戦国時代、薩摩軍と大友軍が熾烈な戦いをした「耳川の戦い」の舞台となった耳川の河口に位置する小さな港町です。

海の交易の拠点として歴史を刻んできた美々津は、江戸時代から明治そして大正時代にかけて、関西方面との海運のために廻船問屋が栄えた港町です。廻船問屋は明治から大正にかけて最盛期を迎え、「美々津千軒」と呼ばれるほどの多くの町家が軒を連ねていました。関西と深い交流があった事がうかがえる白壁や出格子など、京都の町屋風情が色濃く残り、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。

古い町家が今も残る美々津の街並み

写真:肥後 球磨門

地図を見る

美々津の街並みを歩いていて目を惹くのが、白壁の商家が立ち並ぶ静かな町に溶け込むように建つ洋風建物です。これは昭和初期に建築された木造二階建ての旧郵便局舎で日本の伝統的建物の中にあっても違和感のない建物です。
古い建物が立並ぶ静かな港町でゆったりした時間を過ごしませんか。

「バンコ」って何?

「バンコ」って何?

写真:肥後 球磨門

地図を見る

町家の玄関横に「バンコ」と呼ばれる折りたたみ式の縁台が設えてあります。バンコ」はポルトガル語でベンチを意味する「banco」に由来しています。どうして折り畳むのかははっきりした理由はないですが、バンコにちょっと腰掛けて「美々津千軒」と呼ばれた当時の繁栄を思い起こしてみてはいかがでしょうか。

「バンコ」って何?

写真:肥後 球磨門

地図を見る

美々津の町を散策していて気づくのが各家統一された木製の郵便受けです。どの郵便受けにも神武天皇が使用したと伝わる古船が描かれていています。
美々津は神武天皇が東征に出発した土地と伝えられ、地域住民が意思統一してそれを表していたのではないでしょうか。
伝説やバンコなどの文化的遺産が大切に守られている美々津に出かけてみませんか。

美々津の歴史を知る「歴史民俗史料館」

美々津の歴史を知る「歴史民俗史料館」

写真:肥後 球磨門

地図を見る

写真右手は安政2年(1855年)に建てられた廻船問屋だった河内屋で、歴史民俗資料館として公開されています。間口の広さで税金がかけられていた当時としては大きな間口で、豪商だったことがうかがえます。

美々津の歴史を知る「歴史民俗史料館」

写真:肥後 球磨門

地図を見る

内部は、実際に使われていたそろばんなどの商売道具や家具が置かれて当時の様子が再現され、各部屋には河内屋に伝わる商取引の古文書や民具類などの民俗資料が展示されています。

美々津の歴史を知る「歴史民俗史料館」

写真:肥後 球磨門

地図を見る

隠し階段があった場所から二階に上がると天井の低い空間が広がっています。当時、商人は二階建てを建てることが許されていなかったので物置として作り、隠し部屋として使われていたようです。二階の窓から町家の街並みを見下ろすのも隠れ部屋の秘密の住人になったよう
でちょっと面白いです。天井がかなり低いので頭上に注意して見学しましょう。

神武天皇が船出をした場所に建つ「立磐神社」

神武天皇が船出をした場所に建つ「立磐神社」

写真:肥後 球磨門

地図を見る

宮崎県は「神話のふるさと」といわれる土地で、この美々津にも語り継がれている神話が残っています。それが初代天皇といわれる神武天皇が美々津港から東征を開始したという神話です。神武天皇が渡航の安全を祈念して住吉大明神を祀ったのが美々津の町に残る立磐神社です。

神武天皇が船出をした場所に建つ「立磐神社」

写真:肥後 球磨門

地図を見る

創建は第十二代景行天皇の時代と伝わる古い神社で境内には神武天皇が腰掛けたといわれる大きな岩「御腰掛之磐」が玉垣に囲われて祀られています。腰掛岩の近くには大きなクスノキもそびえたち、その空間はどこか神秘的な空気が漂っているように感じます。境内に佇んで神代の世界に迷い込んでみませんか。

神武天皇が船出をした場所に建つ「立磐神社」

写真:肥後 球磨門

地図を見る

神社の入り口には「日本海軍発祥之地」の碑が立っています。神武天皇が東征の際に率いた水軍が日本最初の海軍といわれているからです。この碑の先はすぐ海。日向湾を眺めて神武天皇が船出をした時代に思いを馳せてみてはいかがでしょう。

散策に疲れたらカフェで一服

散策に疲れたらカフェで一服

写真:肥後 球磨門

地図を見る

美々津の町並みの中に2〜3軒、古民家を利用したカフェがあります。古い町並みに溶け込んでいる店構えなのでつい通り過ぎてしまうほどです。

散策に疲れたらカフェで一服

写真:肥後 球磨門

地図を見る

写真は古民家を改装し、小物なども販売しているカフェ「民」です。白玉ぜんざいやケーキのセットで小休止しませんか?ここのカフェは簡単な食事ができるの周辺に食事処がない美々津でのランチにおススメです。

ドライブ途中にちょっと立ち寄ってみたい美々津の町

豪華な建物はないですが幕末から大正期にかけての町家が並ぶ古い港町の美々津。情緒豊かな白壁が残る町並みをのんびり楽しんでみてはいかがでしょう。
東九州道が開通した後、ここを素通りしてしまい以前にも増して訪れる人が少なくなった控えめな観光地です。

最寄り駅にJR美々津駅がありますが一時間に1本しか列車がないので車の利用をおススメします。
日向ICから延びる国道10号線沿いには、白波立つ日向灘が一望できる絶景スポットもありドライブには最高です。美々津から宮崎市内までは車でおよそ一時間。
ドライブ途中にちょっと立ち寄ってはいかがでしょうか。

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/03/04 訪問

- PR -

条件を指定して検索

- PR -

この記事に関するお問い合わせ

- 広告 -