栄枯盛衰の儚さよ。タイ世界遺産「アユタヤ」を効率よく巡るルート

栄枯盛衰の儚さよ。タイ世界遺産「アユタヤ」を効率よく巡るルート

更新日:2018/07/24 15:12

モン ガラのプロフィール写真 モン ガラ ライター
1351年から417年に渡り35代の王がアユタヤ王国の歴史を築きました。かつては貿易が栄えヨーロッパのような華やかな都市でしたが、度重なるビルマとの闘いを経て1767年にアユタヤは陥落。ビルマ軍により建造物の多くは徹底的に破壊され、顔のない仏像、崩れた仏塔、土台だけの寺院が、今も静かに時を止めたまま残されています。そんな歴史の面影が残るアユタヤを効率よく巡るルート順に、特に重要な見所を紹介します。

アユタヤで唯一残った寺院「ワット・ヤイ・チャイ・モンコン」

アユタヤで唯一残った寺院「ワット・ヤイ・チャイ・モンコン」

写真:モン ガラ

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「ワット・ヤイ・チャイ・モンコン」は、1357年に初代ウートン王が、セイロン(現スリランカ)に留学中の修行僧たちの瞑想の為に建てた寺院です。別名「ワット・プラ・チャオプラヤータイ」とも呼ばれます。アユタヤの遺跡はほとんど川に囲まれた島のような所に集中していますが、この寺院は島の外にあり遺跡群とは離れた場所にあります。

18世紀後半にアユタヤ王朝がビルマ軍から猛攻を受けた際に、ほぼ全ての寺院が破壊されましたが、この寺院だけは幸い市内から離れた場所にあった為戦火を免れる事ができました。アユタヤ寺院の中で唯一建造されたままの姿を見る事ができる貴重な寺院です。入口から入ると最初に涅槃像の前を通りますので記念撮影を忘れずに。

アユタヤで唯一残った寺院「ワット・ヤイ・チャイ・モンコン」

写真:モン ガラ

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この寺院の見所は高さ72メートルの巨大仏塔です。この塔は1592年に20代王ナレースワンが、ビルマとの象上での一騎打ちに勝った記念塔として建てました。ナレースワン王は、ビルマが建てた仏塔“ワット・プー・カオ・トーン”(80メートル)より高い仏塔を建てようと対抗しましたが、当時は正確な測量技術がなかった為わずか8メートルの差で及びませんでした。非常に残念なエピソードですね。

アユタヤで唯一残った寺院「ワット・ヤイ・チャイ・モンコン」

写真:モン ガラ

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仏塔は途中まで登ることができます。上部の回廊はアユタヤの町が一望できる絶景ポイントです。下を眺めると、仏塔を囲むようにたくさんの座仏像が並んでいます。ビルマ軍の攻撃を免れたので首がある仏像が多いのが特徴です。ここは破壊されていないアユタヤ時代の壮観な仏像軍を見れる唯一の寺院なので、目に焼き付けておきましょう。

「ワット・プラ・ラーム」は象に乗りながら観光!

「ワット・プラ・ラーム」は象に乗りながら観光!

写真:モン ガラ

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市街中心部の“エレファント・キャンプ”は象乗り体験ができます。象と一緒に記念撮影ができ、係員が撮影してくれるのでグループ全員が一緒に写真に入れます。大人はもちろん遺跡に飽きてしまったお子様も喜ぶ場所なので是非訪れましょう。象乗り体験は、園内を周るコースと外を周るコースから選べます。外を周るコースは象に乗りながら遺跡を見る事ができるので特におすすめです。

「ワット・プラ・ラーム」は象に乗りながら観光!

写真:モン ガラ

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象は2人乗りです。実際に乗ると座り心地がよく安定しています。乗った瞬間、目線の高さに驚くことでしょう。高い位置からアユタヤの町をゆっくり眺める事ができます。途中で象の休憩タイムを挟み約15分から25分でキャンプに戻ってきます。最後は象さんにお礼のチップを渡しましょう。直接手渡しすると長いお鼻でぱおーんと受け取ってもらえます。

「ワット・プラ・ラーム」は象に乗りながら観光!

写真:モン ガラ

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象に乗ってる途中、周囲を水掘に囲まれた「ワット・プラ・ラーム」の前を通過します。この寺院は1369年に2代王ラーメスワンによって、初代ウートン王の遺骨を納める為に建てられた規模が大きい遺跡です。

アンコールワットのようなクメール建築が美しい塔が見所ですが、とても高い塔なので、象の上から見る事が出来ます。どうしても中に入りたいという方以外は、遠くから眺めるだけでも満足度は高いですよ。

アユタヤ王朝の廃墟と化した「ワット・プラ・シー・サンペット」

アユタヤ王朝の廃墟と化した「ワット・プラ・シー・サンペット」

写真:モン ガラ

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「ワット・プラ・シー・サンペット」は、アユタヤ王宮内にあった最も重要な王室守護寺院で、バンコクでいう“ワットプラケオ”に相当します。1351年ラーマティボディ1世によって宮殿が建てられ、トライローカナート王時代の1448年に宮殿が移築されました。1500年には高さ16メートル、重さ171キロの黄金に覆われた巨大仏像(寺院名にもなったプラ・シーサンペット)が建立されましたが、アユタヤ陥落によりビルマに侵略され跡形もなく破壊されました。

現在残っているのはアユタヤ中期(15世紀)にセイロン様式で建てられた3基の仏塔のみ。内部空間のない仏塔で釣り鐘型をしています。それぞれにラーマティボディ2世とその父(トライローカナート王)・兄の3人の王の遺骨が納められ静かに並んでいます。

アユタヤ王朝の廃墟と化した「ワット・プラ・シー・サンペット」

写真:モン ガラ

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当時の王室守護寺院も現在は3つの仏塔以外すべて破壊され跡形もありません。しかし、これらの崩れ去った形跡の大きさだけでもアユタヤ王朝の偉大な繁栄を物語っています。何百年も放置された廃墟ですが、今は世界遺産としてそのままの姿で管理されています。建物自体は時が止まっているのに、草が生えて緑の木々が生い茂っている対比がなんとも物悲しい気持ちになります。

アユタヤ王朝の廃墟と化した「ワット・プラ・シー・サンペット」

写真:モン ガラ

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すぐ近くに多くの参拝客で賑わう「ウィハーン・プラ・モンコン・ボピット」があります。1603年にラーマティボディ2世により造られた高さ17メートルのブロンズ像を安置する寺院です。ビルマ軍に破壊されましたが、ラーマ5世の時代に再建し礼拝堂が復元されました。
ワット・プラ・シー・サンペット」の隣なのでセットで観光すると良いでしょう。

ストツーマニアの聖地!「ワット・ローカヤ・スター」

ストツーマニアの聖地!「ワット・ローカヤ・スター」

写真:モン ガラ

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「ウィハーン・プラ・モンコン・ボピット」から500メートルほど進むと「ワット・ローカヤ・スター」があります。広々とした草原に全長28メートルの巨大な涅槃像が横たわっています。アユタヤ王朝中期〜後期に造られましたが、こちらもビルマの猛攻で破壊され、現在の姿は1956年に復元されました。周囲に寺院も屋根もなく青空の下穏やかな表情で寝そべっています。

こちらは全世界で大ヒットした格闘ゲーム「ストリートファイター2」に出てくる登場人物“サガット”のステージとしてもファンに知られています。たしかに思い返すとこの場所でサガットがムエタイで戦っていましたね。昔流行ったゲームなだけにファンは必見です。

ストツーマニアの聖地!「ワット・ローカヤ・スター」

写真:モン ガラ

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涅槃像の足の裏に周ってみましょう。かかとの辺りに黒いラインがうっすら見えます。これは2011年にタイ全域を襲った洪水により、チャオプラヤ川の近くにあるこの場所も浸水被害を受け、涅槃像も半分水に浸りました。足裏のラインは洪水の水位の痕が残っているのです。

戦争の悲惨さを物語る「ワット・マハタート」

戦争の悲惨さを物語る「ワット・マハタート」

写真:モン ガラ

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アユタヤ観光で欠かせない「ワット・マハタート」は1300年代後半に建立され、ラーメスアン王が建てたという説と、ボロムラーチャ1世が建てたとう謎めいた2つの説があります。かつては高さ44メートルの黄金に輝く仏塔がありましたが、ビルマ軍の侵略により廃墟と化しました。

ビルマ軍が切り落とし放置した仏像の頭が、長い年月の間に根に取り込まれ取り出すことができなくなってしまった木が有名です。この仏頭の前で写真を撮る場合は、仏頭よりも頭が低くなるように座って写真を撮らなければいけません。

戦争の悲惨さを物語る「ワット・マハタート」

写真:モン ガラ

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現在は、崩れ落ちて苔まみれの煉瓦壁や礼拝堂の土台のみが残ります。中心にある仏塔は1911年に崩れましたが、1956年に修復の際に地下から数々の仏像や宝飾品が発見されました。現在はチャオ・サン・プラヤー国立博物館に展示されています。

戦争の悲惨さを物語る「ワット・マハタート」

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首から上を無惨にも切り落とされた仏像群の姿です。アユタヤ王朝はここでビルマ軍に敗れて417年の歴史に幕を降ろしました。ビルマ軍による侵攻の傷跡が最も悲惨であり、戦争がいかに激戦だったかを物語る重要な寺院です。

廃墟マニア・ストツーファンも必見!タイ・アユタヤ遺跡

アユタヤの遺跡群は、ほとんど川に囲まれた島の内部に集中しています。島の中は、当時の繁栄も虚しくビルマ軍の猛攻を受けほとんどの建物は廃墟化しています。いかに当時が激戦だったかを物語っています。それらは世界文化遺産として保管され、見ごたえ十分です。多くはトュクトュクで10〜15分程で移動できる場所にあり、このルートで巡れば見所を効率よく半日で周れます。中には懐かしいゲームに登場する場所も含まれます。日中はかなり気温が上がるので午前中の観光がお勧めです。暑いので日焼け対策と水分補給を忘れずに。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2017/01/19 訪問

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