熊本県の阿蘇山の麓、南小国町にある黒川温泉は、江戸時代に開業されましたが、山間のひなびた秘湯でした。1986年に温泉巡りができる「入湯手形」を導入したことで徐々に知名度が高くなり、いまや30軒の旅館が建ち並ぶ全国区の人気温泉地となりました。町にはビル形式の建物はなく、建物や看板なども黒色や茶色で統一され、情緒あふれる景観を保っています。まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような、あるいは時代劇のセットの中に入り込んだような錯覚に陥ります。「旅館湯本荘」は、町を流れる田の原川沿いに並ぶ旅館街の中央に位置しています。
風情ある外観と水車が印象的な「旅館湯本荘」は、江戸時代の幕末・慶応3年に創業し、黒川温泉では2番目に古い老舗旅館です。現在の建物は平成15年頃に建て直されましたが、黒川温泉の他の旅館同様、江戸時代や大正ロマンの雰囲気を残した風情ある外観や内部になっています。
中に入ると、ロビーや廊下など全体的に日本の伝統色を残した落ち着く造りになっており、帳場の近くには囲炉裏のコーナーが設置されています。また、客室や風呂の案内には灯篭が置かれ、幻想的な光を放っています。館内のひとつひとつのものが落ち着ける素敵な空間を創り出しています。
黒川温泉の特徴は旅館ごとに温泉の泉質が違い、いろんな泉質の温泉巡りができることです。黒川温泉の象徴ともなっている「入浴手形」で3か所の温泉が楽しめます。「旅館湯本荘」の温泉は、鉄分を多く含んでよく温まるためリューマチや更年期障害に効果があるといわれる希少の「含鉄泉」です。赤湯と呼ばれ少し赤味がかっています。もちろん源泉かけ流しです。露天風呂は「かじかの湯」と「あじさいの湯」があり、写真は「あじさいの湯」です。
「かじかの湯」は、ゆるめの大きな浴槽と奥に少し熱い桶風呂があります。川のせせらぎを聞きながら竹林の眺めの中でゆったりとした気分に浸れます。お湯にとろみはなく、温泉らしい硫黄の臭いが少しします。さすがに温まります。出てからも身体はぽかぽかです。
内湯は男女ひとつずつあります。桶風呂と大きな浴槽があり、大きな窓を開けると露天風呂と変わりないくらいの開放感があり、川や竹林の景色を楽しみながら入れます。
「旅館湯本荘」の温泉の魅力は3つの貸切風呂がいつでも予約なしで利用できることです。客室数は12室ですので、平日は3つとも使用中ということはほとんどなく、自由に入れます。写真は「釜風呂」です。大きな釜の中にたっぷりとお湯が注がれています。
写真の「岩風呂」は、ごつごつとした岩の感じで作られた浴槽です。貸切ですので自由に窓を開けて風景を見ながら入ることができます。
写真は「檜風呂」です。使い込まれた檜の浴槽が風情を感じ、心から癒されます。やっぱり檜のお風呂ってやすらぎますね。
「旅館湯本荘」の客室は全12室。それぞれに「さくら」や「ききょう」など花の名前が付けられています。全室が川向きで、窓を開けると川の流れや向かい側の竹林の光景が眺められてやすらげます。写真は「さくら」で10畳と6畳の2間。6畳の方にベッドが2台置かれています。十分な広さでゆったり感があります。
こちらは和室10畳の広めの部屋です。窓側には座り心地の良いイスとテーブルが置かれ、窓からの景色をのんびりと楽しめます。他には和室8畳の部屋があります。どの部屋も花が飾られており、川のせせらぎが心地よく聞こえる中で、落ち着いた気分で過ごせます。
全室が川向きですので、窓を開けると写真のような素敵な光景が見れます。黒川温泉らしい川のせせらぎと里山。そして黒を基調とした建物や橋など、ほんとうに素晴らしい光景です。
「旅館湯本荘」には旅館では珍しい管理栄養士がおり、献立作成や栄養素の計算などを行っています。夕食は食事処ですが半個室ですので他を気にすることなく食事が楽しめます。部屋食プランもあります。熊本県内で飼育されたジューシーで深い味わいの「味彩牛」と緑豊かな自然の恵みで育てられたプリプリの「大阿蘇鶏」の溶岩焼きや、山間の宿ならではの「ヤマメの塩焼き」など、どれも美味しい料理に大満足です。
熊本といえばやっぱり「馬刺し」ですよね。もちろんメニューに入ってます。「肥後上馬刺し」は肉そのものに甘みがあり、うまみと風味は絶品です。地元で食べる特産はやはり違いますね。
朝食は、定番のメニューのに加え、料理長手づくりのあたたかい「豆腐」や「南関あげの味噌汁」などが特色を出しています。飲物が1品付くのも嬉しいサービスです。
熊本地震では大きな被害はなかったもののその後の風評被害で苦しみましたが、現在は客足も戻り、若いカップルの姿が目立ちます。
「旅館湯本荘」は若い男女のスタッフが中心ですが言葉遣いも丁寧で親近感のある接客をしています。宿泊客は浴衣を数種類の中から選べる心遣いのあるサービスもあります。黒川温泉というと高級旅館のイメージがありますが、比較的リーズナブルな旅館もあります。こじんまりとした黒川の温泉旅館街は飲食店やお土産店などすべてが黒を基調とした建物で統一感を出しているとても素敵な町です。「旅館湯本荘」で温泉と料理を堪能し、風情ある町並みを見ながら浴衣姿で散策したり湯めぐりをするのが黒川温泉の最高の楽しみ方です。
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(2024/4/25更新)
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