「小天橋」は日本海と久美浜湾を南北に隔てる砂洲です。山陰地方随一の約6km続く白砂のロングビーチには、「小天橋海水浴場」をはじめとする海水浴場（箱石浜、葛野浜、蒲井浜）があり、夏は海水浴客で賑わいます。海岸のうち葛野浜は映画「海賊と呼ばれた男」のロケが行われ、岡田准一さんが近藤正臣さんに励まされるシーンの撮影が行われました。葛野浜がロケ地に選ばれた理由の一つは今では数少なくなった木の電柱が残っていたからだそうです。
湊小橋・湊大橋を渡ったところにある大向展望台からは、白砂のロングビーチを眺める事が出来ます。
小天橋には蛭児(ひるこ)神社、厳島神社、早尾神社、広峰神社と神社が4社、宝泉寺、海隣寺、遍照寺と寺が3寺あります。特に有名なのが蛭児神社で、小天橋にある海の守り神として大切にされてきました。蛭児神社境内の左側には「千石船」の模型が展示されていて、当時の様子がうかがえます。
また小天橋には湊大橋、湊小橋、久美浜湾岸の道路沿いを中心に旅館・民宿・食事処がございます。久美浜湾で養殖されたカキなど、近くの漁港で水揚げされた新鮮な魚介類が提供されており、特に冬に水揚げされたカニはおいしいと評判です。
久美浜湾の南部にある標高191ｍの円錐形をしたかぶと山は、かつては神山と呼ばれ、かみやまが訛って兜山と呼ばれたという説がある場所です。山の西部には公園キャンプ場が整備され、また頂上までは車でも登れる登山道があり、頂上には日本海や久美浜湾の絶景を望める展望台が整備されています。
丹後随一の豪商だった稲葉家の元邸宅だった「稲葉本家」は、2001年(平成13年)に14代当主から当時の久美浜町が土地を買収し、家財・文書を含む建物の提供を受け、歴史的建造物の保存のために建物の一部を改造して開館しました。
稲葉家は約450年前、今の岐阜県か長野県から久美浜に移り、家業が麹屋（こうじや）でした。7代目から沿岸交易によって財をなし、付近の金融を一手に引き受ける豪商となります。江戸時代末期から明治にかけ、12代目は国、京都府、丹後地区の要職を務めたほか、1884年(明治17年)には京都府で一番税金を納めました。13代目も京都府や久美浜町の要職を務めたほか、1929年(昭和4年)には現在の京都丹後鉄道・久美浜―豊岡を私財を投じて開通させました。
建物は主に母屋（おもや）と奥座敷「吟松舎（ぎんしょうしゃ）」、「雛御門（ひなごもん）」、蔵からなります。館内は撮影自由です。見どころとしては、玄関から見える藤右衛門作の庭風景、土間と今が一体となった吹き抜け、などがあります。
なお母屋は国の登録有形文化財になっています。また吟松舎にある「吟松亭」では食事や飲み物を販売しており、稲葉本家ゆかりの「ぼたもち」や昼食を食べる事が可能なくつろぎ空間となっています。
蔵は２つの内蔵と金倉などの外蔵があり、陶芸・お香体験の場などとして活用されています。
雛御門は吟松舎近くにある門で、改修時稲葉家に伝わる飾り雛にかけて名付けられました。
波穏やかな久美浜湾、日本海を隔てる砂洲「小天橋」、湾のほとりにそびえる神の山として崇められた「かぶと山」、久美浜の豪商「稲葉本家」と京丹後市久美浜は、見どころ、食べどころいっぱいです。久美浜市街地は江戸時代、幕府の直轄地として代官所が、明治初期には久美浜県庁が置かれ、北近畿の政治・経済の中心として栄えたところです。自然・歴史みどころ多い久美浜へ出かけてみませんか？
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(2024/4/19更新)
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