浸食された石柱が荒々しくそそり立つ景勝!群馬県妙義山の石門めぐり

浸食された石柱が荒々しくそそり立つ景勝!群馬県妙義山の石門めぐり

更新日:2017/03/14 12:29

群馬県の妙義山は大分県の耶馬渓(やばけい)や、香川県の寒霞渓(かんかけい)とともに日本三大奇勝の1つ。白雲山、谷急山、金洞山、御嶽で形成される妙義山は、600万年〜400万年前の火山活動で噴出した火山灰や堆積岩が浸食され、垂直に切り立つ山容になりました。

妙義山の南側にある金洞山(こんどうさん)の「石門めぐり」は、4つの石門や、切り立った断崖の岩肌を間近に楽しめるトレッキンググコースです。

垂直に切り立った岸壁!まるで映画「アバター」のハレルヤ・マウンテン

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中之岳駐車場から富岡市方面へ400メートルほど歩いた所に「石門群登山道」の入り口があります。金洞山は西岳、中之岳、東岳から成り、道から見上げると荒々しく岩肌がむき出しになっています。妙義山は火山活動が終了したため山の形を維持することが出来ず、風雨などの浸食と崩壊で「芯」だけが残った山になりました。

垂直に切り立った岸壁!まるで映画「アバター」のハレルヤ・マウンテン
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登山道入り口の向こうに金鶏岳が見えます。三角定規のように切り立った筆頭岩(ひっとう岩、又はろうそく岩)にラクダのコブのような山々が連なっています。垂直に切り立った岩山の金洞山とは趣が違います。

垂直に切り立った岸壁!まるで映画「アバター」のハレルヤ・マウンテン
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登山道に入りすぐに高さ30メートルの「第1石門」が見えます。岩は、暗青色、暗緑色で全体的に白い粉が吹いています。トンネルの向こうに青い空と金鶏山が見えます。400万年前の妙義山はこの石門も含め大きな火山だったのかも…と遥か昔に思いを馳せながら進みましょう。

第2石門はカニのよこばいと垂直に降りる鎖場!石門めぐり最大の難関

第2石門はカニのよこばいと垂直に降りる鎖場!石門めぐり最大の難関
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第1石門をくぐり登山道を登っていくと第2石門が見えます。こちらの石門は岩の割れ目のようです。石門の隣にはこけしのような岩が立っています。上の2つの岩は浸食のためか、くびれているため積み木のように見えます。

第2石門はカニのよこばいと垂直に降りる鎖場!石門めぐり最大の難関
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第2石門をくぐるには、鎖を使い「カニ」のように横に移動し、穴の下から上に向かって登ります。鎖かぎ張られた岩とアーチ部分とは岩の質が違います。石門の下りも鎖場で初心者には危険なため、第1石門手前にバイパスルートもあります。

石門めぐりのハイライト第4石門!アーチの向こうに「大砲岩」

石門めぐりのハイライト第4石門!アーチの向こうに「大砲岩」
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難関の第2石門から第4石門に向かう途中に小さな第3石門があります。ここは穴の向こう側が断崖のためくぐり抜けが出来ず見るだけです。第4石門は広場となっていてベンチや東屋で休憩が出来ます。石門の右側に小さな展望台があり、ここから第2石門方向の風景は「日暮らしの景」と言われるほどの素晴らしさです。

高さ40〜50メートルの石門は、足の部分2ヶ所に亀裂が入っています。アーチ部分の岩の重さで形を維持しているようです。アーチの向こうに「大砲岩」と「ゆるぎ岩」があり、それぞれ長方形の岩を横と縦に乗せたように見えます。これらの岩も浸食が進み、いずれ消えてしまうかもしれません。

石門めぐりのハイライト第4石門!アーチの向こうに「大砲岩」
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第4石門の足元は流された溶岩と一緒に流された石が固まった滑らかな岩があります。削り取られたように荒々しい周辺の岩肌とは対照的です。

石門めぐりのハイライト第4石門!アーチの向こうに「大砲岩」
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大砲岩とゆるぎ岩の間に小さな石のアーチがあります。アーチが目、左右の岩が「ハサミ」の「カニ」に、見えませんか。

石門を楽しんだ後は見晴らし台で「鳥」になろう!

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富士山は、70万年前から活動をしていた「小御岳」に、8万年前〜1万5000年前まで活動をした「古富士」、1万年前から噴火活動を始めた「新富士」の3つの火山から形成され現在の姿があります。妙義山は、600万年前〜400万年前に活動していた火山の溶岩が活動を終えたため、風雨による浸食が続き現在の姿になりました。

石門を楽しんだ後は見晴らし台で「鳥」になろう!
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第4石門で見えた「大砲岩」と「ユルギ岩」の先も激しく浸食されています。大きくえぐられた岩の間に高田川に掛る上信越自動車道の橋が見えます。

石門を楽しんだ後は見晴らし台で「鳥」になろう!
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見晴らし台には小さな祠が祀られています。その向こうには、切り立った岩と金鶏山や富岡市の街並が見えます。大空と周辺の山々を見渡せる風景は鳥になった気持ちを味わえます。

ゴールは中之嶽(なかのたけ)神社!御神体は轟岩(とどろきいわ)

ゴールは中之嶽(なかのたけ)神社!御神体は轟岩(とどろきいわ)
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石門めぐりのゴールは中之嶽神社。轟岩が御神体の神社は、参拝するための拝殿と本殿に続く幣殿の先は轟岩で本殿がありません。このように本殿がない神社は他にもあり、奈良県の大神神社も三輪山が神体山であるため本殿はありません。古代、神は山や、岩、木に宿ると考えられていました。轟岩を神体とする中之嶽神社は神社の原型ともいえます。

ゴールは中之嶽(なかのたけ)神社!御神体は轟岩(とどろきいわ)
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境内には、国譲りの神の大国主命が親祭の大国神社があります。因幡の白うさぎを助けた神は、大きな袋を担いでいる姿が、インドから伝えられた大黒天と結び付けられ七福神の大黒様となりました。大国神社本殿の両脇は2体の大黒様で守られています。

ゴールは中之嶽(なかのたけ)神社!御神体は轟岩(とどろきいわ)
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大黒様は福の神、商売の神、金運の神、左手に大きな袋を持ち、右手に木槌を持っている姿が一般的ですが、大国神社の大黒様は右手に剣を持っています。この剣は厄を払うといわれています。神社の手前には高さ20メートルの金色のだいこく様も右手に剣を持っています。

石門めぐりは「一般コース」ですが、登山靴等の装備は必要です

「石門めぐり」は妙義山の登山者に最も親しまれているトレッキングコースです。中之嶽神社から「石門登山道入り口」へ入り、第1石門〜第4石門、見晴らし台を経由して神社到着まで、1時間半から2時間のコース。第4石門や見晴らし台から見る、金鶏山や、大砲岩、ユルギ岩などの奇岩に、浸食や風化で切り立つ岸壁は、まるで映画アバターの「ハレルヤ・マウンテン」に迷い込んだかのようです。

登山道は「一般コース」ですが、途中鎖場もあるので、登山靴や雨具な時の装備と体力も必要です。安全にトレッキングを楽しみましょう。

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/03/03 訪問

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