ご紹介する「クニマス展示館」は、山梨県河口湖町にある「西湖コウモリ穴」の入場口に併設されているこちらの建物です。この展示館は、2016年4月にオープンした日本初!のクニマスの資料などを案内する展示館なのです。
館内は、クニマスの歴史や、西湖で泳ぐ姿の映像が見られるクニマスシアター、生態系などを説明するパネルコーナーなどに別れています。西湖の水面下のジオラマを表す水槽では、何と!本物のクニマスが泳ぐ姿を見られます。
館内では、まず最初にクニマスの歴史をご紹介。クニマスは、展示館から車で数分の距離にある西湖で生息しています。今から70年ほど前まで、秋田県の田沢湖に生息していた魚ですが、水質の悪化により絶滅してしまいました。ところが、秋田県から遠く離れた山梨県の西湖で生息していることが2010年に発見されたのです。発見当時は、絶滅した魚が蘇った!など、テレビなどのメディアでトップニュースとして報道されるなど衝撃の魚だったのです。この発見により、環境省のレッドリストの絶滅から、野性絶滅に引き上げられるなど異例な事態が起こったのです。
ここでは、何故クニマスがここに来たのか驚きの理由や経緯を知ることができます。その理由は、1935年に放流されたものが、人知れず命を繋いでいったのです。こちらのコーナー付近のクニマスシアターでも、その秘密を探ることができるので、是非ご覧になってみて下さいね。知識を踏まえて見るクニマスは感動もの! また、シアターでは、西湖で実際に泳ぐ姿の秘蔵映像も見られますよ。
こちらは、クニマスの謎と特徴を展示するパネルコーナー。ここでは、元来西湖に住んでいたヒメマスとクニマスの違いや特徴を知ることができます。
ヒメマスとクニマスは、同じサケ科の魚。サケ科の仲間は、川の浅瀬て産卵しますが、クニマスは深いところで産卵。ヒメマスとクニマスは同じ西湖に住むサケ科の仲間でありながら、交雑していない別な魚と判明されるなど、驚きの結果が示されているのです。
こちらは、西湖の自然を再現した西湖ジオラマ水槽のコーナー。奥側の水槽には、クニマス。手前の水槽には、ヒメマスが展示されていて、2つの水槽を見比べることができるのです。クニマスとヒメマスは、専門家でも見間違えるくらい似ている魚。そんな魚をあえて一緒に展示しているユニークな展示方法です。
クニマスが生息している西湖は、富士五湖の中で4番目の大きさ。最も深い場所で水深は71.7mもあり、湖底では地下水が湧いている場所も。水温は摂氏4度の冷たい水で、この深さや水温、水が湧く条件が秋田県の田沢湖と似ていて、クニマスが生息していた理由の一つとして考えられています。
クニマスは、水深の深い場所で産卵する習性があり、なおかつ産卵場所には、卵が酸欠にならないように新鮮な水が湧く必要があるのです。偶然にも似た環境がクニマスの命を救い、今を生き抜いているのです。
西湖では、コイ科の仲間のオイカワ・ウグイなど、様々な生命をはぐくんでいて、水槽近くでは西湖に生息している魚も展示されています。クニマスは、敵がいないとされるため動きが緩慢であるなど、独特の行動を取るそうで、他の魚と見比べてみても面白いですよ。
こちらがクニマスです。このクニマスは幼魚で、大人になると体長は凡そ30cmにもなります。餌のプランクトンを飲み込んでいるためか、口をパクパクさせながら元気に泳ぎまわっています。
クニマスは、絶滅の恐れだけでなく、地球が寒冷だった大昔に、生きた氷期ベニザケの陸封型と考えられています。陸封型とは、元々海に住んでいた魚が、沼や湖などに取り残されて住みついたとされる魚のことで、クニマスは、その頃から生き続けていてタイムカプセル的な存在とも言える魚です。
また、クニマスは成長期になると銀色になるのに対し、産卵期は、黒色に体の色が変わるなど不思議な魚なのです。目の前で見ると、実に神秘的で、生きているクニマスが見られるなんて日本中探してもここだけです。
クニマスが発見された2010年、天皇陛下の誕生日の記者会見では、陛下がクニマスを「奇跡の魚」とお話しになったほど。日本中探しても、クニマスに特化した展示館はここだけにしかありませんので、魚に興味のある人のみならず、是非立ち寄ってみては如何でしょうか?
また、夏休みなどの自由研究でお子さんと一緒に訪れれば、きっと勉強のお役立ち間違いなしですよ。冬の期間は積雪の恐れがあるため、車で行く場合は、スタッドレスタイヤなどで行くことをお勧めします。
この記事の関連MEMO
- PR -
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索