写真:成瀬 亜希子
地図を見るチェコ出身の画家アルフォンス・ミュシャ(チェコ語の発音ではムハ)。若い頃は売れない時代が続きましたが、34歳の時に舞台「ジスモンダ」のポスターを手がけて一躍脚光を浴びました。特に華やかで優美な女性像をモチーフとした広告が有名ですが、晩年は故郷チェコやスラヴ民族のために描いた作品が多く残っています。
今回、六本木の国立新美術館の10周年と、チェコとの国交回復60周年を記念して開催される「ミュシャ展」は、晩年の超大作「スラヴ叙事詩」をメインに公開。全20作品の展示は本国以外では世界初の試みということで期待が高まっています。テレビの特番放送後は混雑が予想されるのでチケットは事前に購入しておきましょう!
写真:成瀬 亜希子
地図を見る入り口では、音声ガイドのヘッドフォンセットを装着します。ガイドは宝塚歌劇団トップの娘役を務め、現在は女優として活躍する檀れいさん。優しく透き通るような声で展示の内容を説明してくれますよ。特に「スラヴ叙事詩」の歴史や背景を知らない方にはおすすめです。
写真:成瀬 亜希子
地図を見る最初のセクションは本展示のメインとなる「スラヴ叙事詩」。天井が高く広々とした空間には、縦6m×横8mという巨大サイズのキャンバスが飾られています。通常の見学時は混雑が予想されますが、全体を見渡して空いている所からどんどん周っていきましょう。また一部写真撮影OKのコーナーもあるのでカメラをお忘れなく!
写真:成瀬 亜希子
地図を見るチェコがオーストリア帝国の支配下にあった時代。ミュシャはチェコの国民が未来に希望を持てるよう、自国の歴史と向き合うための絵画が必要だと考えていました。その後ミュシャは50歳の時にチェコに帰郷して、約16年の年月を捧げてオリジナルの絵画シリーズ「スラヴ叙事詩」の制作に取り組むのです。
絵画の特長としては実際に起こった歴史的場面と、ミュシャ独特の空想的表現が合わさった点。最初の1枚目「原故郷のスラヴ民族」には、村を焼かれて逃げ延びたスラヴ民族と、多神教の司祭が戦争の終結を願う姿が描かれています。スラヴの原点を象徴する色である青と、多神教の司祭を描いたことでスラヴが一つだった時代を表現しているのです。
スラヴ叙事詩「原故郷のスラヴ民族」 プラハ市立美術館 蔵
写真:成瀬 亜希子
地図を見る1928年に「スラヴ叙事詩」は全20作品のうち1点を除いた状態で公開。しかし製作中にチェコが独立して10年も経ってしまったため時代錯誤な作品とみなされ、モラヴィアの古城に保管されてしまいます。ミュシャ没後の長い時を経て、現在ようやくミュシャの絵画が評価されるようになったのです。
ミュシャ晩年の不遇や当時の歴史を振り返ったうえで見ると心に迫るものがありますね。再評価をした美術評論家、修繕や保存に尽力した職人なども、ミュシャの故郷への想いに突き動かされて、この素晴らしい絵画を世に広めたいと思ったのではないでしょうか。
スラヴ叙事詩「ルヤーナ島でのスヴァントヴィート祭」 プラハ市立美術館 蔵
写真:成瀬 亜希子
地図を見る会場内のソファーには、ミュシャ展公式の図録も用意されています。ミュシャ展の共同監修者で美術評論家のヴラスタ・チハーコヴァー氏が執筆した決定版で、よりスラヴ叙事詩への理解が深まりますよ。こちらの図録は物販コーナーで購入することもできます。
写真:成瀬 亜希子
地図を見る今回はパリ時代の洗練された華やかな絵も展示されています。ミュシャは女優サラ・ベルナール主演の舞台用ポスター「ジスモンダ」(一番左)で脚光を浴びました。その後もサラが出演した戯曲(左の二番目から順にハムレット、ロレンザッチオ、メディア)のポスターも担当。ほぼ等身大で崇高な雰囲気をもつデザインは当時としては斬新で、多くの人を魅了しました。
写真:成瀬 亜希子
地図を見るミュシャがアール・ヌーヴォー時代に描いた連作「四つの花」。左から順に「カーネーション」「ユリ」「バラ」「アイリス」です。優美で曲線的な女性と、その背後に花や植物など装飾文様を描いた構図は「ミュシャ様式」と呼ばれており絶大な人気を誇りました。
写真:成瀬 亜希子
地図を見るミュシャが友人のために描いた「ウミロフ・ミラー」。美しい森の中で民族衣装を着た女性と5人の精霊が描かれています。鏡を取り囲むように座っている構図がユニークですね。
写真:成瀬 亜希子
地図を見るチェコのプラハ市民会館には、ミュシャが祖国のために描いた絵や装飾が施された「市長の間」があります。館内のガイドツアーもあって実際に見学することもできますよ。円形の絵は天井のドーム部分で、スラブ民族を守る鳥の絵が描かれたフレスコ画「スラブの連帯」です。
写真:成瀬 亜希子
地図を見るこちらは天井を支える柱部分にそれぞれ描かれた絵です。フス派戦争の英雄ヤン・ジシュカなど、チェコの歴史上で重要だった人物たちが描かれています。市長の間のホールに見立てたような展示をしているので、実際現地に行ったような気分になれますよ。
写真:成瀬 亜希子
地図を見る手前の絵は1928年に開催された「スラヴ領事詩」展覧会の告知ポスター。奥の絵は同年チェコ独立10周年を記念して描かれた絵です。2つの絵は似た構図ですが、元はミュシャの娘・ヤロスラヴァをモチーフにしています。今回の展示で再び見ることができるのは嬉しいですね。
写真:成瀬 亜希子
地図を見るミュシャ展の物販コーナーは、気軽に買いやすいポストカードやファイルをはじめ、ポーチやメガネ拭きなど種類豊富なので、ファンの方はどれを買おうか迷ってしまうかもしれません。また数点ですが複製画も販売していますのでお見逃しないように!
写真:成瀬 亜希子
地図を見る今回はミュシャの絵がプリントされたTシャツも販売。人気のヒヤシンス姫、メディア、サラ・ベルナールと3種類です。また今回初めて「スラヴ領事詩」のグッズも販売していますので、新たなコレクションとして加えてみたいですね。(グッズ企画販売:NHKプロモーション)
写真:成瀬 亜希子
地図を見るミュシャのグッズの他にも、チェコゆかりの伝統工芸品なども販売しています。特に注目したいのがボヘミアグラス。ぜひこちらでモラヴィアワインなどを飲んでみたいですね。ミュシャをきっかけにチェコの文化にも触れてみてはいかがでしょうか?
ミュシャと言えば、パリ時代の優美で華やかな女性像の絵を思い浮かぶ人が多いかもしれません。しかし今回はチェコやスラヴのために捧げた壮大な作品を見ることで、ミュシャの故郷に対する様々な想いを感じることができるのではないでしょうか。
ミュシャの作品をもっと見てみたい方は、チェコのプラハに行くのがおすすめ!下記にミュシャのスポットへの行き方についてリンクを貼っているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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(2024/4/24更新)
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