写真:鈴木 旅人
地図を見る作者の羽海野さんはロケ地を沢山撮影し、その風景をトレース(敷き写し)して作中で使っているので、実際の風景・構図がそのまま使われている場所が多々あるんです。
そんな数ある聖地の中から、今回は「橋」を中心に橋とその界隈という括りでご紹介したいと思います。作中に登場する特徴ある橋によって場面や人物の心理描写が表されているシーンが多々あり、橋を起点に歩くと非常に分かりやすいんです!
先ずご紹介するのは、作中で幾度となく登場し、記念すべき単行本第1巻の表紙も飾っている「中央大橋」とその周辺です。空に向かって伸びていく鉄線が特徴的なこの橋。主人公の零は隅田川の西側に住んでいるのですが、この橋を東へ渡り佃島、作中の三月町という下町に行くんです。
主人公零の住んでいるエリアは倉庫と会社と工場ばかり。食料品や日用品など買い物の度、下町へ買い物をしにこの橋を渡るわけです。この中央大橋が零の心の境界線であり、架け橋になっているかのようです。
漫画の中で、空に向かって伸びる鉄線が零の気持ちを表すように効果的に使われることがあり、零が覚悟を決めたり、上昇思考にある時などによく背景に使われたりもしています。
写真:鈴木 旅人
地図を見るこちらは零の住んでいる隅田川の西側エリアにあり、作品でも何度も登場する聖地、「霊岸島水位観測所」です。名前だけでなくデザインも特徴的で、立地条件から必ず逆光になってしまうスポット。
作中でも影の強調された迫力あるカットとして使われます。感情表現の時などによく使われることが多く、「不気味な大きい存在の象徴」を表現する際などに使われている様でもあります。
写真:鈴木 旅人
地図を見るやはりこの周辺は外せません。次にご紹介するのは「佃小橋」とその周辺です。この界隈は本当によく登場し、特にこの赤い欄干が特徴的な小さな橋は、零がお世話になっている川本家の近くという設定もあり、度々登場します。第2巻の表紙に使われているのもこの橋です。
この橋が描かれたカットは、背景に銭湯の柱や漁船という下町風景だけでなく、その奥に高層マンションが広がる東京の下町独特の風景。一目で下町エリアにいるということを感じさせてくれる重要なカットなんです。
小さな運河沿いにはベンチがあり、作中でも川本家がお弁当を食べていたり、地元の方の憩いの場となっています。小さな路地裏には神社があったり陽だまりに猫が寛いでいたり。本当に作品の中に迷い込んだようです。
この佃小橋の南東に駅や商店街があり、作中で買い物帰りの零や川本家の人々が度々描かれています。この場所に立つと、ビニール袋をぶら下げた零が浮かんでくるようです。
写真:鈴木 旅人
地図を見る佃小橋のすぐそばにある「住吉神社」。こちらも作品の中でよく出てくる聖地なのですが、神社境内というより、画像に使用した隅田川に面した鳥居の方が主に作品に登場するようです。
住吉神社という神社が海運や船旅の守護の神様であることから、嵐の様な登場人物たちの人生を見守っているようで印象的な場所です。
写真:鈴木 旅人
地図を見る次にご紹介するのは、「月島西中通り商店街」です。作中にも登場する東京下町を代表するB級グルメ「もんじゃ」。その聖地がここ月島なんです。
聞いたことのある方も、実際に訪れてみるとビックリするハズ!数百メートルにわたり見渡す限りもんじゃ焼き屋さんばかりなんです。作中で零が訪れているもんじゃ焼き屋さんのモデルのお店や、パン屋さんのモデルとなったお店などもあり、痕跡を探すだけでも楽しい商店街です。
商店街の中でオススメの聖地は、画像に使用した二番街と三番街の間に立つ「西仲地域安全センター」です。今は無人の交番で、実は日本最古の交番なのだそう。第7巻Chapter68の扉絵に登場したこともあり、下町の印象を際立たせてくれる光景です。
写真:鈴木 旅人
地図を見る電車を使い月島駅から街歩きを開始される方は、是非出口6から地上に出ることをオススメします。作中で度々登場するのがこの出口。第1巻Chapter1で義父との対局を終え、疲れ果てた零が電車に乗って帰り、出てくる出口もこちらから。
写真:鈴木 旅人
地図を見る最後にご紹介するのは「佃大橋」界隈です。名前は似ていますが、先ほどご紹介した佃小橋とは違い隅田川に架かる橋で、最初にご紹介した中央大橋の下流にある橋です。
しかし、ご紹介したいのは橋上ではなくあくまでこの橋周辺!特に橋の下の川沿いなどは作中で使われることの多い聖地で、義理の姉との口論の場面や、いじめに遭い苦しむ川本家の次女に「一生かかっても恩を返す」と告白めいた場面に使われたりと、大きな感情の変化の際によく登場しています。宣伝ポスターなどにも使われた聖地です。無口で内気な主人公の「心の蓋」を表すかのように頭上に塞がっている印象があります。
写真:鈴木 旅人
地図を見る佃大橋の東側、渡ってすぐの所に「佃公園」という小さな公園があります。何の独特もない公園とつい見逃してしまいそうな公園ですが、実は聖地中の聖地といっても良い程の公園なんです。第1巻のChapter1の中で前述の出口6から地上へ出、黄昏れていたのもこの公園。以後、何度となく登場し、特に扉絵の中で仲良く遊んでいる幸せな光景として使われています。
公園内の遊具で特に注目したいのがシーソー。作品の中で絶大な人気を誇る主人公のライバル、二階堂晴信というぽっちゃり体型の男が、川本家の三女モモちゃんを豪快にシーソーですっ飛ばす衝撃のカット!第9巻Chapter88の扉絵に使われた遊具もそのままに存在します。是非訪れましょう。
『3月のライオン』の聖地、いかがでしたでしょうか。2巻末で作者の羽海野さんも仰っていますが、何度もロケハンして写真を撮り、ネームに合わせ風景を選びトレースしているとのこと。だからこそあれだけ漫画の中に生活感が表れ、親近感が湧いてくるのだと思います。
それだけに実際の街並みがそのまま描写されていて、聖地巡礼にはもってこい!全く同じ風景に巡り会えた時などは、一塩感動がこみ上げてきますよ。
佃島は路地に昭和の時間が流れ、本当に落ち着く町です。作品のファンでなくとも、この町を通して作品自体に興味をもつ方も増えてくることと思います。今回ご紹介したのは全てコンパクトに歩いて回れてしまうエリアなので、是非軽い気持ちでトライしてみてはいかがでしょうか。
アニメ化、そして映画化とまだまだ勢いの止まらない『3月のライオン』。世界中から巡礼者が訪れる前に是非、静かな下町を堪能して下さい!
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(2024/4/20更新)
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