茨城県水戸市にその所在を置く偕楽園は、その名前の由来「衆と偕(とも)に楽しむ場所」の通り幅広い人々に門戸が開かれた庭園。作庭者は江戸幕府最後の将軍、徳川慶喜の実父でもある水戸藩第九代目藩主、徳川斉昭(なりあき)です。
偕楽園は主に陰と陽に形作られ、例えば梅は陽、竹林は陰といった風に万物のメリハリが意識されています。
偕楽園の園内には100種3000本の梅が植えられており、早いものは1月下旬から遅いものは4月上旬まで楽しむことができます。中でも偕楽園には、花付きの良さ、しなやかな枝木、香りなどから6つの名木が選定されていることで有名。
開花時期が早いものから、徳川斉昭の別称、烈公に因んだ「烈公梅」枝に並ぶように咲く「白難波」白く縁取りされた「柳川しだれ」やや黄色を帯びた「虎の尾」丸くて厚い花弁の豊かさ「月影」そして梅の季節を見送る紅い大輪「江南所無」が選ばれています。
偕楽園が梅の名所と呼ばれる所以は、その梅の種類の豊富さもありますが、いつ来ても違う景観を楽しめる所にあるといえます。
梅を漠然と観賞するのも良いですが、ここでは古くから伝わる梅の見方を紹介したいと思います。一つ目が「探梅」。これは読んで字の如く、早咲きの梅を探すように観賞する方法。昔は今ほど開花情報がすぐに分からなかったことから、野山に咲く梅を探すように観賞したところからきています。二つ目は「賞梅」。早咲きの梅、そして中咲きの梅が出揃う中、それぞれの梅を品定めするかのように梅を愛でる方法です。三つ目となるのが「送梅」。これは徐々に散りゆく梅の花を名残り惜しそうに見送り、春の訪れを感じる観賞方法です。
昔から梅は様々な表現のされ方をしてきました。逆にいえばその分だけ観賞方法があるといえます。偕楽園で三度変わる梅の姿を楽しんで欲しいと思います。
梅の作法が分かった所で水戸の梅まつりに訪れると、随分違った印象になるでしょう。偕楽園で送梅に適した梅は、江南所無。
江南所無は水戸黄門で有名な水戸光圀の師、中国の儒学者である朱舜水が日本に持参したと言われている品種で、紅色の大輪は「中国の江南地方でこれ以上立派な梅は無い」という所からきているようです。偕楽園の江南所無の位置は、偕楽園北東に位置する梅林地帯に植えられており、柵によって囲いがされていますので見つけやすいでしょう。
1、夜・梅・祭
水戸の梅まつりでは毎年、幻想的な梅のライトアップが行われています。トワイライトから始まる光の梅道は必見です。
2、水戸納豆早食い大会
水戸といえば納豆ですが、水戸の梅まつりに合せて納豆早食い世界大会が実施されます。3月18日10〜13時に開催されますので、梅観賞と併せてその白熱ぶりを楽しめそうです。梅飛ばしは併せて参加してみたいイベントの一つ。
3、野点茶会
2/19〜3/26の毎週日曜日は偕楽園の敷地内で野天茶会が行われています。表千家、裏千家による作法は一見の価値あり。
期間中は、艶やかな着物に身を包んだ水戸観光大使や園内を循環する水戸黄門一行と出くわすことも。良いシャッターチャンスになります。
水戸の梅まつりの締めは何と言ってもお土産購入。苦味のあるお茶に合いそうな、甘い和菓子なんていかがでしょう?
1、吉原殿中
水戸の銘菓といえば吉原殿中。
もち米から作ったあられを水飴で包み込み、きな粉をまぶした一品。名前の由来は徳川斉昭の奥女中、吉原が作ったことで知られています。偕楽園といえばこれ。
2、梅一途
あんの中に梅ペーストが練り込まれた名品。雪が降る偕楽園と梅をモチーフにされたもの。単体で食べるととてつもなく甘いですが、お茶によく合います。
3、水戸の梅
和菓子の材料によく使われる求肥(ぎゅうひ)に赤紫蘇を包んだ一品。紫蘇の独特な香り、程よい酸味が癖になります。
それぞれ偕楽園東門付近や見晴亭などで購入でき、試食もできる場合があるので購入する分水嶺としましょう!
偕楽園では3月上旬から中旬にかけて梅の満開を迎えます。それ以降は美しい梅が徐々にみそぼらしい姿に変わっていき、さぞかしい残念で虚しい気持ちになるでしょう。ですがその湧き上がる気持ちこそが、今回触れた送梅の醍醐味といえます。
梅が美しいとか醜いとかではなく、自然の作法と言いますでしょうか、季節の変わり目を偕楽園で楽しんで頂けたらと思います。
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