写真:井伊 たびを
地図を見る「走る手術室」の模型が出迎えてくれる「印西市立印旛医科器械歴史資料館」は、全国でも珍しい「医科器械」ばかりを10の展示室に分類、8000点あまり蒐集し展示している世界に誇れる資料館だ。そもそもこの資料館のはじまりは昭和59年(1984年)、日本医科器械学会(日本医療器械学会)の創立50周年を機に、当時の会長であった青木利三郎氏が全国を回り、病院や大学の片隅にあった医療機器を集めたものや、その機会に復刻された江戸時代の古器械が核となっている。
まさに捨てられる寸前にあった数多の医科器械を、青木氏が精力的に蒐集された功績は大きい。現在においても、展示品のうち多くの器械が、すでに歴史的に貴重な存在であるが、未来になればますます貴重なものとなるだろう。
写真:井伊 たびを
地図を見る第1展示室は心臓関連。その心臓ペースメーカーのコーナーには、数多くのペースメーカーが展示されている。心臓は心筋(洞結節部)に微少な電気刺激(1分間に50〜120回位)を受けることにより心筋収縮運動(拍動)で、休みことなく全身に血液を送り続ける臓器。
心臓ペースメーカーは、何らかの病気により心臓が、本来の電気刺激ができなくなった患者に生体信号に近い電気刺激波を発生させる器械で、細いコードで心臓に接続している。
1960年代、電池寿命はたかだか1〜3年。その間に切開して、入れ直す必要があった。現在では小型化し、電池寿命も10年以上に伸びた。
写真:井伊 たびを
地図を見る第2展示室では、天然大理石製の手術台をはじめ、過去に活躍した手術台や、消毒器、手術時に欠かせない種々の無影灯などの展示品に興味がわく。
写真:井伊 たびを
地図を見るオランダのレーゲンフックが、自作の顕微鏡を使い、歴史上初めて「微生物の世界」を見てから340年あまり経つ。4号展示室には、他にも多くの顕微鏡が展示されている。
写真:井伊 たびを
地図を見る江戸時代の顕微鏡を画像資料で学び、多くの顕微鏡の違いを確認すれば、先人たちの向学心を窺い知ることができる。
写真:井伊 たびを
地図を見る第9展示室には、透析装置、内視鏡、内科、外科各種手術器具が展示されている。こちらで、ひときは目を引くのが華岡青洲の手術器具だ。華岡青洲は日本外科学の父といっても過言ではなく、日本が誇る偉大な医聖である。
文化元年(1804年)10月13日、自ら完成させた麻酔薬の内服投薬により、世界初の全身麻酔下による乳癌摘出の大手術を成功させている。
こちらに展示されている器具は、レプリカではあるが、現在和歌山大学に保管されている本品を忠実に再現されているとのことだ。
写真:井伊 たびを
地図を見る胃の中を観察する「内視鏡」は当初、金属製で硬質であり、口から入れるのに大変苦労したようだ。現在の内視鏡は、細いガラス繊維を束ねたファイバースコープ。柔らかくて先端にライトがつき、診察が楽になっている。さらに、最近では鼻から入れて、診察できる内視鏡まで登場している。
写真:井伊 たびを
地図を見る腎臓は、体内に蓄積された老廃物を排尿を通して体外に排出させる臓器である。その腎臓機能を損ねた患者は、人工透析装置の恩恵を受けている。その人工透析装置の開発過程も興味深い。
こちらの資料館は、北総線(ほくそうせん)の終点「印旛日本医大駅」前にあり、アクセスがとてもいい。ところが、開館日は、毎週・月曜日、水曜日、金曜日の週3日間の10時から16時まで。残念ながら日曜日や国民の祝日や、年末年始も休館である。限られた開館日のうちでも、特にオススメできるのが毎月の第1月曜日だ。この日に限り、説明員による詳しい案内が受けられる。もちろん、この案内を受けるには、事前に予約してから訪れるようにしたい。
【説明員の予約・問い合わせ】
一般財団法人 日本医科器械資料保存協会
03-3813-1062
この記事の関連MEMO
- PR -
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2024/3/19更新)
- 広告 -