南アメリカが発祥の唐辛子、15世紀以降、大航海時代に世界中に広がったとされています。この時代カラブリア州は、外国人に支配をされていた時代で、人々の暮らしはとても貧しいものでした。
そんな頃、唐辛子を使って新鮮なお肉やお魚を保存するようになりました。カラブリア人が辛い唐辛子を好み、また保存食を作る必需性があったため、そして創造性に溢れていたカラブリアの人たちは次々に独特な特産品を生み出しました。世界中と比べても、イタリア・カラブリア州の唐辛子を使った特産品はとても多く、唐辛子なしではカラブリア料理は語れないといっても過言ではありません。
夏に収穫された唐辛子をたこ糸に通して首輪状にして乾燥させたものを、どこの家庭でも用意しておきます。1960年代、カラブリア州から北米や南米に移民した人が多かった時代、魔よけのお守りとして乾燥唐辛子の輪を持っていったそうです。
今からご紹介するカラブリアの赤い食材は、見るからにとても辛そうですが、唐辛子の他に、辛くない赤いパプリカ(ペペローネ・日本のシシトウのような野菜)も一緒に合わせて使うため、その割合により辛さは調整でき、見た目より辛くなく旨みがあります。
カラブリア州はティレニア海とイオニア海、二つの海に囲まれていて海の幸が豊富な場所です。中世より常に外国人に支配されていた歴史を持つカラブリア州の特産品は、価値の低いものを利用したものがほとんどです。
稚魚の唐辛子漬け(ロサ・マリーナ)はカラブリア州の各地で作られるもので、唐辛子・パプリカと稚魚を合わせて発酵したものです。粉末唐辛子とパプリカを使ってペースト状になっているものや、粗挽きの唐辛子・パプリカを使ったものなど、場所により特色が異なり、同じカラブリア州の中でも様々なタイプのロサ・マリーナを楽しんでいただけます。
食べ方は、オリーブオイルと合わせてパンと一緒に食べるのが主流で、その他にはパスタと一緒に合わせたり、揚げピッツァの中身にしたり、お好みで様々なアイデア料理が作れます。
カラブリア州の南部にあるスピリンガという小さな町発祥の辛い柔らかいペースト状の腸詰、ンドゥイア。この特産品もロサ・マリーナと同じ発想から生まれたもので、豚肉の価値が低い脂身の多い部分と粉末の唐辛子・パプリカを合わせて腸詰し、発酵させたものです。もともとンドゥイアとは、フランス語から由来しているそうで、18世紀にはカラブリア州はフランス人に支配されていました。
スピリンガ発祥のンドゥイアですが、今ではカラブリアの各地で愛される特産品となり、脂身の多いペースト状のものなので、火にかけると溶けます。少し火にかけ、パンと合わせたり、トマトベースのパスタのアクセントとして入れたり、ライスコロッケの中に入れたり、お好みで数多くの料理が楽しめます。このンドゥイアについても、見た目はとても辛そうですが、辛くない粉末パプリカも合わせて入れていますので、思ったほど辛くなく旨みがあります。
カラブリア州のサラミやサルシッチャには、必ず辛いもの(Piccante)と辛くないもの(Dolce)の2種類があります。辛いものが好きな方にはぜひ辛い物を選んでいただきたいです。爽快感のある辛さで、とてもクセになります。
冬になると多くの家庭で1頭の豚を使い、サラミやサルシッチャ作りをする習慣が現在でも残る、カラブリア州。個人経営の宿の奥さんから、自家製サルシッチャをもらった、という経験をする方も多いのではないかと思います。
辛いものが大好きなカラブリア人ですが、一般家庭の食卓はそんなに辛いものばかりではありません。大家族が多い場所ですし、子供や辛いものが苦手な人もいるので、主婦は始めから辛くしておくのではなく、食卓に唐辛子を用意し、各自取り分けてから辛さを追加するのが一般的です。
ぜひ唐辛子の国・カラブリア州で、本場の辛い料理をお楽しみください!
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