日本における“紬の発祥”と言われている「久米島紬」は、久米島で織られている絹織物の事で、染めの原料を集めることから始まり、養蚕、糸づくり、絣括り、糸染め、織り、仕上げのきぬた打ちまでの全ての工程を、たった一人でこなします。その根気のいる作業1つ1つに、織り子さんたちの熱い思いがこめられているのです。
ユイマール館では、現役の織り子さんたちの、貴重な“技”による、ほぼ全ての工程を見学することができます。
久米島紬の起こりは、15世紀の後半に堂の比屋という人物がいて、中国から養蚕産業を学び、これを広めた事から始まったと言い伝えられています。1500年前半に琉球王国の侵攻を受けて以降、献上物として作られる事が多く、税金の7割を紬で納めていたと言います。そして近年は、久米島の主要産業として飛躍的に発展。日本本土で「琉球紬」として広く普及されてきたのです。
天然の草木や泥染めによる濃い色合いと、歴史ある絣模様が美麗な久米島紬。そんな久米島紬の染めと織りを、ここでは少しだけ体験させて貰う事が出来ます。
久米島紬の染めは、久米島に生息する植物が使われています。サルトリイバラ・オオハマボウ・シャリンバイ・さとうきび・ヤマモモ・ユウナ・フクギなど、あまり聞き慣れない植物が多いですね。
それらの中から、サンプルを見ながら、好みの色の植物を選び、好きな模様を選び(絞り方)、織り子さん達に手取り足取り教えて頂きながら作っていきます。
輪ゴムや割り箸などを使って絞り染めの下準備が出来たら、いよいよ染めの工程に入ります。大きな釜に、それぞれの草木が煮だしてあり、そこに自分たちの作品を投入!
どんな風に出来上がるか楽しみです。
染め上がった作品は、風通しの良い場所で乾かします。思い通りの柄に出来上がったか、色は予想通りだったか、風にはためくスカーフを見ながら、皆で品評会。草木染めは、どちらかというと淡い色に染まるので、柔らかいイメージで仕上がり、洋服にも和服にも合いますね。
いわゆる絣模様は、最初の1本の糸の状態の時に、その形にその色が来るよう、ち密に計算されて染色されています。さすがにそこはプロでなければできない技術なので、私たちが体験できるのは、既に染色された横糸を、セットされている縦糸に織り込んでいくもの。
織り方は非常に単純です。織り子さんにやり方を教えて貰うと、殆どの人は直ぐにコツを掴む事が出来、パタンパタンとリズミカルな音が館内に響き始めます。
しかし難しいのは、糸の引っ張り具合。均等に糸を手繰り寄せていかないと、絣模様がズレてしまうのです。その微妙な引っ張り加減のコツを掴めば、あとはスイスイと織っていく事が出来ます。絣の模様が出来てくると感動もひとしお。
こうやって出来上がってくると、下手ながらも手作りの味を感じ、愛しさを感じます。
体験料金は以下の通り。
コースター織り 約30分→2,100円
バンダナ染め 約1時間→2,300円
ショール(小)染め 約1時間→3,500円
ショール(大)染め 約1時間→5,500円
2つを体験すると割引になります。詳しくはオフィシャルサイトでチェックして下さい。
館内にはお土産屋もあり、一般で購入するよりお安く紬製品を手に入れる事が出来ます。反物ならB級品もあるので、かなりお買い得。洋服やバッグなどの高級品の他にも、財布や小物入れ、キーホルダーなど、お土産にぴったりの手頃なお値段の物も揃っています。
展示資料室の併設されていて、久米島紬の歴史や作業工程が手に取るようにわかり、これだけの行程を経ないと久米島紬が出来上がらないのかと、改めて驚かされます。
また、洋服やウエディングドレスにも取り入れ、若い人でも、抵抗なく楽しめるような工夫もされています。
久米島紬の歴史を学ぶ場所は、ユイマール館以外にもあります。久米島の自然・歴史・民俗・文化をわかりやすく紹介する総合的な文化施設「久米島博物館」でも、ビデオや資料を使って、わかりやすく知る事が出来ます。
また、ユイマール館の周辺の村では、自宅で機織りや染めをやっておられるご家庭もあるので、そこを訪ねるのも楽しいですね。
あわせて訪ね、より一層深く、久米島紬に触れてみては如何でしょう。
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